「全社員に英語禁止令」というニュース

いやしかし実際、実用面をクリアしてそういう方向に進んでもらえれば、語学のまったくできない私なんかは明らかな受益者なわけで、歓迎せずにはおれませんよ。

ロゼッタが全社員に英語禁止令
ロゼッタ 2021年3月1日 15時16分

株式会社Matrix(本社:東京都新宿区 代表取締役:五石 順一)はVR(仮想空間、パソコン、スマホ上のリモートで外国語が話せなくても自由に会話できる「言語フリー・スペース」の実験に成功した。それを受けて同社が属するロゼッタグループでは、3月1日付で全社全社員に対して英語を話すことを全面禁止する「英語禁止令」が発令された。

勤務中に日本人社員が英語を話すこと、外国人社員が日本語を話すことを一斉に禁止し、会話するときにはWEBスマホVR上の「言語フリー・スペース」で行う。以下は「英語禁止令」の実際の文面(原文ママ)。

英語禁止令(外国語禁止令)
感無量です。
創業から17年、ついにこの日がやって来ました。
今ここに高らかに宣言します。
我々はついに言語的ハンディの呪縛から解放されました。
「言語フリー」の世界が実現しました。
長年に渡って人類を分断し続けた言語の壁は、今ここに崩壊したのです。

3月1日から、グループ全社全部門において、仕事中で、
内外の(社内だけではなく外部の接客・商談であっても)外国人と話をする時に
日本人社員が英語および中国語を話すことを禁止します。
外国人社員が日本語を話すことも同様に禁止します。

つまりみんな母国語だけ使って話をするのです。
英語の会議で半分くらいしか理解できなかったり、
英語だけ話せて仕事ができない人に担当させたり、
仕事ができる人が英語を話せないだけで外されたり、
一見日本語ペラペラの中国人が全然分かってなかったり、
日本語が話せないエンジニアを採用できなかったり、
語学ができるがゆえに本職じゃない翻訳をさせられたり、
長年続いた暗黒時代は終わりました。

外国人との会話は、WEB上の言語フリー部屋で行ってください。
VRでなくてもいいです。PCやスマホでもワンクリックで入れます。
英語だろうが中国語だろうが日本語だろうが、本人の母国語だけで話すことができます。

今こそ目が覚める時です。
人種や性別とまったく同じように、英会話力など、本業の能力とは何の関係もありません。
英語ができる無能な人が重宝され、本当に実力のある人々が抑圧される暗黒時代はもう終わったのです。
英語ができないだけで不遇な目に会っていた、優秀で素晴らしき人達。あなた方はついについに、檻から解放されたのです。自由に、羽ばたいてください。思う存分、きらめいてください。
また、たまたま語学ができる人に、本業と関係ない翻訳仕事を依頼するのも無しです。

*本当にネイティブ並みに話せる人もいるにはいるので、代表承認を得ることで外国語を話すことを例外的に許可します。該当者は外国語使用許可の申請を行ってください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000006279.html

まあ、私はこの会社とは無関係ですので、どんな風に事態が進むのか、興味を持って眺めています。

www.fnn.jp

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2020年2月末時点でロゼッタグループの全社員数は261名だが、英語禁止令はどう受け止められているのだろうか?また翻訳精度はどのぐらい高いのか?
担当者に聞いてみた。

社員の多くは狂喜乱舞で喜んでいます

――「言語フリー」は精度など会話にまったく支障がない?

もちろんタイムラグはあるし、精度も完璧ではありません。
しかし中途半端な語学力でやる方が頻繁にミスコミュニケーションが起こり、はるかに支障があるので、言語フリーによって、逆に本当の相互理解になり、圧倒的な生産性向上につながります。

――「言語フリー」は外国語が母国語で表示されるけど、音声化はしない?

音声出力の分だけタイムラグが増えるだけなので、今のところは必要性がないので音声化は考えてません。
やろうと思えばすぐできます。

――禁止令で、日本人社員・外国人社員の反応は?

多くは狂喜乱舞で喜んでいます。
元々外国語に自信があった人達は黙ってますが、内心面白くないと思っていると想像します。

――逆に、英会話を主とする会社についてはどう思う?

言語フリーのテクノロジーがない状態では、普通にあり得る選択の一つだったと思います。国際ビジネスの公用語は英語ですから、グローバルを志向する会社が国際公用語を社内公用語にするのは当然のことと思います。

――隠れて外国語を使ったのがバレたらどんな罰がある?

処罰はありません。
言語フリー部屋を使わないで、外国人とのコミュニケーションができず、仕事の生産が落ち、時代に取り残されていくのが実質的に十分な罰になるからです。

現在、MATRIX社は「言語フリー」スペースを一般に提供する準備を進めており、サービス開始は5月ごろを予定しているという。2人で10分以内なら無料で、それ以上の場合は最低月1万円からの有料サブスクリプションになるそうだ。

翻訳機能が進化すれば、こういう考え方もありだと思えるが、世の中がグローバル化する中で今後はどちらに進んでいくのだろうか。

https://www.fnn.jp/articles/-/152232