【世宗の風景】世宗市公園墓地・追慕の家

世宗市公園墓地のお話もようやく最後になります。

第1墓域の隣に立っている納骨堂。「追慕の家」というのは納骨堂に付けられる一般的な名称で、他でもよく見かけます。こちらの建物は、2001年12月着工、2003年10月竣工ということで、先にみた旧納骨堂「霊楽園」の遺骨受け入れを引き継ぐものです。



9000基の遺骨受け入れが可能だということですが、入ってみるとどうもがらんとしています。


それもそのはず、1階の入って左手、第1追慕室から第3追慕室までしか、納骨はされていません。納骨壇の様子を見てみても、ぎっちりではなく、けっこう抜け抜け状態です。いったん納骨した後、取り出された形跡のある納骨棚もあります。法律的な使用期限(最初の更新時期)は納骨から15年後ですから、これはそれぞれの個別的な事情によって、その時期(ここであれば早くても2018年)を待たずに移されたのだと考えられます。



第2追慕室も似たような状態です。第3追慕室に至っては、入り口近くの2列しか使われていません。後はまったくの「空き」です。




2階に至っては納骨壇すら未設置です。



このガラガラっぷりは、ソウル顕忠院の「忠魂堂」を思い起こさせます。が、あそこよりもさらに輪をかけた不人気物件と言ってもいいでしょう。もっとも、現場の雰囲気からして、それに焦ってるような感じはありません。のんびりしたものです。

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同じ世宗市の銀河水公園も、ここよりもはるかに大きくて立派な納骨堂を備えているのですが、火葬の利用は順調に増えているものの、納骨堂の利用は全然進んでいないと聞いたことがあります。もしかしたら、忠清道のこのあたりでは、今なお納骨堂は「自分たちの葬法」として受け止められていないのかも知れません。

この頃では、ドラマなどを見ていれば納骨堂は普通に出てくるのですが、あれもテレビの(=都会の)話として理解されているとしたら、身近な死者のための選択肢に入ってこない、ということは考えられます。

そのあたりの「意識の変化」を見るとしたら、この追慕の家は格好の観察対象となるでしょう。おそらく10年単位のタイムスパンが求められるだろうと思いますが。