晋州・韓国国際大学の惨状

晋州には何度か行っているので、この大学の名前は聞いたことがあります。ちょっと郊外にあるので実際に訪れたことはないのですが、日本との国際交流絡みでも目にしたことのある大学でした。

それがまさか、今こんなことになっているとは…。

記事入力 : 2023/05/14 20:14
「こんな大学を選んだ私が悪いんです」【朝鮮日報コラム】

 今年初め、韓国の地方私立大学における「新入生営業」の実態を記事にした。大学では新入生の募集が困難になったことから、毎年随時募集が始まる秋になると教授たちが高校を回りながら大学について宣伝するという笑えない話だった。数日前に訪問した慶尚南道晋州市の韓国国際大学の教授たちは、こうした「出稼ぎ」をしなくなって4-5年になるという。財政難で5年間賃金を受け取れず、教職員の相当数が学校を離れたことから、これ以上新入生を受け入れない方がいいと判断したためだ。残った教職員たちは、プライドは傷ついたとしても、何とか大学を生かそうと皆で「必死」に新入生を集めていた時期がむしろ良かったと回想する。

 「桜が咲くたびに潰れる」という話が出始めてから、早5年以上がたった。2018年8月、教育部(日本の省庁に当たる)は今後の大学入試定員と高校生の数を単純計算し「2021年までに38の大学が廃校に追い込まれる」という非公式の予測を出した。しかし、それ以降現在に至るまで実際に閉校した大学は4校だけだ。廃校の津波が押し寄せるはずという見通しとは裏腹に、時間の流れが遅いのだ。

 思ったより状況が悪くないということなのだろうか。実は正反対だ。すでに閉校してもおかしくない大学が持ちこたえているという、さらに悪い兆候が見え始めている。大学は赤字を少しでも減らすために教職員を減らし、老朽化したり故障したりした施設を放置している。革新や投資などはもってのほかだ。大学が本来行うべき教育や研究からも次第に手を引き始めている。人に例えると、死んでしまわない程度に水だけは飲みながら、じっとうずくまって息だけをしているような状態だ。大学が生きたしかばねとなって延命する間、教育は崩壊し、未払い賃金だけが増える。

 こうした大学が早く閉校しない理由は何なのか。現行の私立学校法上、私立大学法人が清算すれば、残った土地や建物は国庫や自治体に帰属するようになる。膨大な私財を投じて大学を建てた設立者やその子孫たちが簡単に大学経営を手放せない理由だ。強制閉鎖するのも容易でない。法人が重大な不正を犯したり、授業がまともに行われなかったりすることで、学生が実際に被害に遭ったことが表面化すれば、ようやく政府は措置を取ることができる。それも数回の警告を経なければならず、時間がかかる。政府が先行して大学を診断し、立て直しが困難と判断された場合には閉鎖を強制できるという法案(私立大学構造改善支援法)が9月に国会に発議されたものの、数カ月間眠ったままだ。この間、限界を迎えた大学の構成員たちの生活はないがしろにされている。

 韓国国際大学は、財政難で建物と校庭が汚れたまま放置され、まともな教育課程を運営することさえ困難な状況を迎えていた。キャンパスを出る前、最後に出会った学生はコンビニでカップラーメンにお湯を注ぐ4年生だった。「学生食堂がなくなって不便じゃないですか」と聞いたところ、帰ってきた返事に思わず言葉が詰まってしまった。「こんな大学を選んだ私が悪いんです」。浪人しなかったこと、大学入試の願書を書く前にきちんと調査をしなかったこと、家の近くの大学に入学したこと、他大学に編入しなかったことなど、どんな理由を挙げてみたところで、その代価は残酷過ぎる。

キム・ウンギョン記者

https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/12/2023051280127.html

原文記事はこちらですが、いやもうただ絶句です。

www.chosun.com

韓国国際大学の実情については、こちらの記事の方が詳しく書かれていますね。本文と同時に、写真があまりにも痛々しい。

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今回の場合、それなりに運営できていた地方私大の転落は、理事長の横領事件によるペナルティが引き金となったようですが、こうした大学が出るのはある程度予測されたことでもあります。ずっと前から進められてきた大学構造改革の結果でもあるわけですから。

blue-black-osaka.hatenablog.com

閉学の危機に瀕している大学は他にもあるわけで、そのあたりをどう始末をつけていくか、気になるところではあります。