「大宇」と言えば、かつては現代や三星などと肩を並べるような大財閥だったのですが、今では財閥グループとしては解体されてしまっています。
かつてのグループ企業の一つ「大宇自動車」の自動車部門は、その後「GM大宇」というブランドで存続していたのですが、そのブランド名が「シボレー」に変更されて「大宇」の名前が消滅するというニュース。
記事入力 : 2011/01/30 03:03:48
大宇自ブランド廃止、「GM」韓国定着なるか(上)
シボレー・ブランドは通じるか
GM「アルフェオン」、月1000台しか売れず
マティズが全販売の半数占める
新車8車種も品質・デザインが要ゼネラルモーターズ(GM)は今月20日、韓国GM(旧GM大宇)がこれまで使用してきた大宇自ブランドをシボレーに変更すると公式発表した。世界トップの自動車メーカーであるGMが、自らのブランドで再び韓国市場に殴り込みをかける。
GMは昨年、韓国市場で12万5000台を販売し、市場シェアで8.6%を記録した。しかし今年はブランド変更と新車投入、販売体制の改善などを通じ、前年比で約50%増の18万台、シェア12%を目標としている。「帰ってきたGM」は、果たして韓国で成功するのか。
■シボレー戦略は「もろ刃の剣」
専門家たちは、GMによるシボレー導入はもはや避けられない選択で、一部の消費者もこの判断に好感を抱いている、とみている。しかしこの選択が長期的に見てGMの販売台数の増大に寄与するかどうかは、あくまで未知数だ。
韓国GMのアンクシ・オーロラ副社長(販売・マーケティング担当)は「これまでの顧客の80%と潜在的顧客の65%以上が(大宇自よりも)シボレー・ブランドに好感を寄せている」と、ブランド入れ替えの根拠に触れた。しかしこれは、大宇ブランドのイメージが悪かったことを示しているのであって、シボレー・ブランドへのくら替えがすなわち販売増加につながることを保証しているわけではない。
ドイツの自動車メーカーのある役員は「シボレーの欧州でのイメージは、昔の大宇自ブランドよりももっと悪い」と話す。同役員は「GMが子会社であるドイツのオペルやイギリスのボクスホール、オーストラリアのホールデンをシボレー・ブランドに変えてしまうなどという話は、一度も聞いたことがない」とした上で「年間200万台(半製品と組み立て品を含む)を生産し、GMの稼ぎ頭となった“大宇自”はそもそも韓国人が生み出した。その韓国人が独自のブランドをいとも簡単にあきらめてしまえることの方が驚き」と話した。
これについて、KB投資証券のシン・ジョングァン研究員は「今年発売を控えているGMの新車が、ライバルを突き放すに値する品質と完成度を見せつけることができれば、販売台数は増加し、消費者も安く買えるようになるため、おのずと好感度はアップする」としながらも「デザインや品質がこれまでの大宇自とそれほど変わらなければ、逆にGMの米国化戦略は消費者に反感を買う恐れがある」と分析した。
記事入力 : 2011/01/30 03:03:53
大宇自ブランド廃止、「GM」韓国定着なるか(中)
■新車を8車種発売するとはいうものの韓国GMが今年発売する8車種の新車について細かく分析してみよう。まずは、スポーツカーの「カマロ」や「コルベット」だが、これは決して大量販売を期待できる車ではない。GMは、2006年にサターン(GMの傘下ブランドで現在は廃棄された)のスポーツカー「G2X」を導入したものの、1カ月に4、5台しか売れないという屈辱を味わった。
小型車の「アベオ」(旧GM大宇「ジェントラ」の後続モデル)も、韓国国内の小型車市場が年間3万台と小さい上に、現代・起亜自が今年新しい小型車を発売、大量販売は容易でない見通しだ。昨年GMは小型車「ジェントラ」を月平均で140台しか販売できなかった。こうした中、唯一のボリューム(大量販売)モデルになれそうなのは、今年7−9月期に発売される「マリブ」(旧GM大宇「トスカ」の後続モデル)。しかしこれも、最も激しい競争が繰り広げられている中型セダン市場で、現代自や起亜自、ルノーサムスンのシェア争いに割って入れるかは疑問だ。昨年GMが新型準大型セダンの「アルフェオン」を発売したが、月1000台の販売にとどまっている。
GMの今年の韓国市場でのシェア拡大目標について、専門家たちは、新車の販売台数を増やすよりも、すでに販売されているモデルをどれだけ多く売ることができるかに懸かっている、と指摘する。
