日大フェニックスのラフプレー問題:日大選手・父母会の動き

この事件と一連の事態について、当のフェニックスの選手たちがどう見ているか。断片的には漏れてきていたものが、徐々にはっきりした形になってきました。

日大フェニックスは、当該選手を含む選手・父母会と、彼らを踏みつけて逃亡を図る大学当局・監督・コーチ陣とに分裂した、と言ってもいいでしょう。事態はすでに、「日本大学関西学院大学」という図式からはみ出しつつあります。

日大選手「声明文」出す意向 タックルした選手守るため
2018年5月24日23時49分

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会見する日大アメリカンフットボール部父母会の会長と副会長=東京都港区

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で、日大選手が関学大選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、日大アメフト部の選手たちが、タックルした選手を守るために「声明文」を作成する意向であることが24日わかった。関係者が明らかにした。

 声明文には、23日に緊急会見した内田正人前監督らの発言と、選手たちの見解の相違点などを明記する予定という。選手の一人は「次のスタートを切るための一歩。今ここでモヤモヤしていても、うまくいかない。どうなるか分からないけど、前に進んでいきたい」と語った。

 また、この日、同部の保護者ら約110人が東京都内で父母会を開き、選手を支援することを決めた。

 同会会長は、4年生の選手代表から連絡があったことを明らかにし、「選手としても一致団結したい、声明を上げたいと言っているので、それを支援したい」と語った。父母会、選手はそれぞれ代理人を立てることも検討しているという。

 また、会長は内田前監督らの会見には、「大学の対応に憤りを覚えた。(タックルした)守備選手の発言が正しいのではないか」と私見を語り、けがをさせる指示のあったことについては「(他の父母からも)聞いたことがあります」と話した。

https://www.asahi.com/articles/ASL5S73Q7L5SUTQP043.html

しかも、アメフト界から前監督らを追い出すか、もしくは日大を丸ごと追い出すか、といった処分が実現したとしても収まりきらない問題が、そこには見え隠れしています。アメフト界はともかく、日本社会から追放するにはデカすぎる日本大学のスケールが、こうして効いてきているわけですねえ。

日大アメフト部選手ら集会「箝口令あった。内田前監督は学校から去ってほしい」近く声明も
2018.5.25 11:59 dot.

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日大の選手は退場したあと、負傷者用のテントの中で、声を上げて泣いていた(c)朝日新聞社

 日本大学アメリカンフットボール部の選手が関西学院大学選手へ危険タックルした問題が迷走している。

 宮川泰介選手が「指示された」と名前をあげた日大の内田前監督と井上奨前コーチが23日、会見し、宮川選手の証言を否定。「指示はしていない」「怪我をさせろとは言っていない」などと弁明し、お互いの主張が対立している。

 そんな中、日大のアメフト部の選手らが24日、緊急ミーティングを開催した。

 参加した宮川選手の同級生の現役選手はこう打ち明ける。

「宮川一人を悪者にして保身に走る内田前監督、井上前コーチの記者会見があまりにひどい、許せないという批判が多数あった。内田前監督、井上前コーチが辞めたからと言ってもチーム、学校を信頼できないという思いです。そこで、宮川が戻ってくるまで、練習には参加しないという結論に達しました」

 そして、問題の危険タックルに対する、内田前監督、井上前コーチの「指示」の有無については、こう話す。

「多くの選手が、内田前監督や井上前コーチの言葉を聞いており、宮川の言った通り、指示があったのは間違いない。危険タックル問題が騒ぎになって、部員たちに『マスコミにしゃべるな』と箝口令が言い渡された。危険タックルへの指示がなければ、箝口令なんて、必要がない」

 この日のミーティングでは、宮川選手がアメフト部でプレーをするにはどうすればいいかという話題も話し合われたという。

「僕たち部員らが声をあげて、内田前監督らから危険タックルの指示があったと証明して、宮川をどう助けられるか、アメフト部の父兄会にも相談しています。このままなら、宮川のフットボール、いや人生まで奪われかねません」

 また、アメリカンフットボールの関東学生連盟1部リーグに加盟する16大学の緊急監督会が24日、開催。

「現状のままで、秋のリーグ戦も日大と試合をできない」との見解で一致した。

「秋のリーグ戦に参加できなければ、4年生はもう終わり。日大のイメージが悪くなって就職もやばい。就活した友人が『あの日大とイメージが悪く、企業から変な目で見られて困っている』と愚痴ってました。昨日のミーティングでも『参加できないなら日大でアメフトをやっていても仕方ないと意見もあった。また、廃部ともウワサされており、下級生は『他の大学に移ってアメフトをしたい』と言っている選手もいます。本当なら、自分も実名で内田前監督らの指示のことやうちの部の実情を訴えたい。けど、それができない事情があるのです」

 先の現役選手がこう打ち明けるには理由がある。

 その一つは、内田前監督が日大の常務理事で人事担当というポジションについていることだ。田中英寿理事長に次ぐ、ナンバー2ともいわれている。

「内田前監督は学校の人事を握っている。選手の中には将来、教員として日大の関連の学校でとの思いの選手もいる。就職に関しても、内田前監督からにらまれて、就職担当者を通じて『あの学生はダメだ』とひとこと、企業側の耳に届くともうアウト。大企業でアメフトを続けることはまず無理ですよ。内田前監督には、日大から去ってほしい」

 混迷する日大の危険タックル問題。日大教職員組合文理学部支部は24日、声明文を出し、田中理事長の記者会見、関係者への謝罪と再発防止、組織改革の具体案を示すこと、理事会から独立した第三者委員会の設置などを求めている。

 一方、関学は25日、日大の再回答について記者会見を予定している。だが、先日の内田前監督らの会見通り、「指示」を否定しているようだ。また、スポーツ庁も調査に乗り出した。混迷は当面、続きそうだ。(取材班)

https://dot.asahi.com/dot/2018052500023.html

ともあれ、質の悪い人間が権力を抱え込んでいる状況は、実に厄介です。