SMAP騒動に比するべきは、KARAではない。

そう言えばですね。

似たような時期に「解散」というキーワードで浮上した話なので、KARAとSMAPという日韓の2グループが並べられるのをしばしば目にしましたが、これらは必ずしも似た話ではない、と思うのです。

9年間の貢献を認めたうえで、本人たちの意思を最大限に尊重し、「当社は彼女たちの将来に惜しみない応援と幸せをお祈りします」とはなむけの言葉を公式声明に盛り込んだDSPメディアのKARAへの対応は、ジャニーズ事務所SMAPへの対応とは似ても似つかぬものです。

これまでにいろいろあったことは事実ですが、そういう意味ではええ会社やん、DSPメディア。

http://ameblo.jp/loveyouwithallmyheart/entry-11711943920.html

(でもまあ、「それくらい普通やん」と言える芸能界であってほしいものです。)

抗いがたい圧力によって、心にもない言葉を口にさせられ、決して本意ではない謝罪をさせられて、人間の尊厳を削るというシーンを見させられた、という点において、私があの場面から連想したのは、兵役時に一から十まで用意されたセリフを(いろいろな目が光る中で)「言わされた」イトゥクであり、青天白日旗を振ったという理由で謝罪に追い込まれたTWICEのツウィでした。

つまり、そこで連想されたのは、ジャニーズ・軍隊・国家という並びです。

女性に兵役を課す徴兵制度?


記事入力 : 2016/01/19 09:14
ツウィに謝罪させた韓国芸能事務所に批判「人種差別・人権弾圧」

台湾出身ツウィ、どうして韓流アイドルに?
13歳の時のダンス動画「ユーチューブ」で見たJYPが台湾に行きスカウト
練習生2年、3カ月前アイドルグループのメンバーとしてデビュー
携帯電話CM起用、番組出演オファー優先順位ナンバーワン
多文化センター「人権委にJYPを提訴」

 韓国の新人アイドルグループ「TWICE」のメンバー、ツウィ(16)の言動が連日韓国・中国・台湾で波紋を呼んでいる。韓国の番組で台湾「国旗」を振ったという理由で、中国のネットユーザーから激しい批判を浴びたのに続き、「見せしめ」のように中国に対し謝罪する動画が公開され、台湾で人々の怒りを呼んでいるためだ。13歳の時に「コリアン・ドリーム」を夢見て芸能事務所練習生として韓国に来た台湾の少女は、なぜ韓中台3国の懸案に浮上してしまったのだろうか。

■ユーチューブの動画でJYPがスカウト

 台湾・台南出身のツウィは中学生だった13歳の時、韓国の大手芸能事務所JYPエンターテインメントの練習生に選ばれ、ソウルに来た。JYP関係者は「スカウトチームのスタッフが偶然、動画共有サイト『ユーチューブ』にアップされていたツウィのダンス動画を見て、『可能性を秘めている人材』だと考え、台湾まで行ってスカウトした。子どものころからダンスレッスンを受けていたツウィはダンスや歌が好きで、K-POPも好きだったことから、すんなり契約した。練習生の時から優しく素直な性格で、仲間やスタッフの間でも評判が良かった。韓国料理もよく食べ、ホームシックもなく、すぐに韓国に慣れた」と語った。

 2年の練習生期間を過ごした後、昨年10月にアイドルグループTWICEのメンバーとして正式デビューした。ケーブルテレビチャンネルMnetの番組『SIXTEEN』がその足掛かりになった。『SIXTEEN』はJYPが新人アイドルグループをデビューさせるため、所属する女性練習生16人を競い合わせ、そのうちの一部だけをメンバーに選ぶというオーディション番組だ。ツウィは当初、ほかの候補に比べダンスや歌の実力が劣っていたが、番組の中盤あたりから実力をぐんぐん伸ばした上、ルックスがいいことからファンが増え、ファン投票1位になった。ツウィが番組に出ている様子が台湾でも知られるようになり、台湾のファン1万人以上も投票に参加、とうとうTWICEの最終メンバーに入った。

■本放送には出ていないのに…

 デビュー後、TWICEのメンバーの中でもひときわ注目を浴びたツウィは、通信企業「LG U+(エルジー・ユープラス)」のCMモデルにも起用された。同社は、ライバル企業の「SKテレコム」がアイドルグループAOAのソルヒョンを打ち出したマーケティングで人気を得ているのを受けて、「ツウィ・フォン」のCMで対抗した。これで人気に火がつき、バラエティー番組の出演オファーで優先順位ナンバーワンになった。

 問題はこうした時期に起こった。昨年11月22日のMBC『マイリトルテレビ』に出演したツウィが台湾「国旗」の「青天白日満地紅旗」を振ったことが後に問題になったのだ。この番組は、芸能人がそれぞれ個人のインターネット放送をして視聴率を競い合い、後にそのネット放送を編集してテレビで放映するものだ。ツウィはTWICEの日本人メンバー3人と一緒に出演した。4人は自己紹介の時、それぞれの国の「国旗」を振った。しかし、テレビの本放送では編集でカットされ、この部分の放送はなかった。

■人権問題に飛び火

 ところが、それから2カ月たった今月8日、台湾の独立に反対している台湾出身の歌手、黄安が台湾「国旗」を振るツウィの写真を中国のインターネット上にアップしたことから波紋が広がった。JYPとパク・ジニョン代表は「政治的な意図はなかった」と釈明、ツウィが謝罪文を読み上げたが、波紋は収まっていない。韓国では「ツウィ騒動」は人権問題に広がりつつある。社団法人「韓国多文化センター」は18日、「『ツウィ騒動』を起こしたJYPエンターテインメントとパク・ジニョン代表の人種差別・人権弾圧行為を国家人権委員会に提訴し、検察に告発する方針だ」という声明を発表した。

