大邱地下鉄火災をめぐる遺骨移葬騒動

見出しを見たときにはもう少し違う構図を思い描きましたが、これはこれでなかなか興味を惹く事件です。

詳細はよくわからないものの、死者をめぐって死者そっちのけのキナ臭い思惑が渦巻いていることは間違いないでしょう。

もっとも、それ以前に、大邱の市有地に市が建設したという「安全テーマパーク」は、韓国の「葬事等に関する法律」で定義されているところの「墓地」に該当するんでしょうか。

http://safe119.daegu.go.kr/main.php

もし該当しないのであれば、無断であるかどうかとは無関係にその行為自体が普通に法律違反です。墓地でない市有の施設への移葬を大邱市が認めるはずもありませんし、そんな無茶を敢えてしなければならないほどの事情って、いったい何なんでしょうね。

記事入力 : 2011/02/14 16:04:16
大邱地下鉄放火:遺骨を無断改葬、誰が何のために!?(上)
市立墓地などに埋葬された遺骨30柱、「安全テーマパーク」内に改葬

 2003年2月18日、大邱市の地下鉄1号線中央路駅で放火によって発生した火災は、韓国史上最悪の火災事故とされる。この事件で192人が死亡、148人が負傷した。死者の遺骨は遺族の事情により、同市立墓地や寺院、個人所有の墓地などに埋葬された。ところが、今月18日の8周忌を前に、一部の犠牲者の遺骨が同市所有の土地に無断で改葬されていたことが明らかになった。一体何のためにこのようなことが行われたのか。

 遺骨の無断改葬疑惑が浮上したのは、昨年12月、犠牲者の遺族の一人が「犠牲者対策委員会の委員長が主導し、嶺南仏教大学観音寺と大邱市立墓地に埋葬されていた30柱の遺骨を、八公山の安全テーマパーク(写真)の庭に埋葬した」という内容の印刷物を大邱市庁の記者クラブに配付したのがきっかけだ。安全テーマパークは、同市が地下鉄放火事件の後、同種の事件の再発を防ぐための教育の場として建設した施設だ。

 うわさが広がったのを受け、安全テーマパーク近くの商店会「竜水洞地区商店繁栄会」の会員らが反発した。地価が下がり、売り上げに良からぬ影響を与えるのではないか、という懸念を持ったからだ。かつて、一部の遺族が安全テーマパークの建物の中や庭の木の下に遺骨を改葬したいという意見を述べたときも、商店繁栄会は「絶対に認めない」と反発している。同会は安全テーマパークを管理する消防本部に対し抗議したが、これに対し消防本部は「われわれも知らなかったことだ」として、大邱東部警察署に捜査を依頼した。警察は捜査の過程で、遺骨が安全テーマパークの庭に埋められたことを確認した。

 問題は、誰がどんな理由で、この場所に遺骨を埋めたのかということだ。疑惑について初めて言及した印刷物には、犠牲者対策委員会の委員長が遺骨の改葬を主導したことが記されていたが、同会の委員長はその事実を否定し「わたしとは何ら関係のないことだ。対策委員会に所属する一部の遺族らが遺骨を持ち出して埋めたものだ。該当する遺族らには、対策委員会に対し釈明するよう求めたが、『(釈明しに)行く』と返事しただけで、まったく連絡がつかない状況だ」と主張した。

http://www.chosunonline.com/news/20110214000053

記事入力 : 2011/02/14 16:04:29
大邱地下鉄放火:遺骨を無断改葬、誰が何のために!?(下)
市立墓地などに埋葬された遺骨30柱、「安全テーマパーク」内に改葬

 しかし、同会の委員長が名指しした遺族は、まったく違う証言をした。委員長が自分だけ非難を免れるため、うそをついているという。この遺族は「わたしをはじめ、安全テーマパークに遺骨を改葬するよう主張した一部の遺族と(犠牲者対策委員会)委員長は、2009年10月26日の夜12時ごろ、寺院や市立墓地に埋葬していた一部の遺骨を(安全)テーマパークの庭に埋めた。委員長と一部の遺族が一緒になり、見張りをしたり、穴を掘ったりして、遺骨を移した。自分一人でやったことではない」と話した。

 これが事実だとすれば、安全テーマパークに遺骨を改葬した理由は何なのか。犠牲者対策委員会と対立関係にある地下鉄放火事件のもう一つの遺族団体「2・18遺族会」側は「犠牲者対策委員会の委員長は以前から、遺族に対し『テーマパークに遺骨を埋め、聖地のような役割を持たせよう』と主張していた」と話した。だが、商店繁栄会などが反対するなど、障害に直面したため、ひそかに改葬を実行したというわけだ。

 2・18遺族会の関係者は「犠牲者対策委員会の委員長は、集まった基金などの中から500万ウォン(約37万円)の月給を受け取っている。地位を守るため、犠牲者を利用しており、そのために遺骨の改葬をたくらんだという疑惑がある」と語った。地下鉄放火事件の直後に集まった国民からの募金や政府の支援金の使途をめぐり、遺族団体が骨肉の争いを繰り広げている、という話もある。

 大邱東部警察署は、遺骨の改葬の際に現場にいた遺族らを呼び、誰が改葬を主導したのか突き止めようとしたが、ほとんどの遺族は事情聴取に応じず、捜査は難航を極めているという。

 今回の捜査が終結し、改葬を主導した人物が検挙されれば、区役所は「改葬命令」を下すことができる。同命令を下せば、遺族らは安全テーマパークの構内に埋葬した遺骨を、最初に埋葬した場所に戻さなければならない。地下鉄放火事件の犠牲者に関する業務を担当する大邱市建設防災局の関係者は「事件発生から早くも8年がたつが、いまだに事件に関する部署が存在しているほど、解決が難しい問題が多い。間もなく行われる追悼集会も、二つの遺族団体が別々に行うことになっており、苦々しい思いだ」と話した。

大邱=尹柱憲(ユン・ジュホン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110214000054