「週刊ポスト」のお墓記事

以前、「女性セブン」のお墓記事をクリップしたことがありますけど、「週刊ポスト」の方にも最近立て続けにこうした記事が出ています。こうした週刊誌の読者にニーズのある話題、ということなのでしょう。

「女性セブン」のお墓記事

記事はたくさんありますけど、個人的に興味のあるものを選んでクリップ。


散骨のような葬法を、例えばエコロジーの観点から推進する流れというのは、この数十年の間に確実に広がってきていると思います。ただ、下の記事にあるようなことも頭に入れたうえで、選択する必要があるでしょう。葬法の選択に拙速は禁物だと、個人的には思います。

また、韓国などでは経済合理性の観点から推進されている「自然葬」にも、同様の問題が生起する可能性はけっこう高いと思われます。生き残った者にとっての、「納骨堂」と「自然葬」との間の質的な差は、もしかしたら土葬と火葬の間よりも広いかもしれません。

人気の散骨 「お参りしたいが祈りの対象ない」と遺族痛恨の声
2013.05.04 16:01

 遺骨をお墓に納めずに、海や山などに撒く葬法である「散骨」が人気だ。横浜市が今年3月に取りまとめた「墓地に関する市民アンケート調査」では、22.6%の人が散骨をしたい(されたい)と答えている。

 散骨にはさまざまな方法がある。船で海上に出て行なう海洋葬、山林の所有者の許可を得て行なう山林葬、高空から海洋などに撒く空中葬などが一般的だ。ユニークなものでは専用カプセルに入れた遺骨をロケットで宇宙に打ち上げる宇宙葬も行なわれるようになった。

 お墓選びなどのサポートサービスを手掛ける「お墓案内センター」の寺田良平・代表はこういう。

「5年ほど前に希望する人が急増した散骨は、今はブームが落ち着いた感があります。『やってみたけれど後悔した』という人がいたり、樹木葬など別の選択肢も増えていることが、その背景にあると見ています。

 たとえば、散骨後に故人の兄弟や親戚から、『故人の遺志はどうあれ、お墓は絶対に必要だった』と非難を受けるケースはよくあるようです。また、『いざお参りしたくても、祈りの対象がない』と遺族が痛恨の声を漏らすこともあります」

 そもそも日本人の気質には合わないのではないかと指摘するのは、エンディングコンサルタントの佐々木悦子氏だ。

「たしかにロマンチックなイメージがあるのかもしれませんが、骨を撒くのは一瞬のことです。墓石のように永続的に故人を感じられるのとは違います。

 そもそも、日本人は遠く海外で戦死した方の遺骨を、戦後何十年経っても収集するほど遺骨を心の拠り所としています。骨を撒いてしまうのは日本人の感性にそぐわないのかもしれません」

 散骨には法律上の規制はなく、法務省の見解では、「節度を持って行なえば遺骨遺棄罪には当たらない」とされている。ただし、自治体によっては条例で散骨を禁止しているところもある。意中の場所があっても、その地域で可能かどうかの役所への確認が必要だ。

 また、どこであれ、散骨しても、土をかければ「墓埋法」違反になる。当然ながら、散骨は周囲の人たちの理解を得て、マナーを守ることが何より肝心だ。

週刊ポスト2013年5月17日号

http://www.news-postseven.com/archives/20130504_185820.html

かといって、墓地不足もまた深刻ではあります。ここに名前の出ている青山霊園などはある意味、日本近代史的な価値のある歴史遺産です。私のような庶民には、歴史めぐりの対象としてならともかく、自らのものとしてはまるで縁のないところです。

都心公営霊園に希望者行列 倍率は青山14.9、小平12.8、谷中12
2013.05.05 16:01

 高齢化に伴って死者数が増える大都市で、いま墓不足が深刻な問題となっている。

 墓地は大きく分けると、自治体が運営する「公営霊園」、法人が運営する「民間霊園」、境内の中に墓がある「寺院墓地」の3つに分けられる。中でも最も多くの人が希望するのが、無宗旨・無宗派で入れて、かつ費用も安い公営霊園である。

