アー・ユー・ハングリー?

ここのところ話題になっているところではなっている日本人留学生減少の話ですけど。

国内組の私が言うのも何なんですが、留学ってハングリースポーツな側面があるように思います。

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ここではないどこかへ行き、ここにはない何かを掴む。そのことが切実であればあるほど、留学への動機付けは高まると思うのです。それは、ボクシングを代表として、プロの世界が先に開けているスポーツと、重なって見えます。

日本国内にもハングリーな若者は確実にいると思うのですが、留学生の減少を嘆く議論の中に、そうした若者にまで思いを届かせたものはあまりないように思います。リクルートをかける先が違っているんじゃないですかね…。

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記事入力 : 2010/12/26 09:03:46
【萬物相】日本人の留学離れ

 米ハーバード大のマイケル・サンデル教授による「正義論」の授業は、大教室で熱い討論が繰り広げられることで有名だ。教室を埋め尽くす学生たちの国籍は多種多様で、これも授業の特徴の一つとなっている。アジア系の学生も多い。だが、討論の場に日本人学生の姿はほとんど見られない。昨年の時点で、ハーバード大に在学中の外国人学生(学部生)666人のうち、韓国人が42人、中国人が36人、シンガポール人が22人、インド人が20人だったのに対し、日本人はわずか5人だった。

 しかし10年前は違っていた。2000年の時点では、同大の学部・大学院に在学する日本人学生は151人だった。それが昨年には101人まで減少した。その一方で、同じ期間に中国人学生は227人から463人に、韓国人学生は183人から314人に、それぞれ増加した。ハーバード大の同窓会に登録している日本人は3000人以上に達する。だがその一方で、春に日本を訪れた同大のファウスト学長が、「日本人留学生は韓国や中国の学生に押され、存在感が薄くなっている」と日本人学生の奮起を促すほど、今ではパワーがなくなってしまった。

 日本の近代化は、海外留学がもたらした代表的な成功例といえる。1860年に福沢諭吉をはじめ96人の若者が、わらじを履いて太平洋を渡って以来、留学は日本が力を入れる国家的事業となった。140年前、明治政府は9歳の女の子までも欧州に留学させた。多くの若者が欧米に留学し、発展した文明や制度を必死に学んだ知識と経験を母国に持ち帰り、日本を富国強兵の道へと導いた。

 日本の文部科学省がこのほど発表した「2008年の海外留学者数」によると、海外に留学した日本の小・中・高・大学生は計6万6833人で、過去最大の減少幅を記録した。日本人留学生が4年連続で減少傾向にある中で、2008年の韓国人海外留学生は、21万6867人に上った。

 経済評論家の大前健一氏は、「日本が徐々に内向的な国になっている」と話す。若者が現状に安住し、世界や未来に羽ばたこうという意欲を失っているとの指摘もある。これには、大学生の子どもに付き添い、履修登録を手伝うような、過保護な「ヘリコプター・ペアレント」が原因ともいわれている。若者が挑戦・冒険・開拓の精神を失い、より若い世代が夢を抱けないような社会では、不安が募るばかりだ。

金泰翼(キム・テイク)論説委員

http://www.chosunonline.com/news/20101226000007

あ、「大前研一」の字が違ってますね。

ハングリーに導く方法はないか
2010年10月15日


全日本ユース選手権で優勝を決め、喜びを爆発させる広島ユースの選手たち

 高校世代の王者を決める高円宮杯全日本ユース選手権は、11日の決勝で広島ユースがFC東京ユースを破り、6年ぶりに優勝した。ベスト8の内訳は、静岡学園高と流通経大柏高、地域クラブの三菱養和を除けば、Jリーグユースが5チーム。高校世代のいい素材がJユースに集まる傾向が、今年も成績に表れた。

 しかし、同じJリーガーでも、Jユース出身選手は高校出身選手に比べ、打たれ弱い。技術はあるけど、壁に当たったり、周囲から何か言われたりした時の反骨心に欠け、プレーで見返してやろうという気概が少ない。18歳以下、20歳以下といったユースの日本代表はいつもJユース出身が多いのに、W杯南アフリカ大会メンバーは23人中、Jユース出身は4人だけだった。フル代表になると途端に高校出身が多くなるのは、いろんな壁にぶつかっても乗り越える強さを持っているからなのだろう。

 高校出身はプロ入り前に、「乗り越える」という経験をしてきている。そもそもJユースに行きたくても実力的に行けなかった選手が多い。練習環境も恵まれない。先輩後輩関係などで上手なのに試合に出られないということも起こりやすい。僕も今振り返ると、愛媛の新居浜工高時代、先輩が怖かった中で我慢強さは養われた。若いころは「サッカーは気持ちじゃない」と思っていたけど、プロ生活を続けてきて、学校の部活動で育まれるようなハングリー精神は必要な部分じゃないかと感じる。

 そう考えると、高円宮杯やその地域予選にあたるプリンスリーグで、Jユース勢と高校勢が恒常的に対決する構図は良い。Jユースにいけば技術はつくから、高校勢はそうした選手たちの成長過程を目の当たりにすることになるし、逆にJユース勢は「あいつら、すげえ気持ちを持っているな」と驚くことになる。良いところを披露し合い、互いが刺激を得られる機会になっている。

 高校勢の強さとJユース勢のうまさが組み合わせられれば、当然いい選手は増える。だから、Jリーグのトップチームで、若い選手をハングリーに導く仕組みは作れないものかなと思う。例えば、プロという夢がかなった時の待遇。僕がジュビロ磐田に入った時は、人数が多かったのでサテライトで練習させられ、トップの先輩たちと会うことも意見を聞くことも簡単にはできなかった。風呂にも入れなかったし、マッサージも受けられなかった。格差がはっきりしていて、「ああいう人たちのようになるには、うまくなるしかない」と思わせられたものだった。

 今は各クラブの運営費が絞られているから選手の人数が少なく、だいたいが一つのチームで練習している。ジュビロでいえば、僕が入団した1995年の開幕時の登録選手は33人もいたのに、今年は28人。入団一年目でも練習が一緒にでき、給料を除けば、トップクラスの選手とほとんど待遇が同じということにもなり、プロの気分に浸って満足してしまったら先はない。給料にしても、年俸が以前のように上がらない現状では、結果を出してもどうせ給料は増えないという閉塞(へいそく)感もあって、ガリガリいくような選手はさらに出にくくなる。

 若手が伸びなければ、チームとして打撃となるだけでなく、日本のレベルアップも頭打ちになる。先述のように、特にJユース出身選手は恵まれた練習環境にいて、皮肉にも精神的な強さを育みにくい。ハングリー精神を持たざるを得ないような状況作りを、トップチームも含めて考えなければいけないのではないかな。

http://www.asahi.com/sports/column/TKY201010150132.html