たま駅長の社葬:その御霊の行方は

昨日が社葬でしたね。参列は叶いませんでしたが、これは終わりではなく、始まりとなるような気がしています。



たま駅長:天国でも駅長でいて 貴志駅で社葬 献花台に煮干し、似顔絵 /和歌山
毎日新聞 2015年06月29日 地方版

 和歌山電鉄貴志川線貴志駅紀の川市)で28日に営まれた「たま駅長」(雌、16歳)の社葬。国内外のたまファンら約3000人が参列した。弔電は国内外から180通も届き、海外メディアも取材に入るなど人気の高さを改めて示した。設けられた献花台には花束のほか、カツオのキャットフードや煮干し、似顔絵なども供えられ、ファンは「天国でも駅長でいて」と遺影に手を合わせていた。【山本芳博】

 ◇アルジャジーラも取材

 同駅では、午前10時25分着以降、電車が軒並み乗車率100%になり、途中の駅から乗車できない人も出た。社葬が始まった午後0時半には、駅周辺は参列するファンであふれ車道にはみ出ないように警察官が何度も注意を促すほどだった。

 現場には、中東カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」の英語チャンネル「アルジャジーラ・イングリッシュ」の取材クルーも姿を見せた。9〜10月に放送する番組用に小嶋光信社長を取材し、小嶋社長は「たまの魂は永遠に生き続ける。社葬後50日経てば、後継の駅長を披露したい」と答えていた。

 会場となった同駅コンコースに入れなかったファンは、駅の横に設置された2台のモニターで葬儀を見守った。事前に先着順で整理券が配布されており、葬儀後はファンが順番に駅に入り、たまの遺影に最後の別れを告げていた。

 県立向陽中2年の細川大輔さん(14)は「たまはおとなしくて愛嬌があった。(残された)ニタマにも頑張ってほしい」とエールを送った。京都市右京区の僧侶、岩田慈観さん(46)は「たまは徳の高い、厳かな感じがにじみ出た猫だった」と語った。

 駅構外にもファン用の献花台を設置。2匹の猫を乳母車に乗せ、三重県伊勢市から献花に訪れた看護師の世古尚子さん(45)は「堂々とした立派な猫だった」と悼んだ。津市在住で自筆の似顔絵を供えたドイツ人のアンナ・マスラウさん(23)は「ドイツのドキュメンタリー番組でたまを知った。4月に三重大に留学したが、たまに会えなかったのが残念」と悲しんだ。

 社葬後、乗客を誘導していた同電鉄の亀本久喜助役(47)は「駅員見習いのころ、駅隣の商店の入り口にたまが堂々と横たわっていた。あれから10年経ったが、たまは本当によく頑張った」とねぎらった。「貴志川線の未来を“つくる”会」の浜口晃夫代表(73)は「35年以上、貴志川線を見てきたが、今日ほど混雑した日はなかった。たまはいなくなったが、これからも和歌山電鉄や行政と協力して路線や地域を盛り上げたい」と話した。

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 ■評伝

 ◇地方鉄道の価値示した

 「駅長」にふさわしい猫だった。22日に16歳で死んだ雌の三毛猫たま。勤務中、多くのファンに囲まれても動じず、絶妙のタイミングで「にゃー」。赤字ローカル線を活性化させる「招き猫」としての役割を理解しているようだった。

 私がたまと出会ったのは、貴志川線廃線危機を取材していた南海電鉄時代。路線は和歌山電鉄が運行を引き継ぎ、たまは07年1月に駅長に就任した。その駅長ぶりは世界に発信され、貴志川線には国内外から観光客やファンが訪れた。

 私はこの間、取材対象としてたまを追いかけ、10年にはたまの前で「にゃん前」結婚式も挙げた。特別な関心を持ってたまを見続けてきた私には、この8年を貴志川線のシンボルとして生きたたまは、その死もまた、千両役者らしく非常に象徴的だったと感じる。

