「大学入学共通テスト」、始まる前から破綻するかも

ただでさえ制度的な問題点が多数指摘され、活用見合わせを表明する大学が続出している中で、このニュースですからね。撤退や脱落の動きがさらに強まれば、制度のスタートまでちゃんとこぎつけられるかということ自体が、問題になってくるかもしれません。

TOEICの挙げている撤退理由、他の検定試験も事情は変わらないはずですからね。

TOEIC 大学入学共通テスト撤退へ 運営複雑理由に 受験生に影響
毎日新聞2019年7月2日 10時56分(最終更新 7月2日 13時22分)

 大学入試センター試験に代わって2020年度に始まる大学入学共通テストの英語の民間資格検定試験を巡り、文部科学省が認定した8試験の一つのTOEICが撤退する。TOEICを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が2日、明らかにした。共通テストの対象となる現在の高校2年生を中心に高校では新テストに向けた対策を始めているだけに受験生への影響は必至だ。

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 共通テストで活用される民間試験は、TOEICのほか、ケンブリッジ英語検定実用英語技能検定(英検)▽GTEC▽IELTS▽TEAP▽TEAP CBT▽TOEFLiBT――の7試験。文科省大学入試センター有識者会議が18年3月、試験の内容が学習指導要領に沿っているかなどを審査し、認定した。

 文科省は全都道府県で複数回の実施など実施体制に関し、さまざまな条件を求めていた。TOEICを実施するIIBCは撤退理由について「受験申し込みから実施運営、結果提供に至る処理が当初の想定よりも複雑になることが判明した。責任を持って対応を進めることが困難であると判断した」としている。

 IIBCによると、TOEICは「日常生活やグローバルビジネスにおける生きた英語の力を測定する世界共通のテスト」で、国内では年間120万人前後が受験する。受験者規模では英検(約340万人)に次いで2番目。

 民間試験は「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を測るために導入する。今の高校2年生が3年生になる20年4~12月に2回受験することができ、その成績が受験する大学に提供される。ただ、各試験の内容が異なるため、全国に82校ある国立大のうち北海道大、東北大、京都工芸繊維大は、公平性に問題があるなどとして活用しないことを決めている。【水戸健一、金秀蓮、成田有佳】

https://mainichi.jp/articles/20190702/k00/00m/040/062000c

TOEIC、大学入学共通テストの参加取り下げ
社会 2019/7/2 10:57 (2019/7/2 12:41更新)

英語能力テスト「TOEIC」を日本で運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC、東京・千代田)は2日、2020年度から始まる大学入学共通テストへの参加申し込みを取り下げたと発表した。

IIBCは「受験申し込みから実施運営、結果提供までの処理が想定していたより複雑で、責任をもって対応を進めることが困難だと判断した」と説明している。

TOEICはリスニングとリーディングの「L&R」、スピーキングとライティングの「S&W」を別々に実施する形態を予定していた。

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英語民間試験は20年4~12月に、高校3年生らの受験生が受験し、結果を活用することになっている。TOEICを含む7団体8種類の民間試験が大学入試センターに参加を申し込んでいた。文部科学省が18年に全国の高校1年生を対象に調査したところ、全生徒の1.8%がTOEICを受験すると答えていた。

同省は「多くの受験生が受ける予定をしており、取り下げは残念。受験生が不利益を被らないように周知していく」としている。

英語民間試験は50万人の受験が想定される共通テストの目玉として導入が決まった。話す、聞く、読む、書くという4つの技能を問うことが目的だ。大学入試センターは各民間試験の点数を語学力の共通の物差しとされる欧州言語共通参照枠(CEFR、セファール)のランクに当てはめ、大学に提供する。

民間試験の採点方法などの詳細は「営業秘密」として明かされていない部分が多い。また、現時点で試験会場や日程が決まっていない試験もある。受験生を送り出す高校からは会場までの距離で有利不利が生じることや、練習のために受験するたびに家計負担が生じることへの不安の声が上がっている。

大学側も民間試験の活用には慎重な姿勢が目立つ。5月時点の文科省の調査では、国立大学の4割が合否判定に活用せず、出願資格にとどめるとした。一部の大学では民間試験を受けなくても高校が英語力を保証すればよいとしている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46834540S9A700C1MM0000/