すべては人手不足解消のために

人手不足なのは事実ですし、在留資格の制限がネックだったことも事実ですから、そこで実態に即した制度に改めるというのであれば、これに反対する理由はありません。

enuchi.jp
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留学生就労の条件緩和へ 人手不足分野で受け入れ 政府方針
2018年10月17日 06時00分

 政府は日本の大学を卒業した外国人留学生の就労拡大に向け、在留資格の適用範囲を広げる方針を固めた。これまで大学で学んだ専門分野に関連した仕事しか認めてこなかったが、今後は日本企業で就職しやすい環境を整える。政府はこれまで専門性の高い「高度人材」の受け入れは推進してきたが、人口減と少子化を受け、留学生の日本国内での定着を図り、人手不足が深刻な分野での就労拡大も進める。具体的にはホテルや飲食店での就労を想定しており、早ければ来春の運用開始を目指している。

 現在、外国人が日本で働く場合、活動ごとに定められた在留資格を得る必要がある。大学卒業後では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得ることができるが、大学で学んだ分野と業務が関連する仕事に就かなければならない。通訳や海外取引のある企業に限定されるなど、就職の選択肢が限られ、国内で就職するのは4割弱にとどまっているのが実情だ。

 今回、政府は在留資格の一つである「特定活動」の見直しを検討。現在はアマチュアスポーツ選手や外交官の家事使用人などに与えられているが、卒業後に働ける職種の対象を広げ、一定の日本語能力を持つ留学生が日本企業に就職しやすくする。

 一方、日本の専門学校を卒業した留学生は、アニメや日本食、ゲームなどに関わる仕事での在留を広く認める方向で検討している。

 留学生の就労拡大を巡っては、菅義偉官房長官が「留学生の希望者の大部分が日本で就職できるようにする、留学生に特化した制度を作りたい」と意欲を示していた。

=2018/10/17付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/458035/

ただし、そのいっぽうで、外国人技能実習制度のような闇制度をそのままにしていていいはずはありません。「実習生」を「安い労働力」として使い倒すつもりなら、「技術移転」のような空洞化した建前の看板を外してから、「労働者のための制度」として評価を受けるべきです。

奴隷制度」としての評価しか受けられないかもしれませんけど。

入管法改正案、実習制度の不備置き去り 低賃金、相次ぐ失踪者 劣悪環境改善見えず
2018年11月13日 06時00分

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案を巡り、現行の外国人技能実習制度の課題が置き去りになっていることへの異論が噴出している。実習生には低賃金で劣悪な労働環境を強いられるケースが少なくなく、失踪者も相次ぐ。新たな在留資格でも懸念されるこうした事態に歯止めをかけられるか、13日から始まる法案の国会審議でも焦点になりそうだ。

 「残業は時給300円。午前2時まで働き、休みは月1日。病院にも行かせてもらえなかった」。12日、野党6党派が開いた実習生へのヒアリングで、岐阜県の縫製工場にいたカンボジア人女性(33)は涙を流して訴えた。「逃亡防止」の名目で、賃金の一部は強制的に貯金に回されていたという。

 パワハラやいじめでうつ病になったり、何も知らされずに除染作業に駆り出されたり…。実習生を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平代表理事ヒアリングで、ブローカーの介在などを指摘し「奴隷労働と同じ構造だ。実習制度にどう区切りをつけるのか、その議論を抜きにした受け入れ拡大はおかしい」と強調した。

 外国人技能実習制度は1993年に創設された。今や国内で働く外国人の約2割に当たる28万人が実習生だ。日本で技術を習得し、母国に還元する目的だが、現実には「安価な労働力」として拡大し、労働実態が問題視されてきた。

 厚生労働省によると、2017年に残業代未払いなどで是正勧告した事業所は4226カ所に上った。失踪者は11年の1534人から17年は7089人にまで増加。今年は半年間で4279人が失踪し、過去最多のペースだ。

