迷走しながら暴走する組織:神宮球場と東京五輪

そんなことがホントに可能なのか、現実にどれだけのコストやリスクが生じるのか、言いだす前に想像したり計算したりする人はいなかったんですかね…?

よくもまあ、ここまで無責任なことを言えるもんですよ。その調子では、代替案も用意してないでしょうし、見積もりも取ってないでしょう?*1

そこまで馬鹿なことを言い出して、周囲に迷惑を押し付けないとできないものなら、やめた方が賢明です。このいい加減さを見ると、新国立競技場の建設を含めた神宮外苑での五輪開催を断念し、横浜国際総合競技場埼玉スタジアム2002東京スタジアム駒沢オリンピック公園の活用など、代替策を真剣に考えた方がいい段階まで、東京五輪は来ていると思いますよ。

いっそ返上してもいいと思ってますけどね、私は。

東京五輪期間に神宮球場使用中止要請…プロアマ200試合どこで?
2016年4月5日5時0分 スポーツ報知

f:id:bluetears_osaka:20160405143845j:plain:right 2020年東京五輪パラリンピック大会組織委員会がプロ野球ヤクルトスワローズの本拠地、明治神宮野球場の使用を五輪開催期間を含む20年5月から9月の大会終了までの約5か月間にわたり使用を中止するよう球場側へ打診したことが4日、複数の関係者への取材で分かった。5か月の中断期間では、東京六大学野球やヤクルト戦など200試合以上が行われる見通し。要請を受け入れた場合、すべての試合を代替会場で行うことが余儀なくされ、野球関係者は困惑している。

 複数の関係者によると、組織委側から神宮球場側に水面下で東京五輪パラリンピックの開催に伴う球場の使用中止要請があったのは3月下旬。理由は「野球以外の用途で球場を使用したい」との説明だけだった。

 神宮球場では、ヤクルトを代表に東京六大学東都大学野球などの試合が開催されている。1日にデーゲームでアマ、ナイターでプロの公式戦が開催されることも多く年間で470試合を実施。高校野球も夏に東・西東京都大会が行われるなど稼働率は9割以上という野球場として日本一の使用頻度を持つ。

 五輪は7月24日から8月9日。パラリンピックは8月25日から9月6日に行われる。組織委が要請しているように開催2か月前の5月からパラリンピックが閉会する9月6日まで中断となれば、今季に照らし合わせるとプロ、アマ含め約200試合を別会場で行う必要が出てくる。ヤクルトだけでなく東京六大学連盟、東都大学連盟、東京都高野連など複数の団体に大きな調整が必要になる。にも関わらず関係者によると、組織委側からの打診では、中止が必要な理由はおろか、中止に伴う代替会場、補償額など具体的な交渉は、まったくないという。4年後とはいえ、中身のない突然の打診に関係者は「代替案なき提案は受け入れがたい」と困惑している。

 明治神宮外苑のスポーツ施設の再開発は、昨年4月に東京都や組織委などで合意していた。覚書を地権者の明治神宮日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事三井不動産などと締結。それによると、〈1〉20年大会までに秩父宮ラグビー場を取り壊し、駐車場として整備する〈2〉神宮球場は五輪・パラリンピック期間中は現状のままとして使うという主に2点が軸となっていた。さらに五輪後は、秩父宮の跡地に300億円規模の「新神宮球場」、神宮球場の跡地に「新秩父宮」を25年までに建設する計画だった。

 ところが、都と神宮側の関係者によると、この案は、昨年4月の合意から交渉は遅々として進んでいなかったという。自民党幹部は「神宮外苑など、五輪の施設整備や補償問題などが難航しているのは事実」と話した。こうした状況での試合中止要請で再開発への合意も白紙になる恐れも出てきた。それだけに関係者の間からは再開発案について「実現の可能性は低いだろう」との声も上がっている。

 新国立競技場、エンブレムの白紙撤回など迷走を続ける東京五輪。今後、組織委側と神宮球場側での話し合いが本格化されるが、新たな問題を抱えたことだけは事実だ。

 ◆明治神宮野球場 1926年10月22日に完成。隣接した現在の神宮第二球場は当時、相撲場だった。2日後には、東京六大学野球で初めて使用(明大対法大)。34年にはベーブ・ルースを主将とする米国選抜チームも試合を行った。太平洋戦争の空襲で大火災になったこともある。終戦後の45年11月、プロ野球初開催。61年には東映フライヤーズが使用し、64年の東京五輪開催年に国鉄スワローズの本拠地。現在はヤクルトが本拠として使用し、花火大会なども行われている。

http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20160405-OHT1T50031.html

続報も出てますね。能天気な五輪大臣の発言を読む限りでは、この件はどうやら誤報ではないようです。こんな交渉事を持ちかけて、マジで通す気でおんねや…。

遠藤五輪相「なぜ大事になるのか」東京五輪期間中の神宮球場使用中止要請
2016年4月5日11時19分 スポーツ報知

 2020年東京五輪パラリンピック大会組織委員会が、五輪開催期間を含む20年5月から約5か月間、プロ野球ヤクルトスワローズの本拠地、明治神宮球場の使用中止を求めたとされる問題について、遠藤利明五輪相(66)は5日の閣議後の会見で、「これは交渉事であって、なぜこれが大事になるのか」と疑問を呈した。

 組織委が要求したとされる約5か月の中断期間では、東京六大学野球やヤクルト戦など200試合以上が行われる見通し。要請を受け入れた場合、すべての試合を代替会場で行うことが余儀なくされ、野球関係者は困惑している。

