【北京の風景】丰台区(豊台区)を歩く・その6:丰台西站(豊台西駅)とその周辺

こちらの続き、豊台区を歩く旅もこれが最後です。

d.hatena.ne.jp

とにもかくにも、「丰台西站」という名前を掲げた鉄道施設らしきところまで来たのですが、その中を見てみても、駅らしさを見せるものは特にありません。切符を売っているわけでもなく、乗降客が出入りしているわけでもなく、そもそも建物の中に駅舎らしい駅舎も見当たりません。

念のため、この敷地の裏に回って、線路を覗いてみましたが、そこにも特に何もありません。

それもまあ、当然と言えば当然のことで、この豊台西駅は駅とはいっても旅客駅ではなく、中国語で言う「編組站(編組駅)」、英語では「marshalling station」となるのでしょうか。日本語だと「貨物駅」か「操車場」といったところでしょうが、ここはその編組駅として中国最大の規模を誇ります。

編組站 - 维基百科

丰台西站 - 维基百科

丰台西站_百度百科

丰台西站_互动百科

丰台西编组站_图片_互动百科

豊台西駅のことを日本語で書いたものはネット上ではあまり見かけませんが、それでも目にしたのはこのあたりです。

鉄道写真館 - 北京南

輸送統計から読む、中国景気回復の行方:日経ビジネスオンライン

「ある日、給料がいきなりカットされるのではないか」――。ここ数カ月というもの、北京の豊台駅に勤務するある駅員は、給料明細を受け取るたびにハラハラしている。彼によると、隣の豊台西駅では駅員の給料が「既に10%カットされた」。その理由はノルマの未達だ。

 豊台西駅は華北、華東、中原、東北、西北向けの貨物の集散を担う中継地点である。同駅の駅員によれば、金融危機の発生以来、貨物の輸送量は目に見えて減った。「運ぶべき貨物がないため、駅構内には何編成もの貨車が滞留している」と、この駅員は言う。

 こうした状況は鉄道省の統計にも表れている。全国の鉄道貨物輸送量(発送ベース)の伸び率は、今年1月に初めて前年同月比マイナスに転じて以来、4月まで連続してマイナスが続いた。もっとも、下げ幅は縮小しつつある。1〜4月の総発送量は前年同期比5.7%減と、1〜3月よりも0.6ポイント回復した。

 輸送量の落ち込みの背景には、貨物そのものの著しい減少がある。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090605/196784/?P=1

京広高速鉄道 GDPを年300億元牽引 - 人民網日本語版

 京広高速鉄道は既存の路線の輸送力も上昇させた。鉄道第三勘察設計院集団有限公司の孫樹礼チーフエンジニアによると、同鉄道の開通により、京広鉄道は旅客と貨物が分離され、既存路線の貨物輸送能力が大幅に向上した。おおまかな計算によると、豊台西駅(北京市から武漢北駅までの貨物輸送能力は約2千万トン増加し、鉄鋼、セメント、ガラスの製造といった伝統産業の発展を支える力強い輸送能力を保障することになったという。

http://j.people.com.cn/94476/8073057.html

中国の鉄道貨物輸送については、こんな論文もあります。

李瑞雪「中国鉄道貨物輸送システムの高度化に関する一考察―コンテナ・ターミナルのネットワーク整備を中心に―」(2013)


ともかく、ここは巨大な貨物駅なので、鉄道の乗降客が集まることはありませんが、貨物を取り扱う労働者や鉄道関係者は集まってきます。人の出入りをほとんど見なかった豊台西駅の正門前に、北京東駅の深沟村と同様の、それよりももう少し新しい(といっても現在はすっかり古びています)集落―豊西鉄路住宅小区が存在するのも、そうした鉄道労働者との関係においてです。豊台西駅ができたのは1956年ということですから、この集落の「発展」の歴史は、およそ60年ほどの長さということになるのでしょう。





ちなみに、豊台西駅が貨物駅であり、鉄道労働関係者以外の住民があまりいなかったこともあってか、ここは地下鉄駅からはかなり遠く離れていて不便な立地になっています*1。歩いて帰ることはできないかと、ここで地図検索をした時には、クラクラしました。ここまでどんなけ歩いたと思てんねん。

さすがに諦めて、豊台西駅前から出ている349路のバスに乗って、豊台東大街の駅前まで行くことにしました。

こんな時に持っていると心強いのは、北京市の交通カード「一卡通」です。料金や小銭の有無を気にしなくても乗れますからね。

超お得!北京交通カード「イーカートン」 - エイビーロード

ということで、北京市の郊外にあって近現代の庶民の生活とともに歩んできた豊台区を歩く一日旅は、ここまでとなります。

*1:近くを通る地下鉄16号線が開通すれば、もう少し便利になると思います。