元慰安婦支援財団「和解・癒し財団」の出帆

今後の推移を見守らないといけませんが、膠着した問題状況に変化をもたらしていくための、重要なターニングポイントになる可能性を秘めています。

後々振り返る起点になるかもしれませんので、日韓両サイドの記事をまとめてクリップ。できることなら、これらを肯定的に振り返ることができるようになってほしいと思っています。

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慰安婦支援財団は波乱のスタート 学生ら占拠で会場騒然=韓国
2016/07/28 15:58 KST

【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者を支援する財団「和解・癒やし財団」が28日、正式に発足し、本格的な活動を開始した。

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警察に連行される大学生ら=28日、ソウル(聯合ニュース

 財団設立は、慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意に基づく。両国は被害者の名誉と尊厳を回復し心の傷を癒すため、韓国政府が支援財団を設立し、日本側が10億円を拠出することで合意した。

 ソウル市内の財団事務所では午前10時から第1回理事会が開かれた。財団の理事長は、設立準備委員会委員長を務めた金兌玄(キム・テヒョン)誠信女子大名誉教授が就任した。理事は準備委員を中心に構成された。

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理事会の様子=28日、ソウル(聯合ニュース

 今後、被害者への支援をどのように行うか具体的な内容はまだ決まっていない。財団は、被害者に直接的な支援を提供する事業と追悼のための事業の二つに分けて進める計画だが、直接的支援の割合を最大限増やし、まずは被害者の意見を反映させる方針だ。

 事業費は日本政府が拠出する10億円を充てるが、拠出の時期は確定していない。財団は10億円全額を被害者支援のために使い、賃貸料や人件費など付帯費用は別途調達する方向で検討中だ。

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記者懇談会で質問に答える金理事長=28日、ソウル(聯合ニュース

 金理事長は記者懇談会で、日本側が繰り返し撤去を求めるソウル・日本大使館前の少女像に関する質問に対し、「合意内容を見ても、少女像と10億円は全く別問題だ」と述べた上で、少女像と10億円拠出を結びつけることはあり得ないと思えばよいと強調した。

 財団の事業の方向性については「財団設立の目的は被害者の傷を癒し、尊厳を回復することだ。これ以外の目的のための支出はできず、支出自体行わない」と説明した。

 また、財団の名称に使われた「和解」は、「被害者と歴史の和解でもあり、(財団に)反対する人々との和解でもある。加害者を許さなければ癒しにならない。われわれが誠意を持って寄り添ったときに、被害者が加害者を許し、許しが和解につながる」と語った。

 しかし、一部の被害者と、慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)など市民団体は、慰安婦問題の犯罪認定や真相究明、正式な謝罪、法的賠償、責任者の処罰などを求めており、財団の設立自体に強く反発している。6月には独自の財団「正義記憶財団」を発足させた。

 金理事長は、被害者37人と個別面談を行い、意見を聞いたとした上で、「反対者は多くなかった。反対の方々もいつかはわれわれと共に歩むことができると思う」と述べた。財団側は被害者の大多数が財団の趣旨に同意したと説明している。

 一方、記者懇談会終了後、ある男が金理事長の顔に催涙スプレーのようなものを吹きつけながら抗議する騒動があった。

 挺対協など市民団体は財団事務所の前で記者会見し、慰安婦問題をめぐる韓日合意は無効だと訴えたほか、記者懇談会の会場を大学生約20人が占拠し警察に連行されるなど、財団は発足早々から波乱に見舞われた。

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財団事務所前で記者会見する市民団体関係者=28日、ソウル(聯合ニュース

http://japanese.yonhapnews.co.kr/pgm/9810000000.html?cid=AJP20160728003100882

慰安婦支援財団発足 韓国外交部「心の癒し願う」
2016/07/28 16:22 KST

【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は28日の定例会見で、旧日本軍の慰安婦被害者を支援する財団「和解・癒やし財団」が正式に発足したことについて、「一人でも多くの被害者の方が生きているうちに、心の傷が癒されることを願う」と述べた。

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会見する趙報道官=(聯合ニュース

 財団発足に伴う記者懇談会の終了後に、ある男が財団の金兌玄(キム・テヒョン)理事長の顔に催涙スプレーのようなものを吹きつけながら抗議した騒動については、遺憾を表明。「財団発足によって、われわれが目標にしていたさまざまな事業が支障なく着実に履行されることを望む」と強調した。

 日本側が繰り返し撤去を求めるソウル・日本大使館前の少女像については「昨年12月28日の合意文通りだ。わが政府としては可能な対応策について、関連団体との協議などを通じ、適切に解決されるよう努力していく」と説明した。

