夢を見た。

滅多に見ない夢を見た。

眠るあの子の口から漏れ出た、

胸の締め付けられるような苦しさと、

一つ間違えれば向こう側に行ってしまいそうな絶望は、

紛れもなく私のものだった。

私の話 (河出文庫)

私の話 (河出文庫)

(あの子が今、そんな境遇からは解き放たれていることを、心から寿いでいる。)

何に影響されて見た夢か、心当たりはいくつかある。

(そもそもあの子に弟はいない。)

手を取って、その先を聞こうとしたその時に、目が覚めた。覚めてしまった。

written by iHatenaSync