【名古屋の風景】名古屋市平和公園・万国戦没者墓地

これは、流れとしては津の陸軍墓地からの続きとなります。

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場所は、名古屋の地下鉄東山線東山公園駅から見て、東山動物園とは反対側の丘の上。徒歩で20分くらいでしょうか。

ここは、第二次世界大戦後、土地区画整理事業の一環として、市内各所の寺院にあった墓地が集められた場所です。各寺院の名前で区画されて数えきれない墓碑が立ち並ぶ光景は、なかなか壮観です。墓地であると同時に公園でもあり、市民の憩いの場ともなっているようです。

名古屋市平和公園(千種区)

平和公園 (名古屋市) - Wikipedia

歴史紀行 なごや戦災復興の物語


で、この広大な墓地公園の中に、名古屋の旧陸軍墓地ともいうべき墓域もあります。ただし、ここもまた他の墓地と同様に、本来あった場所から戦後になって移転して、ここに置かれたものです。

シリーズ 戦争を考えるための遺跡③◆ 名古屋市平和公園陸軍墓地 - ピースあいち メールマガジンVol_19

戦争遺跡の部屋 - 名古屋陸軍墓地

名古屋陸軍墓地 - 鎮魂の霊地

位置としては、公園入口からメインストリートを進み、第2案内所を過ぎた先、バス停があるあたりになります。



戦前にあった陸軍墓地をどのように移したかは不明であるとはいえ、慰霊碑を中心に、兵卒・将校クラス、そして数多くの合葬墓碑から外国人戦死者の墓碑までが立ち並ぶその光景は、公園内でも独特の雰囲気をたたえています。







で、この墓域に立ってみて特徴的だと思うのは、中心の慰霊碑を除けば、特定された個々人の名前に徹底的にこだわられた墓地となっている点です。

日露戦争以前に建てられた古い個人墓が丁寧に移され、並べられているというだけでなく、入って左手に並べられている合葬墓碑も、その多くは、合葬されている個人名が正面以外の三面にぎっしりと刻まれています。ここまで個人名にこだわりのある合葬墓は、管見の限りですが他の陸軍墓地ではあまり見たことがありません。




また、他でもよく見る砂岩製の兵卒墓碑の中には、表面の剥落や碑そのものの崩壊が見られるものが少なからず目に付きますが、そうした破片が丁寧に集められ、丁重な扱いを受けていることをうかがわせるものも少なくありません。



当初の場所から移転しているという意味では共通項のある津陸軍墓地とは対極にあるような、死者の個人個人の存在が前面に出ている名古屋の戦没者墓地のあり方は、両墓域にどのような違いをもたらしているのか。もう少し調べて考えてみないといけないなーと思っています。