 日本側が拠出する10億円の用途をめぐり、韓日両国間で意見の食い違いがあるのかとの質問には「合意趣旨に基づいて日本側と必要な協議を行っている」と述べた。

 韓国政府に登録されている慰安婦被害者238人のうち、生存者は40人(国内38人、国外2人)。今年に入って亡くなった慰安婦被害者は6人。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/pgm/9810000000.html?cid=AJP20160728003400882

慰安婦財団が発足 会見場に学生が乱入する混乱も
ソウル=東岡徹 安倍龍太郎=ニューヨーク、武田肇 2016年7月28日13時06分

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慰安婦の写真を掲げて、慰安婦問題の日韓合意に基づく財団設立に抗議する市民団体=28日午前、ソウル、東岡徹撮影

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28日午前、ソウル市内に設置された元従軍慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」の看板除幕式。尹炳世外相(左から3人目)らが出席した=東亜日報提供

 慰安婦問題の日韓合意に基づいて韓国政府は28日、元慰安婦を支援する財団を設立した。名称は「和解・癒やし財団」。理事長には財団設立準備委員長を務めていた女性の金兌玄(キムテヒョン)・誠信女子大名誉教授が就任した。日本政府も合意に従って、8月にも予算から財団に資金10億円を拠出する方針だ。会見場では、抗議の学生が乱入するなどの混乱があった。

 財団は28日午前にソウル市内で第1回理事会を開き、正式に発足した。理事は理事長を含めて10人。日韓関係に詳しい有識者に加え、外交省と元慰安婦を支援する女性家族省の担当局長も入った。理事は最大15人まで選任できることから、韓国政府は将来的に合意に反対する団体の代表らも加われないか模索している。

 韓国政府によると、政府に登録された元慰安婦は238人で、昨年12月の日韓合意後に6人が亡くなり、存命中は40人になった。平均年齢は10日現在で89・8歳。高齢化するなか、財団はできるだけ早く事業を始めたい考えだ。

 金理事長は記者会見で、準備委員長として元慰安婦37人と面会したとし、「少数を除き、財団が設立されれば、事業に参加するという意思を明らかにしてくれた」と語った。事業の具体的な内容については説明は避けたものの、元慰安婦の要望に沿った支援を行う考えを示した。

 日韓合意によると、財団では両政府が協力し、元慰安婦の名誉を回復するなどの事業を行うことになっている。財団の準備委員会関係者によると、事業としては元慰安婦や遺族に一定額を支給する案が有力視されている。

 これに対し、日本政府内には元慰安婦らに一定額を支給するとしても「賠償金」と受け止められないかとの懸念もある。日本政府は賠償問題については1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。日韓の調整が難航すれば、開始が遅れる可能性がある。両政府は今後、外交当局の局長協議などで事業内容の検討を急ぐ。

 ただ、韓国では元慰安婦の支援団体や野党を中心に、合意自体への批判も根強い。日韓の長年の懸案だった慰安婦問題が解決に向かうかは、実際に元慰安婦がどの程度、財団の事業を受け入れるかが焦点になる。

 一方、日韓合意ではソウルの日本大使館前に設置された「少女像」について、韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」とされている。韓国では少女像の移転に反対する意見が多いことから、韓国政府は当面、財団の事業を通じて、元慰安婦や世論の理解を広げ、移転に向けた環境を整えることを優先する構えだ。

 元慰安婦に対する事業をめぐっては、95年に日本政府が主導して設立した「アジア女性基金」が韓国で支持されず、「償い金」などを受け取った元慰安婦が61人にとどまった経緯がある。

 「和解・癒やし財団」の金理事長の記者会見が予定されていた会場には、合意破棄を求める大学生ら約20人が乱入した。連れ出そうとする警察官らともみ合いになり、記者会見場は混乱した。記者会見終了後、金理事長が会場の外に出たところで、男が護身用スプレーのようなもので液体を浴びせた。金理事長は病院に搬送された。(ソウル=東岡徹)

     ◇

 韓国政府が28日に元慰安婦を支援する財団を設立したことを受け、岸田文雄外相は27日夜(日本時間28日午前)、訪問先の米・ニューヨークで記者団に対し「韓国政府が(日韓)合意内容を履行するべく、元慰安婦の方々に説明を続け、努力してきた」と評価した。

 合意に盛り込まれている日本側による10億円の拠出について、菅義偉官房長官は28日の会見で、「日本側からの資金支出の具体的な時期は未定だ」と語るにとどめた。ただ、日本政府は、8月中に予算から10億円を拠出する方針だ。日本側は拠出前にどんな事業を展開するか確認する必要があるとしており、菅氏も「現在、日韓両政府で事業の詳細について調整中だ」と語った。

