浦和事件続報の続き

日本協会・Jリーグ側の姿勢がだんだん明らかになってきました。

「今までには〈生半可なこと〉で処分が済まされたケースがあった」という認識が言外に垣間見えるのはとりあえず措くとして、今回の事件に対する処置が日本サッカー文化のメルクマールとなることを望んでいます。

犬飼会長調査指示「いかなる差別も排除」

 日本協会の犬飼基昭会長が、観客による人種差別発言に関し、徹底的な調査を命じた。20日、Jリーグの羽生事務局長が「犬飼会長にも、しっかり調査しろと言われました。生半可なことでは済ませない。W杯招致への影響もある。時間をかけて、真摯(しんし)に対応したい」と語った。15日の仙台−浦和戦(宮城ス)の試合後、浦和サポーターとみられる観客がペットボトルを投げ込み、仙台の外国人選手に対して差別的な発言を行った。現在Jリーグが両クラブに調査を指示している。同協会の田嶋幸三専務理事も「スポーツ界で、いかなる差別も排除しなければいけない」と語るなど、厳しい態度で臨んでいる。

 [2010年5月21日8時29分 紙面から]

http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20100521-632129.html

差別発言問題で浦和に人物特定を厳命
2010年5月21日 紙面から

 仙台−浦和戦(15日)の試合後に、一部の浦和サポーターが仙台の外国籍選手への差別的な発言を行ったとされる問題で、Jリーグは20日、発言した人物の特定を厳命し、仙台、浦和の両クラブに詳細な調査報告書の提出を求めた。

 Jリーグが問題視したのは(1)差別発言(2)立ち入り禁止区域への侵入(3)ペットボトルの投げ入れ(4)いすの破壊の4点。羽生事務局長は「差別発言があった前提で調査を進めている。差別発言はFIFAも厳しくやっているし、W杯招致もあるから、真剣にやらなくてはいけない。今、浦和がサポーターと話しているが、『今回は生半可なことでは済まさない』と、伝えてくれと言ってある」と強調した。

 また「(差別発言を処分する)規約はないが、裁定委員会で判断する」と説明。報告書を受けた後、裁定委でJリーグでは過去に例のない問題に対する厳しい処分を下すことになった。

http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/soccer/news/CK2010052102000130.html

浦和サポーターの差別発言を徹底究明へ

 浦和の一部サポーターが15日の仙台戦(宮城ス)後、仙台の外国籍選手に差別的な言葉を浴びせた件について、日本サッカー協会犬飼基昭会長(67)が徹底究明を厳命したことが分かった。

 20日の日本協会理事会後、協会特任理事でもあるJリーグの羽生事務局長が「犬飼会長にも“しっかり調査しろ”と言われた」と話したもので、同事務局長は「今回は生半可なことでは済まさないとサポーターに言ってくれ、と浦和には伝えた。(差別発言は)あったとして調査を進めている」と厳しい表情。差別発言があったと認められた場合、FIFAは勝ち点3のはく奪を明文化しており、適用されれば現在4位の浦和は7位まで転落する。

[ 2010年05月21日 ]

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2010/05/21/14.html

ちなみに、「勝ち点剥奪などの処分が下されれば、他チームのサポーターによる〈なりすまし〉が起こるかも知れない(だから処分には反対)」というリクツもネット上では見られるのですが、それは転倒した議論だと思うのですよ。

例えば、Jリーグの試合会場で、英語でも何語でも、日本語でない外国語で誰かが大声でがなっていれば、それは否応なしに目立つでしょう?

スタジアムに集結しているサポーターが言いもしないことを、そこに紛れこんだ〈なりすまし〉が叫んだとしたら、それもまた否応なしに目立つでしょう。ましてそれが差別的だったり犯罪的だったりといった内容だったとしたら、囲まれて警察に突き出されることくらいは覚悟しないといけません。浦和のような熱狂的サポーターがいるところならなおさらです。

それが目立たず、〈なりすまし〉が実行可能だとしたら、それはたぶん、サポーター自体がいない閑散としたスタンドであるか、サポーターの中にも同様のことを叫ぶ人間が大勢いて、そこに紛れこんでしまえるか、でしょう。前者は論外としても、後者もそれが外国語であるなら「国際色豊か」で済ませられますが、「差別発言当たり前」の輩がサポーターにいるのであればそれは〈なりすまし〉を云々する以前の問題です。


追記:
もうひとつ言いたいことがあったのですが、こちらでほぼ言い尽くされていますので、リンクだけ貼っておきます。

現実見ろよ・・・・ - The Penultimate Truth in Caesar