こちらの事件もまた、今のところ、「恥ずべき事件に恥の上塗りを重ねる」という事態を招いてしまっているようです。こうなってくると、「この事態にどう対処するか」が、その事件単体の話を離れて、「朴槿恵政権は果たして信頼に値するか」という問題になりつつあるかも知れません。
ここで必要とされる政治的なリアリズムは、「性的なエネルギーの解消」がどうとか「男ってそんなもの」だとかいった「人間のリアリティ」の肯定では、ないですね。少なくとも。
記事入力 : 2013/05/11 10:37
【社説】世界で韓国に恥をかかせた報道官のセクハラ更迭朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の訪米に随行していた尹昶重(ユン・チャンジュン)報道官が、米国ワシントンで、駐米韓国大使館のインターン職員の女性にセクハラ行為を行ったとして警察に告発された。現地在住の韓国人で米国の市民権を持つこの女性は、今回の朴大統領訪米に当たって尹氏のアシスタント業務を担当していたが、現地時間の8日午前、尹氏からセクハラを受けたとしてワシントンの警察に尹氏を告発した。尹氏は問題が発覚した直後に自ら航空チケットを購入し、荷物も置いたまま1人で韓国に帰国。大統領府は事件発生から24時間後、ロサンゼルスで尹氏の更迭を発表した。
尹氏は帰国後に大統領府から事情を聴かれた際、身体接触は認めたがわいせつ行為は否定した。また米国で取り調べを受けると自分を守ることが難しくなると考え、急いで帰国したとも説明しているという。しかし大統領の訪米という国家次元の重大行事に随行した政府高官が、現地でセクハラという不名誉な事件に関係するなど絶対にあってはならないことだ。国としてこれ以上の大恥はない。
大統領府はこの問題が大統領訪米の成果を目立たなくしてしまうのを心配しているようだ。しかしそれならむしろ事件の真相を徹底して解明した方が、波紋を小さくできるのではないか。韓米間ですでに締結されている犯罪人引渡し条約では、尹氏に対して米国の警察が直接捜査を行うのは難しいため、真実を明らかにできるかどうかは韓国側の対応にかかっている。今回の問題を、政府関係者に軽々しい行動を戒める大きな教訓とするか、あるいはいたずらに尹氏を擁護し国際的なメンツをさらにつぶしてしまうかは、完全に大統領府の今後の行動次第だ。
このニュースが伝えられると、多数のメディアや国民の間から「ついに問題が起こった」とする声が相次いだ。これまで尹氏については「このままでは必ず何か問題を起こす」といった声が何度も出ており、誰もがある種の不安を感じていたからだ。これが結局は最悪の時期に最悪の形で表面化してしまった。
尹氏は大統領選挙後、当選した朴槿恵氏が最初に指名し選んだ人物だ。大統領職引き継ぎ委員会の報道官となった尹氏は、人事の内容が書かれた紙をどういうわけか自ら封筒に入れて密封し、報道陣の前でそれを開くというパフォーマンスを行った。ところがその行動はかえって国民に「考えが通じない」というイメージを与え、それはそのまま発足直後の朴槿恵政権のイメージとなってしまった。
この問題をきっかけに、尹氏は大統領府報道官として適切でないとの指摘がメディアなどで相次いだが、朴槿恵氏はこれらの声に耳を貸さず尹氏を大統領府報道官として改めて任命した。尹氏は報道官就任前から印象の強いコラムを新聞などに何度か発表し、その独特の個性である程度名前が知られていた人物だ。しかし毎日のように大統領の代わりに国民の前に姿を現す報道官として適切かどうかについて、何らかの検証と検討が行われたかどうかは今でも分からない。この人事による最大の被害者はまたも朴大統領自身となった。この結果、朴大統領が選んだ政府高官のうち不名誉な理由で辞職した人物は8人になった。とりわけ尹氏の指名は朴大統領が最初に行った人事でもあるため、この問題はまさに行き着くところまで行った感じだ。