 また自民党内には、ソウルの日本大使館近くの少女像の移転を先行させるべきだとの意見が根強い。岸田氏は「韓国側が適切に対処すると認識している」と語り、韓国政府が少女像の移転に努力するとした日韓合意の履行を改めて求めた。(安倍龍太郎=ニューヨーク、武田肇

http://digital.asahi.com/articles/ASJ7T52L9J7TUHBI01B.html

(時時刻刻)日韓合意履行、見切り発車 慰安婦財団発足
2016年7月29日05時00分

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慰安婦問題をめぐる主な出来事

 日韓関係で最大の懸案だった慰安婦問題をめぐる昨年末の合意から7カ月。反対派の説得や少女像の移転問題にめどが立たないまま、「和解・癒やし財団」が発足し、日韓両政府は合意の履行に踏み出した。慰安婦問題を含む両国関係は今後、どこに向かうのか。▼1面参照

 ■少女像移転、韓国触れず

 28日午前11時前、ソウル市内に用意された「和解・癒やし財団」の記者会見場。突然、大学生ら約20人がなだれ込んだ。警官隊に排除されるまでの約30分間、「財団設立を中止しろ」「屈辱的な韓日合意を廃棄しろ」と叫び続けた。記者会見を終えた財団の金兌玄(キムテヒョン)理事長に、男が液体をかける事件まで起きた。

 韓国政府は元々、財団の設立を27日に予定したが、「水曜日には日本大使館そばで定例の元慰安婦支援集会があり、混乱しかねない」(政府関係者)として、28日に変更していた。

 それほど、韓国政府は日韓合意以降、世論に神経を使ってきた。当局者は元慰安婦らを個別に訪問して支持の取りつけに奔走し、怒鳴られることもあった。

 この懸念が、少女像の移転への言及を避ける姿勢につながった。韓国外交省報道官は28日、「適切に解決されるよう努力する」と語っただけ。少女像は財団に反対する人々にとって「追慕と記憶の象徴」(韓国挺身〈ていしん〉隊問題対策協議会の尹美香〈ユンミヒャン〉常任代表)で、移転反対の世論は根強いからだ。

 一方、日本側には、移転が実現しなければ「財団への10億円拠出の前提条件とすべきだ」と主張する自民党内を収められないという不安がつきまとっていた。

 安倍晋三首相は日韓合意後、「(少女像の)移転ができなかったら、俺だって厳しい」と周囲に漏らしていた。「韓国に譲りすぎた」との批判を恐れてのことだ。

 日本側は、今月中旬にモンゴルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合の際、日韓首脳会談を持ちかけたが、韓国は応じなかった。韓国政府関係者は「会談をやれば事後説明が必要になり、少女像に関心が集まる。政治的な負担を避けたかった」と語った。

 ■賠償扱いの支給、日本懸念

 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は、慰安婦問題を重視した政治責任と元慰安婦の高齢化への危機感から、財団設立を急いできた。合意への反発が残るなかでも「5月中の財団設立準備委員会発足」「7月中の財団発足」という具体的な時期を指示した。

 日本政府は「韓国政府が合意内容を履行するべく、元慰安婦の方々に説明を続け、努力してきた」(岸田文雄外相)と評価。8月中に10億円を拠出する方針も決めた。背景には「『こちらはお金を出した。移転についてはわかっていますよね』と韓国側に迫ることができる」(官邸関係者)との考えがあった。

 日韓合意は、韓国側が財団を設立し、日本側が10億円を拠出するという「両国が汗をかく」(岸田外相)仕組みだ。履行が滞れば、韓国側に責めを負わせられると判断したからだ。

 ただ、日本側は7月の参院選への影響を考慮し、財団の設立時期や10億円の拠出時期、その使途について気をもんでいた。

 首相官邸は外務省に対し、拠出時期は参院選の期間を避けることや、財団がどんな事業に拠出金を使うのか、韓国側にクギを刺すよう指示した。

 10億円を元に韓国側が元慰安婦や遺族に直接現金を渡した場合、事実上の「賠償」となりかねない。日本側は1965年の日韓請求権協定で賠償問題は「法的に解決済み」との立場であり、「協定問題が再び蒸し返されかねない」(首相周辺)との懸念があった。

 財団を評価した元慰安婦の多くは、現金の支給を希望してもいる。反対派の元慰安婦らは「賠償金でなければ受け取らない」と主張。韓国政府内には「慰安婦の支援である以上、現金の支給は必要だ」との意見もある。財団側は28日、元慰安婦らをどう支援していくのか、詳細を語らなかった。