問題は、GMで最も多くの販売台数を誇る「マティズ」だ。「マティズ」は昨年、韓国GMの全販売台数の50%を占めたほど、絶対的な役割を果たしたが、起亜自が24日に新型「モーニング」を発売したことで、今年の販売台数は減少する可能性が高い、とされている。昨年も新車「マティズ」の販売台数は、モデル変更を控えた旧型モデルの「モーニング」の販売台数のわずか半数にとどまった。
産業研究院(KIET)のイ・ハング機械産業チーム長は「韓国GMは8車種の新車を発売するというが、50%の販売台数の拡大は決してたやすいものではない」と、くぎを刺した。
記事入力 : 2011/01/30 03:03:57
大宇自ブランド廃止、「GM」韓国定着なるか(下)
■GM大宇を捨て韓国化、一歩間違えれば「毒」GMが従来のディーラー(販売代行会社)だった大宇自販と決別し、地域別の小規模ディーラー体制に変更したことは、GMの韓国内需市場の拡大戦略によるものだ。韓国GMは、これまでの輸出先だった中国や米国、インド、ロシアなどが相次いで現地生産体制に変更したことで、今では欧州以外への輸出がほぼ絶たれてしまった状態だ。従って、年間100万台の生産体制を向こう数年間にわたって維持していくためには、韓国で年間20万台は消化しなければならないことになる。
またGMは、販売部門をディーラーに任せ「アウト・ソーシング」することにより、販売費用や在庫の負担をディーラーに抱え込ますなど、韓国国内の自社組職を簡略化している。
GMのディーラー関係者は「GMには、韓国で自分たちの戦略を代わりに遂行してくれる手足が必要なのであって、“頭”の役割を果たす現地の人材は不必要だと考えている」と話す。実際、昨年末にインド出身のGM役員が内需販売責任者として赴任したほか、今月は品質部署の責任者さえも米国人に入れ替えられてしまった。現在は財務、人事、品質、販売・マーケティング、広報などほとんどすべての部門がGM本社の人材で賄】われている。
これについて、カトリック大学のキム・ギチャン教授は「GMが韓国GMの組職の現地化をないがしろにする場合、生産・販売の全部門で組織力は弱体化する恐れが高く、結局これはGMに毒となって作用する」と指摘した。
崔元碩(チェ・ウォンソク)記者
旧大宇自動車のバス部門であった大宇バスはこれとは別会社になっていますから、韓国の道路上から「DAEWOO」の文字が完全に消えてしまうというわけではありませんが、個人的には、「シボレー」ブランドが販売増に寄与するとはあまり思えないのですけどねえ。
韓国の自動車市場は、現代・起亜グループが圧倒的シェアを占め、残りをGM大宇・ルノーサムソン・その他の海外メーカーが奪い合うという構図になっています。その中でGM大宇のポジションはと言えば、イメージ的には上の記事にもあるように小型車「マティズ」が大半を占め、あとは中型以下のセダンがちょこちょこ、といった感じがします。
済州島でレンタカーを借りたときに乗ったのも、確かマティズだったような気がします(こちら参照)。質感もしっかりしていて、乗る分には特に問題はなく、快適な車でした。
ただ、この小型車市場、起亜の新型「モーニング」の評判がけっこうよくて、マティズは今以上の苦戦が予想されています。
日本のスズキのような位置取りを確保できるかどうか、韓国の小型車市場がいかに小さくとも、GM大宇改めシボレーが生き残っていこうとするなら、ここは生命線になると思いますねえ。
記事入力 : 2011/01/30 03:08:41
試乗記:起亜自の新型「モーニング」(上)
加速時は「底力」発揮…時速150キロまでは無難
計器盤とセンターフェイシア(運転席と助手席の間のダッシュボードにある中央コントロールパネル)に埋め込まれたボタンの照明には、白と赤のネオンが適度に織り込まれている。起亜自動車が24日に発売した新型「モーニング」を25日、ソウル市内で試乗し、商品性と競争力について分析した。
今回発売された新型「モーニング」は、2004年2月に発売された第1世代に次ぐ、7年ぶりのモデルチェンジとなる。初めて目にした感想は、現代・起亜自が手掛ける軽自動車や小型車の作り込みは、世界的水準に到達しているということだった。
■デザイン・室内空間:なかなかの作り…オーソドックスの中にも高級感