国民は今、大韓民国に恥をかかせた尹氏の行動に当惑し怒りを感じている。しかし国民は尹氏の後ろに朴大統領の姿を見ているはずだ。朴大統領は今からでも自らの「人を見る目」を深く反省すべきだ。これを怠れば再び同じような問題が発生してしまうだろう。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100515.html
記事入力 : 2013/05/13 10:06
【社説】報道官スキャンダルをいたずらに大きくした大統領府大統領府の許泰烈(ホ・テヨル)秘書室長は12日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の訪米中に発生した尹昶重(ユン・チャンジュン)前報道官のセクハラ疑惑について「国民の皆さまに申し訳ない思いを禁じることができない」と述べ、国民に謝罪のメッセージを送った。李南基(イ・ナムギ)広報担当首席秘書官が10日にこの問題で国民に謝罪してから2日後のことだ。許室長は「広報担当首席秘書官は帰国当日(10日)、部下の不祥事の責任を取って辞意を表明した」とも語った。
今回の事件で問題となっているのは、尹前報道官が現地在住の韓国系女性インターンに不適切な行動を取ったのが事実かという点と、この事件が表面化した後の大統領府の対応が適切だったかという2点に絞られている。尹前報道官は11日に会見を行い、自らのセクハラ疑惑を全面的に否定した。しかし尹前報道官は大統領が韓米首脳会談に臨んだ日の夜、それも翌朝には大統領が米国議会で演説するという重要な日程を前に、インターン女性を呼びつけて酒を飲んだ。この事実だけでも、尹前報道官は公の席で自らを擁護できるような立場ではない。セクハラ疑惑が事実でないのなら、尹前報道官は自らワシントンの警察署に出頭し、取り調べを通じて自らに向けられた疑惑をまずは解消すべきだ。
大統領府の対応に批判が集まる状況は、大統領府が自ら招いた。広報担当首席秘書官は10日夜10時40分に国民に向けて謝罪した際、尹前報道官のセクハラ疑惑をいつ、いかなるルートを通じて把握し、またいかなる対応を取ったか、さらに大統領にいつ報告したのかなどについて説明した。しかし、事実関係についてはほかの大統領府関係者の説明と食い違う部分が少なくない。しかも翌11日には尹前報道官本人が会見に姿を現し、広報担当首席秘書官の説明に正面から反論。大統領府の広報担当首席秘書官と前報道官が事実関係をめぐって対立するかのような様相を呈した。
尹前報道官は一足先に帰国した理由について「広報担当首席秘書官の指示に従った」と説明したが、広報担当首席秘書官は「記憶にない」と述べた。しかも大統領府は、米国では当初「尹前報道官は私用のため先に帰国した」と言いつくろっていた。また大統領に報告した時期についても説明が食い違っている。このような状況が続いているためか、大統領府の説明そのものが別の新たな疑惑となり、問題がさらに拡大している。与党関係者の間からは「大統領府がいたずらに問題を大きくしているようだ」などの指摘も出始めている。
大統領の訪米中に起こった今回のセクハラ疑惑は、決してあってはならないものだ。ところが事件が表面化した後の問題への対応を見ると、政府の危機管理能力の低さも同時にうかがい知ることができる。大統領府は今からでも疑惑を徹底して調査し、責任を追及すべきところは追及し、修正すべき点は修正しなければならない。広報担当首席秘書官は10日に「国民と大統領に申し訳ない」と述べた。国のメンツをつぶした今回の事件で大統領府が大統領本人に謝罪したわけだが、このような意識で問題の解決に臨んだとしても、逆に問題を大きくするのはある意味当然のことだ。そもそも周囲の反対を押し切って尹氏を報道官に任命したのは朴大統領だ。朴大統領も今回の事件を大きな教訓としなければならないだろう。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/13/2013051300820.html