 ■進展、関係全体に影響

 韓国政府関係者は「韓日合意がなければ、1月の北(朝鮮)の核実験に対する連携もなかった」と語る。慰安婦問題が動かない間、朴政権は日韓間の他の問題に手がつけられない状態だった。その最悪の時期は脱したが、日韓両首脳が両国内の反対派を抑え込んで実現した政治決断に見合う成果はまだ見えない。

 韓国観光公社の統計では、今年1~5月に韓国を訪れた日本人は約86万人。昨年同期より1・9%増にとどまる。韓国貿易協会によれば、今年1~6月の日韓貿易額は約335億ドル(約3兆5千億円)で、昨年同期より9・7%減った。

 朴大統領と安倍首相の2人による首脳会談は昨年11月の1度だけだ。8月下旬に見込まれる日中韓の外相会談に続き、年内に3カ国の首脳会議も開かれ、朴大統領が初めて訪日する可能性は高い。日韓双方にはこの機会に、交渉が滞っている軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結へ進展を期待する声もある。

 中国が9月に杭州で開く先進20カ国・地域(G20)首脳会議の後、日本に強硬な姿勢に戻るとの見方も根強い。中国に理解を示す韓国との間で、立場が食い違う可能性もある。日韓両政府はともに、関係改善には慰安婦問題の進展が欠かせず、財団の事業推進や少女像の移転問題が両国関係全体に影響するとみている。

 (牧野愛博=ソウル、武田肇

 ■日韓合意(要旨)

慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感。安倍首相は、日本の首相として改めて、心からおわびと反省の気持ちを表明する

・韓国政府が元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府の予算で資金10億円を拠出し、両政府が協力し、事業を行う

・この措置が着実に実施されるとの前提で、両政府は慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する

・韓国政府は少女像について適切に解決されるよう努力する

・両政府は今後、国際社会でこの問題について互いに非難・批判することは控える

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12485090.html

慰安婦財団、支援へ前進 一定額の支給案、有力
2016年7月29日05時00分

 昨年12月の慰安婦問題の日韓合意に基づいて、韓国政府が28日、元慰安婦の名誉回復などに取り組む「和解・癒やし財団」を設立した。日韓の関係悪化の象徴だった慰安婦問題の解決に向けて、財団の設立は一歩前進と言えるが、残された課題は少なくない。▼2面=見切り発車、14面=社説

 韓国政府によると、政府に登録された元慰安婦は238人。日韓合意後に6人が死去し、生存者は40人になった。韓国外交省報道官は28日の記者会見で、「慰安婦被害者の方が一人でも多く生きていらっしゃる間に、心の傷が癒やされることを願う」と述べた。

 元慰安婦への支援をめぐっては、日本政府が主導して1995年に「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)が設立された。民間の寄付をもとに1人あたり200万円の「償い金」を支給し、政府資金による医療・福祉支援事業を実施。だが、日本政府による賠償を求める韓国の支援団体などが反発し、受け取った元慰安婦は61人にとどまった。

 その教訓を生かし、今回は韓国政府が財団を設立して、日本政府が資金10億円を拠出。両政府が協力して事業を行う形をとった。アジア女性基金とは違い、韓国政府が韓国での理解を得る役割を担う。

 財団の理事長に就任した金兌玄(キムテヒョン)・誠信女子大名誉教授(66)は28日の記者会見で、元慰安婦37人に会い、多くが支持を明らかにしたと説明した。だが、一部の元慰安婦や市民団体は日韓合意に反対し、韓国の世論調査では合意への不支持が支持を上回る。金理事長は、反対している元慰安婦らについて「同じ道を歩いていく日が来ると信じている」としたが、元慰安婦らがどの程度、事業を受け入れるかが今後の焦点になる。

 事業の内容にも課題が残る。財団関係者によると、元慰安婦や遺族に一定額を支給する案が有力視されているが、日本政府には懸念がある。日本政府は、賠償問題は65年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、「賠償金」と受け止められれば、「過去の協定と矛盾する」(外務省幹部)ためだ。調整が難航すれば、事業が遅れる可能性がある。

 また、日本政府はソウルの日本大使館の近くに設置された「少女像」の移転を求め、日韓合意でも韓国政府が「解決されるよう努力する」とされたが、移転に向けた具体的な道筋は見えていない。韓国政府は「財団の活動を通じ、移転問題で世論の理解を得ていく」(政府関係者)との考えだが、移転には反対の声がさらに強いのが現状だ。

 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決をうたった日韓合意と、それに基づく財団を世論全体が支持する環境をつくっていけるかが重要な課題となる。(ソウル=東岡徹、牧野愛博)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12485018.html