【大田の風景】大田顕忠院の特別な墓域を、散策路を経由して見て回る。

大田追慕公園についてもいろいろ見て回ったのですが、とりあえずはその次に訪れた大田顕忠院から。

地下鉄の顕忠院駅から顕忠院までの道、以前はほとんど何もなかったのですが、ハンバッ大学校周辺のニュータウン開発が少しずつ進んでいる影響もあってか、ようやくご飯が食べられる店も見られるようになってきました。大田顕忠院は広いうえに訪問者がちゃんと食事できる施設はないはずなので、食べ損なうと救いがありませんからねえ。


で、何度目か忘れましたが、こちら。

330万平方メートルあるというこの国立墓地は、一度の訪問で全部見て回るのには無理があります。

なので、レンタサイクルというのは、なかなかいいアイデアです。次回は借りてみようかな…。

さて、今回の目的は、小さいほうの標識に出ている場所をまとめて見ることです。

これ、標識案内がずっとありますから、それらを忠実に辿っていけば行けますけど、そこまでの距離はけっこうあります。全部回るならそれなりの覚悟をしてからどうぞ。特に、残暑の残る紫外線のきつい時期などには。



というわけで、訪れた順番に。まずは延坪島砲撃戦戦死者墓所。ここは、一般の墓域の中に、2名の戦死者のための墓碑と、特設された顕彰碑が設置されています。



次に、その近くにある天安艦46勇士墓域は、道路に面した墓地の一角が低い柵で区切られ、正面中央に顕彰碑が置かれる形になっています。人数が多いだけに、こうした形が採られたのでしょう。また、こうした専用墓域が造れるということは、この墓域は当時、まだ安葬が始まっていなかったエリアだ、ということも示しています。この周りの一般のお墓は、この墓域が造成された後に安葬された人たちのものです。



と、いうことはつまり、こうした特設墓地は新しいものほど新しい墓域に造られる、ということになるわけで、2002年の出来事とはいえ、今年になって犠牲者の墓地を統合して新たに墓域を造ることになった延坪海戦戦死者墓域はこれらよりももっと奥まったところにある新しい墓域に置かれることにならざるを得ない、ということになります。

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なので、これらの墓域からはちょっと移動します。目指す場所に行くには、高低差もあります。墓域でいうと、士兵第4墓域の一角ですね。



天安艦46勇士墓域も、当初はこんな感じだったと思います。延坪海戦戦死者墓域も今はまだ少し落ち着きませんが、いずれはここも墓碑で埋め尽くされ、静かなたたずまいを見せることになるでしょう。




さて、この延坪海戦戦死者墓域のある墓域をさらに奥に歩いていくと、報勲散策路の入り口に出ます。


これは、広大な大田顕忠院を取り巻くように計画されているもので、これまでに第1〜第3段階まで完成しており、つい先日、第4段階も完成したようです。ただ、その両区間をつなぐのが車両も通る一般道路だったため、現在はその連結路を作っているところです。それが完成すれば、大田顕忠院の外周の林の中を歩いて大回り一周できるようになるみたいです。


ということで、第1段階から第2段階あたりは歩いたこともあるので、新しく開通した第4段階の報勲散策路を歩くことにします。

基本、周辺の山の斜面に道がつけられており、途中の展望スポットではこんな感じで墓域を見渡すことができます。

ただ、この区間、開通させることが優先されたのか、散策路というにはかなり無理がある急斜面の難所もあちこちに…。かつて歩いた報勲散策路の第1段階などではウッドチップが敷き詰められていた道も、まだ土が剥き出しになっています。となれば、歩きやすくない靴で足を踏み入れるのは避けるのが、賢明な人間の振る舞いです。

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やれやれ。やっと脱出してたどり着いた、反対側の入り口がこちらです。

ここを振り返ると、そこは警察官墓域。ということはつまり、東義大事態殉職警察官墓域があるところです。延坪海戦戦死者墓域からここに来るための近道として第4段階の報勲散策路を歩いたのですが、かえって大変だったかもしれません。

あれ?掲げられている看板が、以前のものとは替わっていますね。

少なくとも去年の冬は旧来のままで、この看板ではありませんでした。

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これが、今まで見てきた特別墓域のものと同じ楕円形の新しいものになっています。ついでと言っては何ですが、ついでに整備されたんですかね。地面に埋められている石板も、新しいもののようです。



いずれにせよ、この看板は、「彼らのことも忘れられてはいない」ということを示す、意味のある変化です。

以上、今回はこれまで。さすがに疲れましたので、帰りはシャトルバスに乗ることにしましょう。歩くとそれなりの距離があるので、30分間隔で地下鉄顕忠院駅との間を往復しているこれは、あると助かります。