承前・京大入試ネット流出の怪
昨日からの続きですが、複数が関わっている可能性もある一方、受験会場にいた人物が実行したらしいこともわかってきたようです。
いずれにせよこれはやはり、単純な合格狙いの行動ではなさそうですね。捜査の結果で何が明らかになるのか、気になります。
京大試験問題流出、複数人物が協力か
25、26日に行われた入試問題の一部が、試験時間中にインターネットの掲示板に正解を求める書き込みとともに投稿された、京大では、試験会場への携帯電話の持ち込みを禁じてはいないが、試験中は電源を切るよう指示している。試験中の使用を見つけた場合は、不正行為とみなすことがあると受験生に周知している。会場には最低2人の監視員を配置しているが、今回の試験で携帯電話の使用を注意されたケースはなかったという。
しかし、知恵袋への投稿にはパスワードとIDを共有すれば、異なる携帯電話でも同じハンドルネームで投稿ができるため、複数の人物が協力して投稿した可能性がある。受験者が入試問題をカメラ付き携帯電話で撮影し、試験会場外の第三者にメールなどで送ったうえで、その第三者が投稿したことも考えられる。
今回の試験問題流出について、文部科学省幹部は「入試制度の根幹を揺るがす事態。京大以外の大学も含め、調査することになる」としている。
(2011年2月27日10時00分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110227-OYT1T00161.htm
京大入試ネット流出、偽計業務妨害容疑で捜査へ
京都大(京都市)で行われた入試の時間中に、設問の一部がインターネット掲示板「YAHOO!JAPAN(ヤフージャパン)知恵袋」に正解を求める書き込みとともに投稿された不正問題で、京大は27日、京都府警に被害届を出す方針を明らかにした。府警は刑法の偽計業務妨害容疑などで本格捜査に乗り出す。早稲田大、立教大、同志社大で今月行われた一部入試でも、試験時間中に携帯電話から同じハンドルネームで同様の投稿がされ、「回答」が試験中に寄せられていた。
京大は、入試業務の公正が妨害されたとして、28日に被害届を提出する。独自調査も進め、不正を確認した場合は合格させないなどの措置を取る。合格発表は3月10日。該当の学部で合格発表を終えたほかの3大学も調査を始めた。文部科学省も大学側に報告を求めるなど調査に乗り出した。
(2011年2月28日03時02分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110228-OYT1T00095.htm
回答お礼も試験中、問題文訂正も反映…入試流出
誰がどうやって――。京大、早稲田大など4大学で相次いで発覚した試験中の入試内容流出。ハンドルネーム「aicezuki」によるインターネット掲示板への一連の書き込みには試験時間中に多くの「回答」が寄せられており、大学入試の公正さを根底から揺るがしかねない不正行為として、警察も捜査に乗り出す。発覚翌日の27日、各地で入試本番に臨んだ受験生からは、怒りの声が相次いだ。
難度の高い東西の国私立大入試の真っ最中に携帯電話から問題内容を投稿し、回答には「お礼」を送る。ハンドルネーム「aicezuki」とは何者なのか。
京都大で25日午後1時30分から行われた数学(文系)の試験では、開始7分後から、質問サイト「YAHOO!JAPAN(ヤフージャパン)知恵袋」への投稿が始まった。会場は、試験開始と同時に試験官から問題の訂正が伝えられ、訂正部分が板書された。開始30分後に投稿された質問は、この訂正が反映されており、会場にいた者の投稿である可能性が強い。
「aicezuki」の「知恵袋」への質問は計27件(3件削除済み)で、ほとんどが数学や英語の問題への回答を求めるものだ。最初の投稿は入試シーズン前の昨年12月22日で、数学の問題の答えを求めた。この時、回答が寄せられたのは4時間後だったが、4回目となった翌日の数学の問題については、約20分後に返信があった。
立教大で2月11日に行われた文学部の英語の入学試験時間中には、英作文の穴埋め問題に関して、2回に分けて回答を求める書き込みがあり、いずれも試験時間中に回答が寄せられていた。1度目の回答に対しては20分後、2度目の回答に対しては12分後に「ありがとうございました」との書き込みがされ、いずれもまだ試験時間中だった。
受験をテーマにした人気漫画「ドラゴン桜」の著者、三田紀房さん(53)は、「模試や参考書の問題などを投稿するうちに、本番の試験で試してみたくなったのではないか。貴重な試験時間中にお礼のコメントをしているところを見ると、本当に合格したいのかは疑問だ」と分析する。