記事入力 : 2013/05/13 09:35
【記者手帳】記者からヤジが飛んだ大統領府前報道官の会見朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の訪米中にセクハラ容疑で更迭された尹昶重(ユン・チャンジュン)前大統領府報道官は11日午前、ソウル市鍾路区付岩洞のあるコンベンションセンターで会見を行った。
たとえ犯罪者だとしても、自分を弁護する権利はある。しかし30分間にわたる会見に臨みながら「公共財である放送の電波を30分も占有すべき内容なのか」という疑問がわいた。
まず尹前報道官が会見の主要目的であるセクハラ疑惑に言及するまで、8分30秒もの時間がかかった。尹前報道官は駐米韓国大使館がインターンとして採用した大学院生のAさんを「女性ガイド」と呼んだ。尹前報道官は会見からおよそ4分30秒間を「Aさんの能力にいかに問題があったか」を説明するのに使い、その上で「何度も厳しく叱った」と述べた。
セクハラ容疑者の男性が、問題が発生した原因を百パーセント被害者の女性に押しつけるのはよくあることだ。尹前報道官も自らに向けられた疑いをごまかすためか、まだ20代のAさんをおかしな女性かのように説明した。韓米首脳会談をサポートするインターンという仕事は、ワシントン周辺に在住する韓国人大学生や留学生なら誰もが一度はしてみたいと考えるため、当然希望者は多く競争率も高い。学べることが多いだけでなく、後から大きな経歴にもなるからだ。Aさんも当然そのように考えたはずだ。
セクハラが事実かどうかとは別に、尹前報道官は大統領の海外歴訪に同行する政府高官としての立場を忘れ、大量の酒を飲んだ。この行動自体がまずは大きな問題だ。また今月8日(現地時間)の早朝5時ごろ、酒に酔ってホテルに戻る尹前報道官の姿を目撃した人物もいる。しかし尹前報道官は会見で「(7日夜に)30分ほど酒を飲んだ」としか言わなかった。尹前報道官はさらに「娘ほど年齢が離れた現地在住の若い韓国人女性」を厳しく叱りつけたため申し訳ないと思い「慰めるために」酒を購入したと説明し、問題の本質をうやむやにしようとした。
セクハラ疑惑について尹前報道官は「腰をポンと1回たたいた。これは慰労と激励の思いを込めたジェスチャーだった」「米国の文化について詳しくなかった」とも説明した。尹前報道官の弁解はすでにさまざまな点で事実とは異なることが明らかになっているが、仮に説明が事実だとしても、到底納得できるような内容ではない。「文化の違い」が問題なら、韓国には50代の男性が仕事で知り合ったばかりの20代女性の腰を叩いて激励する文化があるということになる。
尹前報道官は「自分はそのような人間ではない」「尹昶重という三文字をかけて誓う」と繰り返した。しかし会見中は取材記者たちの間からでさえ、ヤジが飛んだ。
金真明(キム・ジンミョン)政治部記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/13/2013051300659.html
記事入力 : 2013/05/13 10:36
大統領府報道官更迭:恥の上塗り会見に国民の怒り増幅尹前報道官、セクハラ疑惑に「米国文化を理解できなかった」と発言
今月11日午前、ソウル市鍾路区の飲食店で記者会見を行った尹昶重・前報道官。/写真提供=NEWSIS大統領府の尹昶重(ユン・チャンジュン)前報道官のセクハラ疑惑をめぐり、韓国国民の怒りが沸騰している。今月11日に行われた尹前報道官の記者会見は火に油を注いだ。とりわけ、尹前報道官が帰国直後、大統領府内部の調査に対し、在米韓国大使館のインターンの女性の尻を触ったことを認め、また宿泊先のホテルの部屋に女性が来たとき、自分が全裸の状態だったと説明しておきながら、記者会見ではこれらを否定したことに対し「人間的に幻滅を感じる」という声が殺到した。ある会社員は「高官たる者が、すぐに分かるようなことをぬけぬけと否定するとは、あきれてものが言えない」と話した。また、簡易投稿サイト「ツイッター」でも「なぜ記者会見でうそをつくのか。自分の利益のために国民を利用できるほど、韓国社会は愚かだと思っているのか」などと非難するコメントが相次いだ。
