アシアナ航空減便と五輪招致

うーん。円安の影響で日本からのアシアナ便の乗客が減るというのはわからないでもありません。北朝鮮や日韓関係の影響も、それはあるでしょう。

けれども、円安っていうのはウォン高でもあるわけで、その分韓国からの乗客が増えればトントンになるはずです。ということは、「日本からの乗客が減った」ということと同時に、「韓国からの乗客が増えなかった」という問題もあるわけです。日韓関係は日韓双方に影響を与えるとしても、韓国のような北朝鮮リスクは日本にはないはずです。

円安の影響で日本路線減便へ=アシアナ航空
2013/09/05 09:51

【ソウル聯合ニュースアシアナ航空は5日、円安の影響で乗客が減少した一部の日本路線を減便する方針を明らかにした。


アシアナ航空の本社(資料写真)=(聯合ニュース

 10月初めから仁川―仙台線を週7往復から週4往復に、仁川―静岡線を週7往復から週5往復にそれぞれ減便する。需要減少を受けての措置で、10月末に切り替わる冬ダイヤとは関係がないという。

 7〜8月の日本路線の乗客数は前年同期比7.2%減少した。日本からの乗客数は32万2000人で同16.8%の減少となった。ただ、韓国発便の乗客は20万5000人で、同2.4%増加した。

 同社関係者は乗客数の減少について「円安の影響が最も大きかったが、北朝鮮リスクや韓日関係の冷え込みなども要因となったようだ」と説明している。

 大韓航空も日本路線の乗客が減少し大きな打撃を受けている。7月の乗客数は前年同月比8.3%、8月は同5.7%、それぞれ減少した。

 同社は、仁川―長崎線を需要減少に伴い3月に運休したが、日本路線の新たな減便計画はないと明らかにした。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2013/09/05/0800000000AJP20130905000700882.HTML

となると、気になるのは、減便対象路線の一つが仙台便だということです。

ハッキリ言ってしまえば、「原発リスクという要因が無視できないんではないの?」と思うわけです。そこに暮らしている人々の生活や思いとは別のところで、「外からどう見えているか」ということを考えずにはいられません。


そこにこのニュースですからねえ。げんなりしますよ。

20年夏季五輪:東京招致 海外メディア、「汚染水」質問集中 理事長窮し日本語で
毎日新聞 2013年09月05日 東京朝刊

 【ブエノスアイレス藤野智成】2020年夏季五輪開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会を7日に控え、東京招致委員会が4日、当地のホテルで国内外メディア向けに記者会見した。海外メディアの質疑応答では、東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題の懸念が相次ぎ、質問6問中4問がこの問題に集中した。

 竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会会長)は、日本政府としての対処方針を示した書簡をIOC委員に送ったことを明かし、「東京は非常に安全な都市。水、食物、空気は政府が責任を持って解決すると発表し、プロジェクトも発足して懸念はない」と説明。「東京にとって放射能漏れが唯一の懸念材料になっているが」との質問には、「放射線量レベルはロンドン、ニューヨーク、パリなど世界の大都市と同レベルで絶対安全」と理解を求めた。

 竹田理事長は用意した書面を読み上げて対応していたが、厳しい質問が続いて答えに窮し、日本語に切り替えた。そして「IOC委員からも放射能漏れの質問が予想されるが、どう対処するのか」との質問に、竹田理事長は「総理からも最終プレゼンテーションで説明する。福島は東京から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と時折、声を上ずらせながら答えた。

 会見にはトヨタ自動車名誉会長の張富士夫評議委員(日本体育協会会長)が同席したが東京の経済力に絡んだ質問は少なかった。

 7日の投票に先立つ最終プレゼンテーション(招致演説)でもIOC委員の質疑応答の時間が用意されており、汚染水問題への質疑が相次ぐと見られる。

http://mainichi.jp/sports/news/20130905ddm041050131000c.html

五輪招致会見:「汚染水」説明足りぬ 海外メディア厳しく
毎日新聞 2013年09月05日 10時51分(最終更新 09月05日 10時54分)

 【ブエノスアイレス藤野智成、小坂大】2020年夏季五輪開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会を7日に控えた4日、東京招致委員会が当地のホテルで国内外向けに開いた記者会見では東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題への懸念が相次いだ。竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会会長)は「問題ない」の一点張りで切り抜けようとしたが、海外メディアからは、「説明不足」との厳しい受け止め方が目立った。

 「多くの質問が繰り返されたのに、竹田理事長は詳細を明かすことを拒んだ」と指摘したのは、会見に出席し、「福島の事故への懸念は」と切り出した英国を拠点とする五輪専門メディア「インサイド・ザ・ゲームズ」。竹田会長が「完全に安全です」「全く問題ない」と繰り返した姿勢に厳しい見方を示した。

 会見は東京開催が果たす経済的な効果などを主要議題に据えていたとはいえ、同席したトヨタ自動車名誉会長の張富士夫評議委員(日本体育協会会長)が、アジアのスポーツ市場が急速に成長していることを説明して「東京五輪はビジネスチャンスになる」と強調したことも、ロイター通信には「招致の失敗につながりかねない汚染水問題から目をそらすために、経済力を強調した」と報じられた。

 会見で出た質問6問中4問が汚染水絡み。竹田会長は、最後には英語から日本語に切り替えて対応におわれた。米国拠点の五輪専門メディアのベテラン記者は、毎日新聞の取材に「どの都市も懸念を抱えている。7年後のことを決めるのだから懸念はない」との印象を語った。

 現地入りしている東京招致委関係者は「大丈夫。そのために政府は(汚染水対策費に)470億円を投入すると言っているんだし、政治家が説明に来るんだから」と。7日の投票に先立つ最終プレゼンテーション(招致演説)で、安倍晋三首相が説明を尽くせば、乗り切れるとの見方を示したが、表情は険しかった。

http://mainichi.jp/sports/news/20130905k0000e050203000c.html

何というか、「原発リスクに対する海外からの目にどう応えるか」という対処として、納得できる説明には見えませんし、「とりあえずここさえ乗り切れば、後はどうにでもなる」という性根もそこここに透けて見えているようで。

だいたい、250キロといえば、韓国に置き換えればだいたいソウルと日本海沿岸地域との距離と同じはずです。とすれば、蔚珍や霊光の原子力発電所で汚染水漏れが続いているときに、ソウルでのオリンピックを招致しようとしているようなものです。

それが「外からどんなふうに見えるか」ということは、特にグローバルな人材でなくても想像がつきそうなものですがねえ。

何でそこまでしてオリンピックを招致せなならんのか、私にはさっぱりわかりません。