ブラック企業大賞2013

こういう企画は、話題になって知ってもらうこと、取り上げてもらうことにまず意義があると思いますので、話題してみましょう。

http://blackcorpaward.blogspot.jp/

ちょっとニュース検索をかけてみて、これを取り上げているメディアを確認してみると、なかなか興味深い傾向が見えます。そのへんは、「取り上げていないところ」を数え上げたほうが、明らかになるでしょうね。

ともあれ今回、これが目についたのは、「東北大学がノミネート」というネタの話題性によるものです。ただ、そこで挙げられているケースは確かにひどいのですが、それが大学業界の中で決して異質で特殊な例ではないという点に、もっと世間の目が向くようになればいいですねえ。

「研究環境抜群」東北大はブラック企業 「大賞投票」でワタミに次ぎ現在2位
2013/7/ 4 11:41

えっ、あの東北大学が「ブラック企業」? そう意外がる声が各所から上がっている。

東北大学といえば「研究第一」を掲げる名門校だ。ところがよりにもよってその研究環境が問題視され、「ブラック企業大賞」の候補にノミネートされてしまった。

ベネッセ、東急ハンズなどと並びノミネート

「競争力の高い研究者が、抜群の研究環境で指導します」

「一人一人の研究者が競争力の高い研究に取り組んでいるため、国の研究費補助も大きくなり、研究環境が整備され、研究はさらに進展するという好循環になっています」

そんな華やかなうたい文句を載せるのは、東北大学が新入生向けに配布しているパンフレットだ。

東北大学旧帝大時代から「研究第一」を学風とし、中でも理系分野ではノーベル化学賞学者・田中耕一さんらを輩出するなど、国際的にも名声が高い。

ところが2013年6月27日発表された「第2回ブラック企業大賞」では、東北大学は教育機関、しかも国立大学としては唯一、「ブラック企業」としてノミネートされてしまった。

ブラック企業大賞は弁護士、ジャーナリストなどからなる実行委が開催しているもので、今回が第2回目となる。企業をすべて実名で「名指し」してノミネートし、「賞状」を贈って労働環境の改善を迫るというもので、今回は2年連続登場のワタミフードサービスを始め、ベネッセコーポレーション西濃運輸東急ハンズなど8社が候補に入っている。

東北大学に対しては、これまでそれほど「ブラック」との評判があったわけではない。いったいなぜ、東北大学にこの汚名が降ってきたのか。

「新しい駒を探してください」と自殺

実行委員会ではその理由として、2つの事例を挙げた。

1つは2007年12月、同大大学院薬学研究科で助手を務めていた男性(当時24)が自殺した例だ。遺族の主張によれば、男性は自分の研究を優先できるとの約束で同年4月に助手になったものの、実際には仕事に忙殺され月100時間以上の時間外勤務、また生殖機能異常などの副作用を伴う抗がん剤の実験にも一人っきりで駆り出され、「もう子どもができない」と嘆いていたという。さらに指導教授からは「仕事が遅い。他の子を採用すればよかった」との叱責もあったともされ、結局男性は助手就任から8か月後、自らの所属研究室から投身自殺、遺書にはこう書かれていたという。

「新しい駒を探してください」

宮城労働局は12年3月、心理的負担の大きさを理由に労災と認めた。また遺族は大学を相手取り、約1億円の損害賠償を求め現在争っている。

男性准教授(当時48)が12年1月末に自殺した問題も、同実行委のサイトでは挙げられている。准教授は工学研究科の気鋭研究者だったが、大震災で研究室が全壊、その対応に日夜追われることに。さらにようやく研究再開のメドが立った直後、大学側は突如、研究室の閉鎖を告げた。准教授は直後に自殺した(12年10月に労災認定)。

なお同大をめぐっては過去にも、2008年に自殺した大学院生(当時29)の遺族が、自殺の原因が教員の「アカハラ」によるものだと大学を提訴したことがある。「研究第一」の大学としては、いささか不名誉な状況だ。

ブラック企業大賞」のページではノミネート企業を対象としたウェブ投票を行っているが、3日午後現在、東北大学ワタミに続く2位にランクインしている。この問題につき、同大学に取材を試みたが、担当者不在を理由にコメントは得られなかった。

http://www.j-cast.com/2013/07/04178649.html?p=all

あの会社がない「ブラック企業大賞ノミネート」
2013年07月01日 11時00分

 昨年から始まった「ブラック企業大賞」のノミネート企業が6月27日、発表され「あの企業が入っていない」と物議をかもしている。弁護士やジャーナリストらで結成された同大賞実行委員会で約40社から8社にエントリーをしぼった。厚労省記者クラブには多くのマスコミが詰め掛けた。最近注目されているのが、過労死や長時間労働、パワハラ、セクハラなど労働環境の厳しい企業のことを指すブラック企業。この問題に光を当て、改善しようという趣旨で同賞が生まれた。今回、ノミネートされた企業(法人)はワタミクロスカンパニーベネッセコーポレーションサン・チャレンジ王将フードサービス西濃運輸東急ハンズ東北大学の8つ。理由にはそれぞれ過労死や、退職に追い込むための「追い出し部屋」の存在、長時間労働などが挙げられている。

 だが、マスコミによく登場する“あの有名会社”がないではないか。実行委員の佐々木亮弁護士は「ユニクロについてもノミネートすべきと議論を重ねました。しかし、ほかの企業と違って具体的事例を把握できなかった」と話す。公的に過労死と認定されているなどの事実がなく、無理だったという。

 別の実行委員は「ユニクロはよく法的手段に訴えるんですよね。だから、ノミネートするなら具体的な事実がないと対抗できない。現場で働いている人にもっと声を上げてほしいが、残念ながら今のところない」と明かす。ユニクロ社長の言動も議論の中で問題視されたが、それだけではパンチが弱いと判断された。

 昨年は東京電力が大賞となった一方、ウェブ投票ではワタミが断トツだった。参院選自民党比例代表候補として立候補するワタミの創業者渡辺美樹会長(53)は27日、ワタミでの役職をすべて辞任したと発表したが、同社には強力なライバルがおらず「今年こそはブラック企業大賞」とささやかれている。

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/157349/

現時点のウェブ投票では、ワタミが4分の3の票を集める勢いで断トツのトップとなっていますが、東北大学も1割を超える票が集まっていますね。個人的には、散発的に取り上げられることはあってもなかなかまとまって問題にされることがなかった大学の労働環境を問題化するためにも、ぜひ東北大学に頑張ってほしいと思っています。