 たま効果もあり、貴志川線の利用者は05年度の約192万人から14年度には約227万人に増加。「地方鉄道再生のモデルケース」と言われるが、現在も鉄道単体としての収支は赤字だ。沿線の和歌山、紀の川両市は06年度から赤字を補てんしてきたが、その期限が今年度末で切れる。たまは、路線再生が次の段階へと進むことが求められている年にこの世を去ったわけだ。

 全国の地方鉄道の8割が赤字に苦しむ。地域の足が失われて困るのは高齢者や生徒・学生たちだ。たまは貴志川線に世界中から人を招き、鉄道が地域の財産だと示した。

 「猫の手も借りた」地方鉄道再生の取り組み。猫の身でできる以上のことをやり切ったたまは、後を託して天国へと旅立った。今後の支援策を検討している県と両市はたまが残した遺産を受け継ぎ、公共交通のあり方についてしっかりとしたビジョンや戦略を打ち出す義務があると思う。【水津聡子】

http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20150629ddlk30040304000c.html

「たま」遺影に知事が感謝の言葉、ニタマも一礼
2015年06月29日 13時49分


たまの社葬に参列しようと貴志駅を訪れた大勢のファン(和歌山県紀の川市で)

 和歌山電鉄貴志川線のウルトラ駅長を務めた三毛猫「たま」(16歳)の社葬が行われた28日、たまが長年勤務し、告別式の会場となった貴志駅和歌山県紀の川市)には約3000人のファンが詰めかけた。

 駅舎脇に設けられた献花台は、花束を始めとする多くのお供え物でいっぱいとなり、大勢に愛されたたまの人気ぶりを見せつけた。

 葬儀は神式で営まれ、神職が祭詞を奏上。最初に葬儀委員長の小嶋光信・和歌山電鉄社長が弔辞を述べた。

 来賓として参列した仁坂知事は「和歌山の知名度を上げて観光客を増やし、県民の心に明るさとほのぼのとした温かみを与えてくれた。あなたの面影は私たちの胸の奥にとどまり続ける」と祭壇に置かれた遺影に向かって感謝の言葉を述べた。

 同駅でかつて売店を営み、たまの飼い主の住友利子さんは「たまはこれからも皆さんの心の中で生き続けると思います」と話した。

 玉串をささげる場面では、たまの部下でスーパー駅長の三毛猫ニタマも同電鉄の社員に抱かれて姿を見せ、小嶋社長とともに遺影に向かって一礼した。

 駅舎脇の献花台には、生前のたまの写真が何枚も飾られた。紀の川市貴志川町岸宮の小学2年生(7)は「顔も鳴き声もかわいく、今まで何回も会いに来た。天国でゆっくりしてね、と伝えたい」と話した。

 家族4人で参列した有田川町徳田の主婦(62)は「地域を懸命に盛り上げるけなげな姿に心を打たれ、いつも元気をもらっていた。こんなにも多くの人たちに愛される猫がいたことを一生忘れません」と語った。

 和歌山電鉄が経営に参加する前の南海電鉄時代の2005年度の貴志川線の年間利用者数は192万人だった。しかし和歌山電鉄が引き継ぎ、たまが駅長に就任して以降は200万人を超えるように。13年度は230万人にまで増えた。定期券利用者を除いた13年度の利用者数は78万人で、05年度から14万人増え、同線の経営改善に貢献した。

 和歌山電鉄は、貴志駅ホームにたまの墓を作り、横にある「ねこ神社」を「たま神社」と改名する式典を8月に執り行う。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20150629-OYT1T50056.html

南海電鉄貴志川線→和歌山電鉄の危機を救い、多くの人を惹き付けたたま駅長には、和歌山電鉄社長の弔辞にもあった「大明神」となる資格は十分あるように思います。

(終着駅)三毛猫の駅長「たま」が公務にあたる和歌山電鐵の終着駅 貴志駅(和歌山県)

もし、お遊びでなく、本気でたま駅長を神と祀るならば、肥前・高串の「巡査大明神」、かの増田神社のようになるやもしれません。

コレラに感染しながら防疫につくした警察官 増田敬太郎 - 伝えたいふるさとの100話

彼の死―増田巡査の神格化― - UTokyo Repository

そもそもこの路線は、日前宮・竈山神社・伊太祁曽神社の三社参りのために敷設されたものですしね。その終着駅に新しく「駅長大明神」が鎮座したとしても、そんなに驚くことはないでしょう。

