公立小中学校での教員不足

今日び、この手の話はホントにそこら中に溢れていて、ここに具体的に報じられているところ以外でも洒落にならない話をいくらでも聞けるはずです。

blue-black-osaka.hatenablog.com

当たり前ですが、ここでいう「公立学校での教員不足」は、「教員免許保持者の不足」ではないので、教育大学や教育学部の増設・拡張によって解決できる問題ではありません。文部科学省は注意深く避けて通っていますけど、基本的には教員の配置の問題と処遇の問題、突き詰めれば人に対する国の予算やカネの配分の問題ですよ。「働き方改善」だの「使命感」だの「やりがい」だのに言及するのは、そこを解決した上でのことにしてください。

いえ、そこが解決できないからそんなことを言ってるってことくらい、わかってますけどね。ネコの手を借りるわけにもいきませんし(今どきそれも有料です)、まずは解決の努力くらいしなさいよ。

f:id:bluetears_osaka:20170706115621j:plain

公立小中学校の教員数 全国で700人以上不足
7月4日 9時24分

全国の公立の小中学校の教員の数が、ことし4月の時点で定数より少なくとも700人以上不足し、一部の学校では計画どおりの授業ができなくなっていることがNHKの取材でわかりました。これまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足が要因と見られ、専門家は「国や自治体は早急に実態を把握し、対策を検討すべきだ」と指摘しています。

全国の公立の小中学校の教員は、国が学校ごとの児童や生徒の数に応じて毎年、定数を算出し、それをもとに各地の教育委員会が配置しています。

NHKが全国の都道府県と政令指定都市、合わせて67の教育委員会に教員の定数とことし4月の始業式の時点での実際の配置状況について尋ねたところ、全体の半数近い32の教育委員会で定数を確保できず少なくとも717人の教員が不足していたことがわかりました。

このうち福岡県内では担当教員の不在で技術や美術の授業をおよそ2か月間実施できない中学校があったほか、千葉県内では小学校の学級担任が確保できず教務主任が兼務する事態も起きています。

専門家によりますと、背景にはこれまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足があるということで、教員の配置に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は、「臨時採用など非正規の教員は雇用が不安定で給料が低く確保が難しい状況にある。国や自治体は早急に事態を把握し、採用計画を見直すなど対策を検討すべきだ」と指摘しています。

義務教育の授業に支障

臨時採用の教員不足で授業が出来なくなっている学校が相次いでいます。

関西地方の中学校では美術の教員が病気で休職し、学校は代わりの教員を教育委員会に求めましたが「とにかく見つからない」という回答が来たといいます。

その後、教員は見つかりましたがおよそ3週間にわたって別の教科に振り替えることになり、美術の授業ができなかったということです。

また、熊本県天草市の本渡中学校では、ことし5月に英語の教員が病気で休職したあと2か月近くたった今も代わりの英語教員が見つけられていません。

この中学校では昨年度まで、1年生の英語の授業でクラスを半分に分け少人数できめ細かい指導を行ってきましたが、今年度は教員が足りず大人数のままでせざるをえない状況です。

中学校は県の教育委員会に「臨時採用」の教員を要請しましたが、隣の県まで探してもらったり、ハローワークに求人を出してもらったりしても見つかっていません。

本渡中学校の岩崎宏保校長は「子どもたちの学力保証に大きく関わる問題だが、教員はなかなか見つからず非常に厳しい状況です」と話しています。

苦肉の策でしのぐ学校も

「臨時採用」が見つからず「特例制度」を活用した苦肉の策で教員を確保している学校もあります。

高知市の大津小学校では4月から産休に入った教員に代わり、幼稚園の教員免許しか持っていない教員を「臨時採用」として、音楽の授業を受け持ってもらう苦肉の策で急場をしのいでいます。

教員の免許は、幼稚園・小学校・中学校などにわかれていますが、この学校では、「いずれかの免許を持っていれば指導能力があることを条件に、3年間に限って免許の範囲を超えて指導できる」という法律で認められた特例制度を活用しました。

大津小学校の西尾豊子校長は、「教員がきちんと配置されていないと、十分な教育が提供できないので積極的に制度の活用に踏み切った。教員の絶対数が足りない中、のんびり構えている訳にはいかない状況です」と話しています。

文科省「教員の働き方改善を議論」

全国の小中学校で教員不足が相次いでいることについて、文部科学省の佐藤光次郎教職員課長は「最近、特に出産や育児などで休職する教員が増えていることもあり、臨時教員の確保が難しくなっている課題があることは受け止めている。子どもたちの学習環境を維持するために必要な教員を確保することは基本なので、国としてもしっかり対応しなければならない」と話しています。

そのうえで佐藤課長は、対策について「教員の仕事の負担が重かったり多忙になったりということがネックとなり、教員のなり手を十分に確保できていないことが背景にあると思う。教員の働き方は使命感や、やりがいと表裏一体だと思うので、それについてもどう改善していくか幅広く議論し、人が集まるような環境にしていきたい」と述べています。

