【北京の風景】北京市八宝山人民公墓・その3:革命公墓と人民公墓との違い

こちらのさらに続き。人民公墓のお話はこれにて締めくくるとします。

【北京の風景】北京市八宝山人民公墓・その2:狭くても新たな死者を受け入れるための方策

革命公墓と人民公墓とは、もちろんその受け入れ対象者が違うわけですが、そのことが更なる違いを生み出しています。

革命公墓は世に知られた人々や何らかの模範となるべき人々が眠っています。ということは、革命公墓への墓参は、そのような人々の事績に触れる機会ともなり、おそらく社会教育的な効果も期待されているはずです。



去年はなかった大型スクリーンが、この八宝山革命公墓に眠る「偉人」たちの紹介ビデオをエンドレスで流していたのも、遺族だけではない不特定の来訪者向けのものであることは間違いありません。ということはつまり、どこの誰がここを訪れようとも、文句を言われることはないということです*1

そこがまさに、人民公墓が革命公墓と異なる点です。

人民公墓は、一般市民を受け入れている墓地なので、ここに墓参に訪れるのは基本、そこに眠る人の遺族・関係者に限られています。そんな墓参者は、目指すお墓がちゃんとあるわけで、物見遊山の見学者のように、あっちにフラフラ、こっちにフラフラするようなことはありません。


ということは、目立つんですよ。私のような闖入者は。

最初の区画を見て回っているところで、警備のお兄さんに早くも職務質問されてしまいました。

お互い言葉が通じないことに困惑しながらも、「悪意があるわけではなく、あくまで見学しているだけだ」と説明すると*2、無線で上長に報告された上で、とりあえず解放されました。

なので、引き続き見学を続けます。

ただ、「なんか変なヤツが来ている」というのは、警備員間では認識されていたと思われます。その後の行動は、確実にマークされていたはずです。



私もそれはわかっていたというか、皮膚で感じていたので、自重して振る舞っていたつもりだったんですけど、いろいろ見て回っているうちに、だんだん気が緩んできたんでしょうね。


今から思い返せば、「ちょっと自重のタガが外れたかな」と思うまさにそのタイミングで、二人がかりで声を掛けられ、そのまま見学中止→退場と相成りました。特に威圧的に来られたわけではなかったのですが、そこはおとなしく従うほかありませんでした。

*1:骨灰堂のような一部区画は除かれますが。

*2:通じていたのかどうかは不明です。