 その人気ゆえ、都内の公営霊園に入るのは至難の業だ。毎年1回、6月に希望者が募集され、7月に抽選が行なわれている。手元に埋葬されていない遺骨があることが応募条件なのだが、注目すべきはその倍率である。

 最も高い青山霊園(東京・港区)では、14.9倍。その他、小平霊園12.8倍、谷中霊園12.0倍、八柱霊園10.7倍などとなっている。公営霊園に入るために何年も家でお骨を抱えている人が相当数いるということなのだ。

 最近では墓不足対策のため、大きな墓が空けば細分化して分配する霊園もあるが、焼け石に水の状態である。

 一般に公営霊園は費用が安いが、「青山ブランド」とも呼ばれる青山霊園だけは別格的に高額だ。小区画でさえ436万円。墓石を入れると総額1000万円にものぼるという。相当な富裕層でなければ手を出せない代物になっている。

 だが、いくらお金を積もうが抽選に当たらなければ入れないのが公営霊園だ。何年も応募し続けている希望者も多いなか、公募以外で権利を手に入れる裏ワザはないのだろうか。

 霊園事情に詳しい、葬儀ビジネスコンサルタントの吉川美津子氏がいう。

「すでに権利を持っている知人から譲ってもらうことはできません。また、政治家など有力者を通じて霊園に入れたという話も聞きません。残念ながら、たとえ東京都知事でも正面から応募して当選する以外に方法はなさそうです」

 本誌は取材中、「公営霊園に顔が利くので斡旋できる」という石材店があるという情報を得た。しかし、実際には“裏口”から人気公営霊園に入る方法はない。その石材店はそれを謳い文句にして「手元に遺骨を抱えている上客」を集めて、最終的には民間霊園を勧めていたのである。

 霊園における石材店の役割は意外に知られていない。石材店とは読んで字のごとく、墓石販売をするところだが、実は民間霊園の経営にも深く関わっている。民間霊園の開発は1〜20社の石材店の出資によって行なわれるのだ。

 だから、民間霊園を選んだ場合、ほぼ間違いなく出資者である石材店から墓石を購入しなければならない。一方で、公営霊園ではどの石材店から購入しようが自由である。

週刊ポスト2013年5月17日号

http://www.news-postseven.com/archives/20130505_185826.html

歩いてみると、青山霊園や(週刊ポストは名前を挙げていませんけど)多磨霊園などは、歴史的な観点からもなかなか面白い場所ですけどね。

人気の青山霊園 1000平方メートル超え小神社並みの墓も存在
2013.05.06 16:00

 無宗旨・無宗派で入れて、かつ費用も安い公営霊園が人気だが、都内の公営霊園に入るのは至難の業だ。毎年1回、6月に希望者が募集され、7月に抽選が行なわれている。

 注目すべきはその倍率である。最も高い青山霊園(東京・港区)では、14.9倍。その他、小平霊園12.8倍、谷中霊園12.0倍、八柱霊園10.7倍などとなっている。

 都立霊園の中でも人気が集中している青山霊園には、多くの都民が行列をつくるなか、驚くほどの巨大墓地を持つ人々が存在する。

 そもそも青山霊園は1872年、明治政府神道を国教化した際、神葬祭専用墓地として設立された。神道では神社の境内に墓がつくれないため、外部に公営でつくられたという経緯がある。

 そういった歴史的経緯から、「明治維新」で活躍した人々が広大な敷地で安らかに眠っているのだ。

 多数ある墓の中でもひと際目を引くのが、明治維新の元勲で「維新の三傑」と称される大久保利通。中央に青銅色の顕彰碑が立ち、それに向かい合うように大久保利通と夫人の墓が建てられている。

 中にはまるで小さな神社かと見紛うような、ゆうに1000平方メートルを超えるほどの敷地を有している墓も存在している。

週刊ポスト2013年5月17日号

http://www.news-postseven.com/archives/20130506_185987.html

青山霊園 (1981年) (東京公園文庫〈33〉)

青山霊園 (1981年) (東京公園文庫〈33〉)

多磨霊園 (1981年) (東京公園文庫〈15〉)

多磨霊園 (1981年) (東京公園文庫〈15〉)