最近、このことで思うところがあったのでクリップ。
まあ私が思うところはクレーマー親ではありませんが。といって、そういう親御さんのお相手をしたことがないわけでもありませんけど。
被害者面してふざけたことを言う輩というのは、案外いるもんです。
クレーマー親の驚くべき事例について生々しい話を聞く。
ほとんど極道の「追い込み」と変わらないような陰湿で粘着的な手口で教師を追い詰めてゆく。
あまりに態度が悪くて、ついに恐喝と威力業務妨害が適用されて警察に逮捕されてしまった親さえいるそうである。
別にやくざでもなんでもない一般市民が教師相手になると、極道まがいのロジックを駆使することをためらわないというのはどういうことであろう。
私も教務部長のときにずいぶんクレーマー親の相手をしたけれど、この諸君の「因縁のつけ方」というのはある種の洗練に達していた。
極道と同じで、わずかな瑕疵をみつけて、そこについての事実認知と謝罪を要求する。それに応じると、後はそれを足がかりにして、どんどんと要求を吊り上げてゆく。そして、こちらが応じられないというと、「あんた、さっき謝ったでしょう。大学に非があると言ったでしょう」と目を三角にして怒り出す・・・
困ったことに極道は「悪いことをしている」という自覚があるが、クレーマー親にはその自覚がないことである。彼らは大学という官僚的で非人間的な機構の横暴に対して、徒手空拳で正義の実現を求めている「受難者」という立場を空想的に先取りしている。
だから、まるでネゴシエーションにならない。
だからこちらの対応がだんだんフレンドリーでなくなってゆくのもやむを得ないのである。
まず自分は「システムの被害者」であるという名乗りから社会関係を説明しようとする一般的傾向を何とか食い止めないと、この社会はますます住みにくくなる。
そのためにはまずメディアが「被害者目線」であらゆる問題を論じる態度を改めるべきであろうと思う。ほんとに。