鷺沢萠

古本屋で、ふと鷺沢萠の名が目に入った。

自殺した当時、その理由については様々に取り沙汰されたが、遺書もなく、仕事や友人関係での悩みも周囲に心当たりはなかったと言う。どっちにしろ、ホントのことなんてわかるはずもない。

ただ、周囲が思っている以上に、死は彼女の身近に在ったんだろうな、と想像するのみである。

死は私の身近にある。いやむしろ、私はすでに死んでいるのではないか。

そう考えるのは、狂気の発現なのだろうか。

けれども、もしかしたら、死を死と見なせないこと、自己や他者を適切に死なせられないことのほうが、よほど狂気なのではないか。

死と狂気 (ちくま学芸文庫)

死と狂気 (ちくま学芸文庫)