 新国立競技場、エンブレムの白紙撤回に続き、新たに浮上した東京五輪にまつわる問題に、遠藤大臣はこの日、「それぞれの競技施設をどういうふうに使うかという議論について、詳細に承知しているわけではありません」と前置きした上で「これは全部交渉事ですから、議論があってしかるべきですし、こういう交渉事はこれからも数多く出てくる。なぜ、これが大事になるのかという思い」と戸惑いの表情を浮かべた。

 複数の関係者によると、組織委側から神宮球場側に水面下で東京五輪パラリンピックの開催に伴う球場の使用中止要請があったのは3月下旬。組織委側は「野球以外の用途で球場を使用したい」と説明しただけで、中止が必要な理由はおろか、中止に伴う代替会場、補償額など具体的な交渉は、まったくないという。

http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20160405-OHT1T50047.html


追記: 報知新聞のさらに続報。絶句するほかないですね。どこの権威主義開発独裁国家ですか。

東京五輪前後は神宮外苑「完全封鎖」、組織委が要請…スポーツ9施設に影響
2016年4月7日6時0分 スポーツ報知

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2020年に予想される神宮球場の主なスケジュール

 2020年東京五輪パラリンピック組織委員会がメインスタジアムの新国立競技場に隣接する神宮球場に同年5月から大会期間を含む数か月間にわたり使用中止を求めた問題で、新国立競技場の周辺にある神宮第二球場など、すべての施設も貸し出すよう地権者である明治神宮へ協力を求めていたことが6日、分かった。明治神宮の担当者は、スポーツ報知の取材に今後について「全く白紙の状態」と強調。プロ野球・ヤクルトや六大学など球場を利用する各団体と協議していくことを明らかにした。

 東京五輪期間中に使えないのは、神宮球場だけではなかった。大会組織委は、神宮外苑内のゴルフ練習場と兼用の神宮第二球場など明治神宮が管理する9施設の土地利用の協力も求めていた。警備上の問題などが理由とみられる。日本スポーツ振興センター(JSC)が運営する秩父宮ラグビー場は、すでに2020年までに解体され五輪では駐車場としての利用が決まっており、都民に親しまれてきた神宮外苑のすべてのスポーツ施設が20年の一定期間、利用できなくなる可能性がある。

 組織委によると、明治神宮側に20年五輪・パラリンピックに関わる施設の使用への協力を要請をしたのは3月30日。施設を使用する期間は、現時点では不明だが、神宮球場と同じように大会の前後にわたるとみられる。使用する用途も各施設によって異なる。関係者によると、軟式グラウンドは新国立の「サブトラック」としての利用を提案されたという。サブトラックは、競技に出場する選手が調整やウォーミングアップを行う場所で大会期間中は「仮設」で造り、終了後に元の野球場に戻すという。組織委の担当者は「交渉を始めたばかり。具体的なことは、今後、詰めていきたい」と説明した。

 一方、東京六大学野球プロ野球ヤクルトスワローズが本拠地として使用する神宮球場について、五輪開催に伴う野球場としての使用中止期間は当初、7月24日に開幕する五輪前の5月からパラリンピックが終了する9月6日までとみられていたが、神宮側は「11月までの使用を提案された」と明言。組織委は、資材置き場や観客の待機場所にしたい考えで「大会に伴う付帯施設として協力してほしい」と求められたという。

 ただ、11月まで神宮球場が使用中止になれば、同球場を利用する各団体が受ける影響はさらに拡大する。9月までなら今季の日程に照らし合わせると200試合が代替会場での開催とみられていたが、11月に延びると六大学、東都大学の秋のリーグ戦もすべて代替会場での開催を余儀なくされる。さらにヤクルトもクライマックスシリーズ日本シリーズに出場した場合、神宮での開催は不可能になるなど、プロとアマを合わせて約300試合以上で、会場の調整が必要となる。組織委は「短縮される可能性があるかどうかも含め、今後、交渉していく」としているが、各団体からの反発は大きいとみられる。

 世界的に深刻なテロへの対策が求められる今、警備などの問題で新国立競技場周辺施設の使用を中止するのは想定内。問題となっているのは、明確な説明がない組織委の交渉の進め方だった。各団体が困惑しているのも、その点で一致している。今回の問題について明治神宮の成瀬伸之総務部長は「今後は全く白紙に近い状態。ご使用いただいているプロ、大学、高校とも話をしながら、進めていきたい」とし、「球場を所有する手前どもだけで判断できない。ご使用する団体のみなさまの考えを伺いながら、丁寧にお話ししていきたい」と話した。

 ◆明治神宮外苑 明治天皇昭憲皇太后のご遺徳を伝えるために現在の東京都新宿区に造成され、1926年に明治神宮に奉献された施設。終戦前までは国が、戦後は宗教法人明治神宮が管理運営を行い、総面積は約48万6000平方メートル。青山通りに延びる道路のイチョウ並木が有名。新国立競技場神宮球場などのスポーツ施設のほか、敷地内には聖徳記念絵画館明治記念館などがある。隣接した秩父宮ラグビー場も含め、2020年の東京五輪開催に伴う都市計画に関する外苑地区の土地面積は、約64万3000平方メートル。

http://www.hochi.co.jp/topics/20160406-OHT1T50250.html

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*1:仮に、これから何らかの補償を持ちだしてくるとしても、五輪予算の足が出まくってる現状では、自前で何とかするのではなく、税金を当てにする気だろうとしか思えません。