ある映画のこと

あるブログ記事を見て、こちらに来たら観てみてもいいかなと思っていた映画があった。
ところが、気がついてみればその映画のポスターも映画評も見かけることなく今に至ってしまっている。
「あれー?」と思っていたら、同じことを思っていた人はどうやら私だけではなかったらしい。

【外信コラム】ソウルからヨボセヨ “独島”よ泣くな?
2009.1.10 03:39

 日韓で領土紛争になっている竹島(韓国名・独島)問題を描いた映画『独島よ、ごめんね』が封切られたというので見ようと思っていたら、もうやっていない。大みそかの31日に封切られたが客の入りがまったく悪く、早いところでは日曜の4日で幕となり、ほとんどの映画館が1週間ほどで終わってしまったのだ。

 年初の休みや冬休みの学生、生徒などをあてにした封切りだったが惨敗だ。ドキュメンタリー風でテレビの反日愛国キャンペーン番組の焼き直しみたいな映画だったから、わざわざお金を出してまで見たいという人はいなかったようだ。

 あの島をめぐって韓国社会はいつも「日本はケシカラン!」「独島を守れ!」で老若男女、与野・左右…国を挙げて一致団結し興奮する。しかし自腹を切る映画となると、いくら“独島愛国”でも面白くなければ見向きされない。韓国社会にもそれくらいの成熟度(?)はある。

 韓国の“独島愛国シンドローム(症候群)”は今年も年初から活発だ。たとえば敗戦後の日本で戦前の財産整理に関する政令が、米占領軍の命令に従い、北方領土小笠原諸島などとともに竹島を対象地域から除外した例を取り上げ「日本は独島を領土から除外!」などと大はしゃぎしている。

 「領土とは無関係」という規定を意図的に無視したいつもの“国民マインドコントロール”である。だから韓国人ライターが最近、日本で出版した労作『竹島密約』(草思社刊)などは韓国に不利なせいか話題として無視されている。(黒田勝弘

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090110/kor0901100339000-n1.htm

黒田さんが気付かないようでは、私ごときが気付かなくても恥じる必要はなさそうだ。ああよかった。
そういえば、上の記事にある日本の政令云々のニュースも、来た当初こそ盛んに流れていたが、別にどうというほどのこともなく、いつの間にかやっていた日韓首脳会談を紛糾させたという話も聞かない。あっという間もなく、ニュースの主役は、逮捕されたネット論客「ミネルバ」やら韓国国会のドタバタやら寒波到来やらに移っていた。
こうした「独島」現象のあれこれはいったい何なのか、私にもよくわからない。ただ、黒田さんの言うような韓国社会の「成熟」を見て取ることは、確かにできそうな気もする。
まあ、見方によっては堕落や退廃なのかも知れないが、こういう話題で全身全霊を懸けて一致団結して盛り上がるといった図は、あまり見られたものではない。現在の韓国社会は少なくともそのようなものではない、とは言えるだろう。
明らかに、時代の主流は生活保守主義にある。そのことを踏まえない教条主義や空理空論は、ハッキリ言って使えない。


ただ、それは歴史のハッピーエンドでは決してない。生活保守の立場が、何から目を背け、何を「存在しないもの」とすることで、成り立っているのか。
そこに目を向けぬまま生活保守の立場を謳歌する者には、やがて痛恨の報いがもたらされるだろう。