権承俊(クォン・スンジュン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/19/2016011900948.html

この場合、JYP個人を責めるのは酷だと個人的には思います。「中国からの激しい批判や非難の矢面に立たされた所属歌手を守らなければならない」というJYPの立場に置かれたとき、「私なら異なる選択を取った」と言いきれる韓国人は、果たしてどれほどいるでしょうか。

この騒動の本丸、主体はJYPではありません。

記事入力 : 2016/01/19 09:24
【コラム】映画『悲情城市』とツウィ台湾旗騒動

 16日の台湾総統選で野党民進党女性候補蔡英文氏が与党国民党をダブルスコアで圧倒して勝利した。しかし、当初はそれが何を意味するのかを心で感じ取ることはできなかった。

 しかし、ある事件が起きた。韓国の芸能事務所に所属するガールズグループの一員として活動中の台湾人少女が過去に台湾の国旗を手にしていた映像が報じられ、中国の反発を買い、結局少女がカメラの前で中国人に謝罪するという事態に発展した。

 それを見て、長い間忘れていた侯孝賢ホウ・シャオシェン)監督の台湾映画『悲情城市』(1989年)を思い出した。「悲しみの都市」を意味するタイトルの同作品は中国国民党が台湾に移る以前から台湾に住んでいた本省人、林阿禄一家の波乱の歴史を描いている。歴史的背景はこうだ。1945年に台湾は51年間にわたる日本の植民地統治から脱したが、今度は中国本土から渡ってきた少数の外省人、すなわち中国国民党政府による支配下に置かれる。本省人と国民党政府の対立は47年の2・28事件で爆発する。台湾南部の高雄を中心に本省人が独立運動を展開すると、国民党政府は無差別の鎮圧を行い、3万人を超える死者が出た悲惨な事件だ。本省人は無能な国民党政権が自分たちを武力で統治しようとしているとして、むしろ「親米親日」のほうがましだと考えた。しかし、49年に国民党政府が共産党との内戦に敗れ、台湾に追いやられると、国民党による台湾統治は固定化してしまった。

 映画は植民地統治からの解放から国民党敗戦まで4年間に家族がどのように崩壊していったかを描く。林阿禄には4人の息子がいたが、長男は親日派扱いされた弟をかばおうとして、やくざの銃弾に倒れて死ぬ。次男は日本によって軍医として召集され戦死する。三男は親日派とされ、国民党政権の警察に連行された後、発狂してしまう。それでも無事だったのは、8歳のときに頭部を負傷して聴力を失った四男、文清(梁朝偉トニー・レオン) だけだった。口があっても話せず、耳があっても聞こえない文清は当時の本省人の置かれた状況を象徴している。そんな文清も友人の台湾独立運動組織が警察に一網打尽にされ、それに巻き込まれてどこかに連れ去られてしまう。

 事件から長い月日が流れ、映画の中の悲しみや怒りはある程度和らいだとばかり思っていた。しかし、今年新年早々、16歳の少女がまるで罪人かのように登場し、「私は中国人であることを誇りに思う」と話す姿を目にした。中国と台湾の関係、強い者の論理に合わせざるを得ない国際政治の厳しさは改めて繰り返すまでもない。しかし、事件が中国ビジネスなどに与える悪影響ばかりを心配することは、台湾人の受け止め方に関係なく、非常に悲しいことだ。少女の謝罪映像を見てそう感じた。

 民進党の圧勝をめぐって、中台関係の変化や北東アジア情勢を論じるのもよい。しかし、少女が感じた戸惑い、それを見た台湾人の張り裂けるような思いについても一度は考えてみる必要があるのではないかと思う。

崔元碩(チェ・ウォンソク)国際部次長

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/19/2016011901000.html

「批判や告発をするならまず中国に向けてやろ!」とツッコみたいところですが、中国のほうは実はもう事態収拾に動いていて、完全に一枚上をいっています。

記事入力 : 2016/01/19 08:50
韓国アイドルグループ「TWICE」ツウィ台湾旗騒動、中国が事態収拾に動く

 中国は韓国ガールズグループ、TWICEの台湾人メンバー、ツウィ(周子瑜)による「国旗騒動」の事態収拾に乗り出し、国営メディアでツウィに同情的な報道を始めたほか、事件のきっかけをつくった台湾出身の歌手、黄安も一部から批判を浴びている。

 「ツウィ」というインターネット検索は一時できない状態だったが、現在は歌やミュージックビデオも普段通りに検索できるようになった。国営の中国中央テレビも音楽チャンネルでツウィの公演画面を放送した。

 中国共産党機関紙、人民日報(海外版)のソーシャルメディア「侠客島」は17日、「ネットユーザーのツウィ批判は狂ったポピュリズムだ」とする評論を掲載した。評論は「中国のネットユーザーによるツウィ批判は集団的狂乱のレベルだ。多くの人がツウィの気持ちを考えることなく、事件の背後にある複雑な政治ゲームや歴史的対立についても考えなかった」と指摘した。

 南京大台湾研究所の劉相平副所長は、台湾紙・中国時報に対し、「今回の事件はツウィに対する中国のネットユーザーの感情が悪化していると考えた企業が状況判断を誤った上、台湾総統選という局面が重なったために起きたものだ」と分析した。

 中国のパワーブロガー、楊恒均は16日、「黄安はツウィが青天白日満地紅旗(台湾国旗)を振ったことを『台湾独立支持』の唯一の証拠として挙げたが、黄安も過去にテレビ出演した際、青天白日満地紅旗を振ったことがある」と書いた。

北京=アン・ヨンヒョン特派員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/19/2016011900871.html