 7日の参院予算委員会では、野党に制度の検証を求められた山下貴司法相が「技能実習の反省に立って新制度を作っている」と強調した。だが、政府は昨年11月に受け入れ先の監督強化などを盛り込んだ新法を施行したものの、その効果は検証していない。

 単純労働の担い手確保と途上国への技術移転-。「現実」と「建前」の乖離(かいり)が指摘されてきた技能実習制度だが、新制度では建前も揺らぐ。実習生として3年間在留すれば、母国にいったん帰国しなくても新在留資格「特定技能1号」に移行できるとしたためだ。

 「帰国しなければ母国に貢献できない」「国際貢献と人手不足の解消は目的が違う」。8日、立憲民主党の会合では法務省に批判が続出。同省担当者は「特定技能1号を経て帰国すれば趣旨に整合する」と苦しい答弁に終始した。

 技能実習制度に詳しい指宿昭一弁護士は警鐘を鳴らす。「建前もかなぐり捨てた矛盾だらけの法案だ。このままでは、ごまかしで始まった技能実習制度の誤りを繰り返すことになる」

=2018/11/13付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/465093/

president.jp

こっちの都合は都合として、相手には相手の都合や立場がある、ってことを、どこまでちゃんと考えるか、です。使い捨てにしていい人間はいませんし、人間を使い捨てにするなんてのはろくな社会ではありませんよ。

入管法改正でも人手不足の解消遠い? 30年推計なお600万人超足らず
2018年11月11日 06時00分

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は13日の衆院本会議で審議入りする。景気回復や少子高齢化を背景に人手不足感は高止まりしており、改正案を評価する声も多いが、「解決につながらない」とする業界もある。政府の方針通り来年4月から外国人の受け入れが増えても将来は600万人超の人手不足に陥るとの推計もある。過去には景気悪化で多数の外国人労働者が失職した経緯もあり、慎重な制度設計が必要だ。

 日本商工会議所が今春、全国の中小企業を対象に実施した人手不足調査(回答率65・1%)では回答企業2673社のうち65%が「不足」とした。近年は毎年5ポイント前後、不足感が増加している。業種別では宿泊・飲食業(79・1%)、運輸業(78・2%)、建設業(75・6%)が目立つ。外国人材の受け入れは検討中も含め42・7%が「ニーズがある」と答えた。

 足元では悪影響も出ている。帝国データバンクの調査で2018年4~9月に倒産した企業のうち「人手不足」によるものは76件。上半期で過去最多だった。

 政府は建設業や農業など14業種で受け入れを検討しており、「有効求人倍率は約3倍。一定技術がある外国人材を5年間受け入れられれば責任ある配置が可能だ」(日本鋳造協会)などと歓迎の声が聞かれた。

 一方、運輸業は対象外。日本バス協会が昨冬、会員約300社に実施した調査では約8割が「運転手不足」としたが、政府に受け入れ要望はしていない。協会担当者は「運転手は事故など緊急時の対応も求められる。外国人労働者が増えても根本的な解決にはつながらない」と明かした。

 国内で働く外国人は17年時点で約128万人。パーソル総合研究所(東京)と中央大学外国人労働者は受け入れ拡大に伴い、30年までに約81万人の増加余地があると推計する。それでも少子高齢化などの影響で国内の人手不足は30年に約644万人に達し、九州では約67万人の労働力が足りない見込みという。

 改正案は人手不足が解消された場合は、その分野での受け入れを停止すると明記している。08年のリーマン・ショック後、自動車工場などで外国人が大量解雇された。政府は翌年、帰国支援事業を打ち出し、30万人超の在留ブラジル人は一時、ほぼ半減した。

 中央大の阿部正浩教授(労働経済学)は「景気が悪化した時に外国人労働者を帰国させるのは容易ではない。不法滞在などを生む懸念もあり、十分な議論が必要だ」と指摘した。

=2018/11/11付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/464687/

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