考えてみれば、関西空港へのアクセスは、鉄道がJRと南海、高速道が阪神高速湾岸線と阪和自動車道とそれぞれダブルで揃っていて、決して悪くはないのですが、かといって京阪神からそう近いわけでもなく、成田よりはマシといった程度です。
http://www.kansai-airport.or.jp/access/
つまり、アクセスにかかる時間と費用がけっこうバカにならないわけで、そこにどんな手を打つかというのは、空港にとっても利用者にとっても割りと切実な問題になります。
関空へのアクセスの一端を担いながら飛行機と競合もするJR西日本もいろいろ考えているようですが、費用を節約したいLCC利用者向けに南海が手を打つというのも理にかなったやり方です。「1000円でラピート」というのはわかりやすくていいですね。こういう特急車両に乗れれば、それはやっぱり楽ですし。
ピーチから始めてジェットスターグループを加えるということですけど、今後はそれに韓国系LCCや国際線のエアアジア系なども加えれば、就航先の各国での知名度もぐっとアップして、外国人の利用率の向上につなげられるかもしれません*1。空気運んでも仕方ないですから。
http://www.kansai-osaka.com/lcc/
関空利用客増、鉄道・バスが争奪戦
通訳や割安切符などサービス強化策続々 LCC、円安…乗車15%増
外国人観光客らに切符の説明をする通訳案内係(右)(JR関西空港駅の切符売り場で)=浜井孝幸撮影格安航空会社(LCC)の就航や円安などの影響で、関西国際空港の旅客数が伸びている。空港に接続する鉄道やバスの昨年度の利用者総数も前年度より15%増え、この10年で最多の1935万人に達した。こうした追い風を受け、鉄道、バスの各社はこれらの客を囲い込もうと、通訳案内係の配置や割安切符の発売、路線の新設などサービス強化策を次々と打ち出している。
新関西国際空港会社によると、国際・国内線の旅客数は2012年度で約1680万人。前年度より約290万人増えた。
近畿運輸局の集計では12年度、交通機関のうち、最も利用者が多いのはJR西日本の760万人で、南海電鉄621万人、リムジンバス516万人と続く。いずれも前年度比20〜13%伸び、03年度以降では最多。12年度の総数は、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)が猛威を振るった03年度より約260万人(15%)増えた。
JR西が力を注ぐのは、外国人観光客向けのサービス。山陽・九州新幹線が、福岡、鹿児島などを結ぶLCCと競合するためだ。
「京都や奈良をお得に周遊できる切符はこちらです」。JR関西空港駅の切符売り場で15日、通訳案内係の中国人留学生の女性(21)が滑らかに説明すると、京都などの観光地を訪ねるという台湾人の女性(23)は「電車の乗り方まで丁寧に教えてくれて助かった」と喜んだ。
JR西は9月、初めて同係を配置したほか、関西や中四国などで使える外国人向けの乗り放題切符を用意。主要駅では公衆無線LANサービスの提供も始めた。
一方、南海が強化しているのは、JR西と競合するLCCとの連携だ。
昨年末、ピーチ・アビエーションの利用客限定で、関空―難波間の特急「ラピート」の乗車券を片道1000円(通常1390円)で発売。好評だったため、今年3月の販売終了を取りやめて継続し、4月、同様の企画にジェットスターグループも加えた。
近鉄バスや関西空港交通などが個別や共同で運営し、計約30路線があるリムジンバスの12年度の利用者数は開港(1994年度)以来、最多だった。10月からは、京都、大阪、奈良にまたがる「けいはんな学研都市」からの発着便を1日3往復増やすなどし、今月には東大阪エリアからの路線(1日13往復)も新設した。
関西空港交通の営業担当者は「LCCの利用客を見込み、早朝や深夜帯に運行しやすいバスの利点を生かして新たな運用も仕掛けていきたい」と話している。
(2013年11月18日 読売新聞)
ま、とか言いながら、ほとんどリムジンバスで往復しているんですけどね。そちらには早朝深夜便の増強に期待しましょう。
*1:「円安で増える旅客」っていうのは、「日本から出発する人たち」ではないはずです。