2015.6.27 18:10更新
たま駅長「神様として見守って」 駅長と二人三脚の和歌山電鉄役員しみじみ 社長に甘えるように「にゃあにゃあ」と


「たま」を見舞う小嶋社長。息を引き取る前日、「にゃあ」と鳴いて立ち上がった=21日(和歌山電鉄提供)

 「たまは、神様が貴志川線のために遣わしてくれた『神様』だと思うんです」

 和歌山電鉄の山木慶子取締役はしみじみと語った。たまが貴志川線貴志駅の駅長に就任した平成19年1月以来、二人三脚で歩んできた。

 たまが息を引き取ったのは今月22日午後7時すぎ。前日には、同社の小嶋光信社長が見舞いに訪れた。山木さんによると、じっとしていたたまが、小嶋社長に甘えるように「にゃあ」と鳴いて立ち上がったという。

 「小嶋社長が『一緒に頑張ろう』と声をかけると、何度も『にゃあにゃあ』とかわいらしい声を出して甘えていました」。山木さんは涙ぐみながら話した。

 ローカル線の救世主として最後まで活躍し、今年1月のバレンタインイベントや4月29日の傘寿の誕生日会には、約300人のファンが詰めかけた。「どんなイベントでもたま駅長が出ると、たくさんの人たちが集まってくれたんです」と振り返った。

 平成22年8月には、たまをイメージした新駅舎「たまステーション」が完成し一躍観光スポットに。23年の東日本大震災の際には応援メッセージを送るなど、被災地支援に一役買った。

 「普段はおとなしい猫なんです。ほとんど歩かないためか、長生きなのに肉球は赤ちゃんみたいにプニプニしていました」と山木さん。「今までお仕事を頑張ってくれた。これからは神様として貴志川線を見守ってくれると思います」と、天国のたまをねぎらった。

http://www.sankei.com/west/news/150627/wst1506270053-n1.html

急ぐ必要はありません。またいずれ、落ち着いた頃に、再訪したいと思います。

たま駅長」銅像に…和歌山電鉄と県が建立計画 社葬に3000人


和歌山電鉄貴志川線貴志駅で行われた「たま駅長」社葬で、献花台に手を合わせる親子 Photo By スポニチ

 和歌山電鉄貴志川線貴志駅の“看板”として親しまれ、22日に急性心不全のため16歳で死んだメスの三毛猫「たま駅長」の社葬が28日、同駅で営まれ、ファンら約3000人が参列。電鉄と和歌山県による銅像2体の建立計画が明かされた。

 “渋谷のハチ公像”ならぬ“紀州たま駅長像”が誕生する。電鉄によると、五十日祭翌日の8月11日に貴志駅ホームの“ねこ神社”に「たま大明神」として祭り、銅像も建てる予定。07年の駅長就任以降、愛らしい姿をひと目見ようと観光客が急増。10年前には約190万人だった乗客数が14年度に220万人を突破するなど、赤字路線を改善させた功績は大きい。葬儀委員長を務めた小嶋光信社長は弔辞で、最後の辞令とし名誉永久駅長に任命するとともに、「皆に愛され、和歌山電鉄や日本の地方鉄道を救った伝説に残る駅長」と称えた。

 一方、和歌山に人を呼び寄せた“招き猫”として、県も銅像建立に手を挙げた。小嶋社長によると、仁坂吉伸県知事から「県などが中心となって寄付を募り、銅像を建てる計画を進めていいか」との打診を受けたといい、電鉄側も協力する姿勢。場所や時期は未定だが「皆さんが会いに来やすい所に建てられたら」と、和歌山の新名所になることを期待した。

 後任の駅長については未定。駅長代行を務めたオスの三毛猫「ニタマ」が有力視されるが、小嶋社長は「まだ分からない。五十日祭が終わるまでは喪に服し、その後ゆっくり考えたい」とした。

[ 2015年6月29日 06:30 ]

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/06/29/kiji/K20150629010633910.html