訃報

あれは、何のツテもコネもなく、聴衆にも知り合いが一人もいないという完全アウェイの場で、初めて話をしたときのことだった。雨でやたらと湿度が高い中、やけに広い会場に、妙に人がいたのを覚えている。

場違いな闖入者としか言いようのない私の拙い話に、最初に興味を持って、真っ先に声をかけていただいた先生の、訃報に接した。ここ数年、体調がよろしくないとは聞いていたのだけど、まだまだこれからという年齢だった。

先生のご冥福を、お祈りいたします。