「内側の人間」の人間性

「人間性の問題」があるのは確かですが、その一件が「外側の人間」の問題であったことによって、「内側の人間」の「人間性」が保障されるわけでもなんでもない、ってことは確認しておかないといけません。

人間性に問題のある「内側の人間」の例なんて枚挙に暇がないわけで、つまりそれは、制度の問題でもあるわけですよ。

研究者が捏造の一線を越えるワケ 森永卓郎氏「ホント、いい迷惑です」
2012.10.26

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)の世界的発見とノーベル賞受賞の快挙に泥を塗った森口尚史氏(48)。ハーバード大客員講師と偽り、やりもしないiPSの手術を成功したと公表、唯一ウソではなかった東大病院特任研究員という職を失った。でっち上げにもほどがあるが、研究者の捏造、盗用を振り返ってみると意外に多い。何が一線を越えさせるのか?

 目立てば目立つほどバレるのがウソ。

 「山中さんが取っちゃったから、『オレも』と功名心を抑えきれなかったのかなぁ」(国立大学の某教授)

 こんな声も聞かれるが、森口氏がマスコミに売り込んだのは9月中旬ごろで、京大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)が受けたノーベル医学・生理学賞の発表は10月8日。その直後に飛び出したトンでも話だったことからすると、快挙に刺激されてとは考えにくい。必要以上に注目を浴びることになり、実は最悪のタイミングだったとも言える。

 森口氏と同様、研究者の不正を探ってみると結構出てくる。

 有名なところでは、2000年に発覚したニセ石器事件。遺跡発掘の“ゴッドハンド”と言われた専門家が、それまで見つけた多くの石器について、自作自演だったことを認めた。

 04年には韓国のソウル大教授(当時)がヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作ったとして科学誌に発表したが、翌年、デタラメだったことが明るみに=表。いずれも大騒動となり、まじめに研究する専門家までうがった目が向けられる事態となった。

 「ホント、いい迷惑です」。森口氏の行状に憤るのは、経済アナリストで獨協大教授(労働経済学)の森永卓郎氏だ。

 「盗用、捏造、でっち上げ。やる意味もなければメリットもありません。“内”にいる側としてはなおさらです」

 同氏が言う内側とは、大学や研究機関の教授、准教授、講師、助教といった“正社員”のような安定した立場を指す。

 「内側では、論文を出せば同じ分野を研究する先生方が、事細かく査読するので不正はまずバレます。チェックの厳しさで言えば、ぼくもいまの職(獨協大教授)に就く際、書いた論文、著書をくまなく調べられました。テレビに出て、ちょっと有名になったから採用されたんだろうって思ってるかもしれませんが、信じられないくらいハードルが高いんですよ」

 一端、内側に入ってしまえば「極論すれば、論文を書かなくても食べてはいける」とも。「だから、捏造までして書く必要がないんです。まぁ、書かないのは書かないで問題ですが」

 内側に対しての外側は「一時的な立場」や外部の研究者を意味し、東大病院の特任研究員という期間限定の職員だった森口氏は、まさに外側の人だった。

 「外にいると、相互にチェックする機能が働きづらい側面があるほか、自然科学系の新発見は研究者たちの再現実験が追いつかないこともある。新しい研究成果を挙げるとポスト、昇進、社会的評価を得られるため、先走ってしまったのかもしれません。でも、ストレスやプレッシャーでは言い訳はできない。これは人間性の問題です」

 職と名誉と名声と。お騒がせ氏は、失ったものばかり…。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121026/dms1210261543015-n1.htm

まあ要するに、「内側」から「外側」の人間を見下ろすそのコメントに、「人間性の問題」を感じたわけです。

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