尹前報道官が記者会見で「文化的な違い」に言及したことも、韓国内外で人々の怒りを買っている。就職活動中の男性(28)は「『文化的な違い』というのは、事件の本質をうやむやにする愚かな発言だ」と話し、また警察官の男性(42)は「韓国でもあんなことはしない。(米国の)文化がよく分からなかったという言い訳は、韓国に対する評価を下げるものだ」と語った。一方、今回の事件を初めて世間に伝えた、在米韓国人によるインターネットのコミュニティーサイト「Missy USA」には「尻を触るのが韓国の文化だというのか。ごみみたいなやつだ」「韓国では女性の尻を触ってもいいというのか。このXXX(隠語)め」といった非難が相次いだ。
ツイッターには「尹昶重の『文化的な違い』という一言で、韓国は『セクハラ国家』になり下がってしまった。まさに売国奴だ」というコメントも寄せられた。尹前報道官は11日の記者会見で、インターンの女性を励ますため腰を1回たたいただけだと主張し『米国の文化についてよく分からなかった』と言い訳した。
国民は、尹前報道官が大統領府の高官という要職に就いていながら、外国で愚かな行為に及んだことに対し怒りをあらわにしている。会社員キム・ドヒョンさん(27)は「韓国の代表格である報道官は、誤解されるようなこと自体してはならない。三歩一拝(3歩歩くたびに1度地面にひざまずき拝礼する)をしながら全国を回ったとしても許されないくらいなのに、あのような下手な言い訳をしたことに対し、とても腹が立つ」と語った。また、尹前報道官が自ら米国に行き、潔く捜査に臨むよう求める声も相次いでいる。会社員キム・ギュドンさん(28)は「自分が悔しい思いをしたというのなら、現地に残って米国の捜査機関の捜査に臨み、正々堂々と対処すべきだ。国に対し恥をかかせた」と語った。
一方、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領による「世間知らず」な人事に対しても批判が高まった。20代の会社員の男性は「尹氏は記者たちにぞんざいな対応をするなど、以前から問題の多い人物だった。今回のような問題が発生する可能性が高かったにもかかわらず、人事を強行した朴大統領にも責任がある」と指摘した。
ポータルサイト「ダウム」には10日「尹昶重の犯罪行為が事実なら、米国で処罰を受けるべきだ」という文章が掲載され、これについての署名運動が始まった。署名数は1万人を目標としていたが、受け付けが始まって3日目の12日午後には7000人を超えた。また、インターネット上にはパロディーも登場した。映画『風と共に去りぬ』をもじった『Grab(尻をつかむ)と共に去りぬ』などの表現物を通じ、事件をあざ笑っているというわけだ。
ソウル大社会学科の鄭根埴(チョン・グンシク)教授は「韓国初の女性大統領の側近として随行していた大統領府の報道官がセクハラ騒ぎを起こし、大統領の顔に泥を塗るようなことをしたという点で、国民に侮辱感や衝撃、失望感を与えた。その上、尹氏が厚顔無恥な言い訳までしたことは、人事権者である大統領に対する辱めであり、国民に対するテロだ」と語った。
チェ・ヨンジン記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/13/2013051300911.html
よくあるツッコミですが、この手の行動や発言をする人たちって、「自分の恋人や配偶者や子どもについてはまた別の話」と思っているのか、「恋人とか配偶者とか子供とか言っても、自分にとってはしょせんそんな存在」と思っているのか、どっちなんでしょうね。
それとも、私には考えも及ばないような、もっと深い考えがあったりするんでしょうか…。