かわいらしさを強調した旧型「モーニング」のデザインが一部で引き継がれたが、前方のホイールアーチ(タイヤの上部を取り囲んでいる車体の金属パネル部分)からドアの取っ手を経てテールランプまで続く鋭い曲線がとても印象的だ。前のバンパーがラジエーターグリルよりも前方へ飛び出している様は、まるで下顎が飛び出している人の顔のようにも見える。
細かい完成度については申し分のない仕上がりだ。しかし、かわいらしい前面部は、サイドのラインや後部のテールランプの鋭さとは不釣り合いに見える。韓国GM「マティズ」の場合、鋭いデザインが軽自動車のイメージとは合わないという指摘もあったが、一貫性だけは高く評価できた。大きさは「マティズ・クリエーティブ」とほぼ同じとなった。車高は「マティズ」の方が35ミリ高い。
室内インテリアも良好だ。内装の一つ一つに高級素材を使用しているわけではないが、安っぽく見える要素はない。ボタンは操作感も良く、配列や使い勝手もなかなかだ。ダッシュボードが座席に向かってやや飛び出した格好となっているため、前部座席の空間にやや物足りなさを感じないわけではないが、小型車と比べても狭いとは思わない。むしろ落ち着いた室内インテリアからは高級感さえ漂ってくる。
後部座席は、足の置き場にやや狭さを感じるが、大人2人がゆったりと腰を下ろすことができる。前部シートは内部空間を広くするために薄いものを使用しており、座った際に搭乗者を包み込むようなリラックス感はない。後部座席の頭上空間は、ワンランク上の「アクセント」や「アバンテ」よりも余裕がある。背の高い大人が座っても、頭が天井に触れることはない。
記事入力 : 2011/01/30 03:08:45
試乗記:起亜自の新型「モーニング」(下)■無難な走り・燃費は同クラスで最高
新型「モーニング」は、エンジンの排気量が旧型と同じ1000ccだが、最高出力は82馬力と旧型(72馬力)よりも14%(10馬力)パワーアップしている。また、公認燃費もオートマチックトランスミッション(自動変速機)基準で1リットル当たり19キロと旧型(1リットル当たり18キロ)よりも約6%向上している。「モーニング」の競合モデルである「マティズ・クリエーティブ」は、最高出力が70馬力、公認燃費が1リットル当たり17キロと、新型「モーニング」の方が最高出力で17%、公認燃費で12%それぞれ上回っている。
新型「モーニング」の最高出力は「マティズ」よりも高いものの、実際に乗ってみると、両車種の間に加速力の差はほとんど感じられない。ただ発進から低・中速までの加速力は「モーニング」も「マティズ」もほぼ等しいが、底力は「モーニング」の側にやや分がありそうだ。「モーニング」は時速100−120キロくらいまでは引き続き加速できるため、その余力で時速150キロくらいまでは難なく伸びる。しかし、それ以上は限界だ。目の覚めるような加速は初めから期待しないことだ。また、エンジンが3気筒のため、4気筒に比べて回転数の高まりに応じて多少荒さを感じる。乗り心地は、ソフトでもなければハードでもなく、急な車線変更や激しいコーナリングでも絶妙な安定性を発揮する。
■総評:エントリークラスがおススメ、フルオプションモデルは高級車の雰囲気
「モーニング」は、オートマチックトランスミッション搭載車が1005万−1235万ウォン(約74万−91万円)だ。最高級タイプにサンルーフ、音声認識ナビゲーションなどすべてのオプションを加えたモデルは1495万ウォン(約110万2000円)になる。新型「モーニング」は旧型に比べてモデルによっては20万−60万ウォン(約1万4700−4万4200円)ほど高くなった。しかし、商品性の高まりを考慮すれば、新型「モーニング」のコストパフォーマンスは相変わらず国内最高で、これに対抗できるのは今のところ「マティズ・クリエーティブ」くらいしかないといえる。
1500万ウォン(約110万6000円)のフルオプション仕様について、「これだけの資金力があれば、アバンテを買った方がましだ。軽自動車を選択するはずがない」と考える人もいるだろう。しかし、このモデルは、フルオプション装備で小さな車に乗りたい人のためのモデル、といったスタンスだ。軽自動車の経済性や合理性を念頭に置いた実利派には、1005万ウォンのエントリークラスにオートマチックトランスミッションを搭載したモデル、という選択肢もありだろう。
崔元碩(チェ・ウォンソク)記者