また大学入試センター試験2日目にあたる1月16日には、自殺をほのめかすような、また、18日には「仙台市内」の精神科・心療内科を教えてほしいという書き込みもあった。
(2011年2月28日07時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110228-OYT1T00148.htm?from=top
追記:こういう話には関心の高い韓国マスコミも、相次いでこの事件のことを報じているようです。この記事など、「なるほどそんな風に話をつなげるのか」という点も含め、なかなか興味深いポイントがいくつか見て取れます。
記事入力 : 2011/02/28 11:24:29
日本で名門大の入試問題が相次ぎ流出(上)
早稲田・同志社・立教に続き京都大学もリアルタイムで「英訳してください」
26日午前、日本のインターネット大手検索サイト「ヤフージャパン」の質問掲示板「知恵袋」に掲載された書き込みだ。英訳してほしいという文章は、その時間に入学試験が行われていた国立京都大学の出題問題と同じだった。これだけではない。京都大学で数学の入学試験が行われていた前日25日午後1時37分にも、ヤフー知恵袋には「数学の問題です。(中略)解答だけでなく途中計算もよろしくお願いいたします」という質問が掲載された。これらの質問には、すぐに「回答」が寄せられた。
ヤフー知恵袋は韓国の大手検索サイト「ネイバー」の「知識iN」とよく似たサービスで、2004年に開設され、06年以降は携帯電話からも接続し利用できるようになった。京都大学の入試問題は数学6問、英作文2問がこうした形でインターネットを通じ流出した。
インターネットに試験問題が流出した大学は京都大学だけではない。今月初めに試験が行われ、既に合格者を発表している早稲田大学、同志社大学、立教大学でも試験時間中にヤフー知恵袋で問題が流出した。京都大学は東京大学に劣らぬ人気と実力を誇る国立大学の名門で、ほかの大学もすべて私立の名門大学だ。どれも試験開始から10分もたたないうちにインターネットを通じ問題が流出し始め、すぐに回答があったという共通点がある。4大学の問題を同サイトに掲載する際は、すべて「aicezuki」というハンドルネームが使われていた。日本の各メディアは、IDやパスワードを共有する複数の人物が介入している可能性も取りざたしている。携帯電話で試験問題用紙を撮影、メールでその写真を送信し、外部にいる協力者がこれを掲示板に載せた可能性があるということだ。
記事入力 : 2011/02/28 11:24:38
日本で名門大の入試問題が相次ぎ流出(下)
早稲田・同志社・立教に続き京都大学もリアルタイムで■合格取り消しの事態も?
日本の文部科学省は「わが国の入試制度の根幹を揺るがす重大事件」とし、調査に乗り出した。だが、その一方で大学当局に対する批判も多い。日本ではかなりの数の大学が試験時間中は電源を消し、かばんに入れることを条件に携帯電話の持ち込みを許可している。各試験場には監督官が2人程度配置されるが、「きちんと監督が行き届いていないのではないか」と指摘する声もある。
日本の各メディアは今回の事件と関連し、2004年11月に韓国の大学修学能力試験(修能、日本のセンター試験に相当)で発生した「携帯電話による組織的カンニング行為」を大々的に報道している。当時、携帯電話のメールを通じた不正行為が摘発され、約300人の成績が無効になった。今回の流出事件の全容が解明されれば、合格者を発表した早稲田大学なども何らかの是正措置を取る必要が出るなど、混乱は避けられない。
■信頼崩れた日本式システム
日本では、かつては想像もできなかったような「モラルハザード(倫理観の欠如)型犯罪」が相次いでいる。死亡した親の遺体を家に隠しながら生きているかのように装い、年金を受給し続ける「年金不正受給事件」が昨年発覚し、衝撃が走った。また、検察特捜部の主任検事がある不正事件に関し厚生労働省局長を捜査した際、証拠を捏造(ねつぞう)していたことが明らかになり、昨年逮捕された。日本の検察は「信頼の象徴」から「信じられない集団」へと転落、特捜部解体論まで飛び出した。ウナギやアサリなど中国産水産物を日本産と偽装し販売、摘発された事件も続出、食品の安全性に対する信頼にもひびが入っている。
日本の非実名制インターネット文化も、試験問題流出事件を機に批判の的になっている。問題が流出したヤフー知恵袋は実名を登録する義務がない。日本ではほとんどのサイトが実名確認を経ないため犯罪に悪用される可能性があるが、これを放置してもいいのかと批判を浴びている。
東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員