ソルラルに行くところ

それはもう、ここしかないでしょう。国立ソウル顕忠院。地下鉄4号線の동작(銅雀)駅を降りると、大きな道路の向こうに広がっているのが見える。

実際、かなりの人が来ていて、出入りの車も列になっていた。場内を移動する車も普段になく多かった。
ここは歩いて回るには相当広いので、清浄に維持されている一つ一つの墓域を、将軍墓域・国家有功者墓域・臨時政府要人墓域・愛国志士墓域から李承晩・朴正熙両大統領の墓域に至るまで丁寧に回っていたら、とてもではないが一日では足りない。
そこでそのあたりは思い切って省略して、一つの施設に注目してみたい。충혼당(忠魂堂)である。


2005年に竣工しているここは、敷地全体がいわば利川護国院のモデルケースとなっていると言えるだろう。




上は中心になっている建物の봉안동(奉安棟)エリアである。この他に、3ヶ所の屋外奉安施設がある。



そう言えば、去年の夏、猛暑の中行った永川護国院でも、同じような施設が工事中であった。


どうやら今後、国立墓地はこの納骨堂形式で運営していく方針なのではないかと思われる。
충혼당のパンフレットを見ると、ここに納骨することのできる対象者は、区分ごとに細かく時期が区切られている。そうしたある時期以前に亡くなった人については、従来型の墓碑形式の墓地への埋葬(それは事実上、他の墓地からの移葬に限られることになるだろう)が認められるのだろうが、国家有功者や愛国志士などの特別な例を除き、いずれはこうした形式への整理が進められるのではないだろうか*1
それでも「国立墓地に入ること」を、対象者のほとんどが望むのであれば、国立墓地のこうした埋葬形式への嫌悪感が韓国社会に広がっているとも、これから広がっていくとも、考えにくい。
従来、「韓国の墓地問題」というのは土地問題絡みで相当に深刻なものとして語られてきたのだが、この形式が国立墓地以外でも一般化していくようであれば、案外簡単に解決してしまうのかも知れない。

*1:すでに見たように、2008年竣工の利川護国院の場合、こうした納骨堂形式の墓域しかない。