専門家「国の予算増必要も」

また、教員不足の問題に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は「臨時教員を含め教員になりたいと思う人を増やしていくために、給料だけではなくて働き方や待遇を改善するなど各教育委員会や国は教員の魅力作りを進めていく必要がある」と指摘しています。

そのうえで、佐久間教授は「将来的には正規採用の教員を充実させていく必要があるが、国の予算が増えない中で各教育委員会の努力だけでは難しい状況がある。自治体の裁量の範囲では格差が出てしまう問題でもあるので、国の支援、対策は欠かせない」と述べ、将来的には国が予算を増やすなどして教員採用の在り方自体を見直していく必要があると指摘しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170704/k10011041051000.html

技術、美術の教員いない 福岡の複数中学、2ヵ月授業ゼロも こま数少なく非正規を敬遠?
2017年06月01日 06時00分

 福岡県内の複数の中学校が、技術や美術の教員がゼロのまま新学期を迎えたことが分かった。始業から2カ月近く経過しても確保できず、授業ができない学校も。授業数が少なく非正規雇用が多いため、なり手が敬遠する傾向があるとみられる。県教育委員会は「何とか年度内に確保し、学習指導要領上の授業数を行えば生徒の進級に問題はない」としているが欠員はここ数年、慢性化しており、学校現場では不安が広がる。

 「探しても探しても見つからない」。技術の教員がいない県内のある中学校で関係者は頭を抱える。

 昨年度、授業は教員採用試験に合格していない講師が受け持った。本年度も3月下旬の人事異動内示で、技術教員が確保されないと判明し、校長の呼び掛けで各教員が探し始めたが見つからずじまい。授業時間はやむなく、家庭科で埋めている。「いつから授業すると?」。生徒からそんな声も上がる。「必要な教員を確保するのは本来、県教委の役割。しわ寄せが現場に来ている」。教員の一人は不満を隠さない。

 別の中学校も年度当初、美術の教員が不在。退職者などのつてを口コミで頼り4月中に見つけ出したものの、教員免許の期限が切れていた。本人は「失効を知らなかった」。免許の更新まで1カ月以上、待った。

 県教職員組合によると、同様の欠員状態はここ数年の傾向という。ある中学校では昨年度、美術の授業を始めたのは6月ごろ。期末試験を遅らせたものの採点が間に合わず、1学期の生徒の通知表は美術の評価が空白だった。

 学習指導要領に定められた授業数は、英語などが週に4こま(1こま50分)であるのに対し、美術や技術は週1こま程度。こうした専門教員は小規模校ほど受け持つ授業数が少なくなるため、非正規雇用になりがちという。結局、講師が複数校の授業を掛け持ちするケースも少なくない。

 学校現場は大量定年時代を迎えており、他の教科でも教員不足が続く。県教委は昨年度、教育職員免許法に基づき、ある中学校で専門外の教員に臨時免許を与え、技術の授業を乗り切った。教員の一人は「専門外の人では、まともな授業は難しい」と批判する。

 県教委教職員課は「不安定な非正規雇用を避ける人も多いとみられる。今後はこうした教科でも正規採用者を増やす」としている。

=2017/06/01付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/332438/

沖縄県内教員、非正規16% 公立小中校全国ワースト 文科省調査
2017年6月28日 06:30

 2016年度の沖縄県内公立小中学校教員に占める臨時教員の割合は15・5%で、全国で最も高いことが27日までに文科省の調査で分かった。同様の調査で沖縄が全国一高い状態が続いており、正規教員とほぼ同じ仕事をこなす一方、身分が不安定な“非正規”教員が教育現場を支える状況に改善がみられない実態が浮き彫りとなっている。

 臨時教員の任用は地方公務員法で最長1年までとされているが、県内では年度末に教育委員会がいったん解雇し、翌年度も臨時教員として再び任用しているケースが多い。しかし、雇用は不安定で、正規教員と比べ待遇の差が大きい。

 文科省まとめでは、義務標準法に基づく16年度の全国公立小中学校の教員定数は58万1357人。うち臨時教員(正規教員の産休・育休時の代替は除く)は4万1030人(7・1%)を占めた。沖縄は教員定数8545人中、臨時教員が1325人(15・5%)で、全国水準の倍以上の割合だった。

 割合で2番目に高いのは奈良県(12・4%)、3番目は三重県(12・3%)で、最も低い東京都は1・4%と都道府県での格差も浮かび上がった。

 同様の調査で、沖縄は14年度(15・0%)、15年度(14・9%)も臨時教員の占める割合が全国一高かった。

 県教委は「単年度雇用の臨時教員では継続的な教育が困難」として、ここ数年は正規教員数を年間100人程度増やし「全国並み」を目指している。ただ特別支援学級や少人数学級などで学級数が増加する中、必要教員数そのものが増え、臨時教員も増えているため「割合の改善が追いついていない」と説明し、「全国並み」実現はめどが立っていない。

 沖教組の神里竜司書記長は「教科によっては臨時教員も確保できず他教科の臨時教員が配置されるなどの事態も起きている。採用枠の増加が必要だ」と訴えた。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-522841.html