「読み捨てされる作家」の単行本を買い揃える希少種の私

それこそ「Selfish Comics」を描いていた初期の初期の頃から青木光恵のファンだった私は、「単行本は買って揃えておきたい派」なので、青木光恵の単行本は今でもけっこう持っています。が、それは読み手としては少数派だったわけです。

小形さんのブログを読む前からそのことは何となく知っていました。それに気が付いたのは、『小梅ちゃんが行く!!R』が竹書房の単行本としては完結してくれなかったときのことだったでしょうか。

“読み捨てされる作家”が個人で電子雑誌を創刊したら何が起こったか 漫画家・青木光恵に聞く - ITmedia eBook USER

単行本の売れない作家=商品価値がない?

―― 最初にすまみつの発行を決めた経緯から伺っていきたいと思います。青木さんや小形さんが個人で電子雑誌を発行するに至った背景にはどういったものがありましたか。

青木 私、以前から「単行本の売れない作家」みたいな言われ方をしていたんですよね。雑誌で連載をしていると、アンケートは悪くないと言われるのに単行本の売れ行きはあまりよくない、みたいな。

 この数年の出版不況などもあって、単行本が売れない漫画家はなかなか雑誌に描かせてもらえなってきて。連載が終わって、出版社に持ち込みもしたりもするんですが、編集者さんは最初「青木さんならぜひ!」って反応がいいんですけど、数日後には「すみません、単行本の売り上げを確認させてもらったんですが、この数字ではうちではちょっと厳しいです」みたいな感じになることも多くて。

 単行本が売れる作家さんというのは、「とっておきたい作家」なのだと思います。でも残念だけど私は違う。「読み捨てされる作家」というのは、そういう状況を自己分析した結果、言い始めたことなんです。

作家はパーツ?

―― 紙の雑誌の仕事がなくなったという話がありましたが、書き手として、商業漫画出版の現状はどう映っていますか?

青木 不況だから、とよく言われていますけど、私の個人的な実感としては、決して不況だけが要因というわけではないんじゃないかなと。ただ、編集者と作家・漫画家の付き合い方は確実に変わって来ましたね。

 今の新人の編集者さんは、上からのプレッシャーもあるんでしょうね。すぐに結果を欲しがっていて、最初から「萌え系でどうですか」「妹でどうですか」みたいに、今、当たってる作品をなぞった企画を持ってくるんです。商業誌としてはある意味正しいんですけど、私は、今まで元気な女の子をずっと描いてきたので、「健気な妹キャラ、私のところに持ってくる?」みたいな。

小形 誰でもいいとまでは言わないにせよ、作家がパーツ化しているような気はします。「この作家にこれをやらせよう」ではなく、「ヒットするのはこういう作品」という結論があり、「それならこの人に」という感じになってるんじゃないでしょうか。

 ヒット作が性急に求められる背景には、1つは単行本が売れなくなってきたことがあると思います。これまでの漫画出版のビジネスモデルは、雑誌単体では赤字でも、単行本でヒットを出して黒字にするというものでした。

 ところが肝心の単行本が売れなくなって、そのモデルが崩れてしまった。だから今は単行本が売れにくい作家に依頼する余力は残ってないんですね。青木の仕事が無くなってきたのも、そういうことが一因としてあるのではないかと思います。

 ただ、単行本が売れるばかりが漫画家なのかという疑問がぼくにはあります。漫画家の一番の仕事は面白い漫画を描くことで、読者が単行本を買いたくなることが「面白い」の一種には違いありません。でもそれだけというのは違うんじゃないかなあと。

ただですねえ、どうしても個人的には、Kindleのものを買ってiPhoneで読む気にはなれないのですよ。Surface2ではKindleのアプリが日本語に対応してないので、そもそも読めませんし。

Surface 2非公式マニュアル(12) Kindle電子書籍は読めますか?→今はまだですが他に対応ストアはあります

ウェブに特化した形態としては数歩先を行っている韓国のWebtoonsでも、それほど売れているとは思いませんが単行本化はされています*1

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ということで、「単行本が出たら買う!」というのでは、ダメですか…?

スマホで光恵ちゃん 第11号

スマホで光恵ちゃん 第11号

*1:もしかしたらそれは、『チーズインザトラップ』のようなヒット作だけのことなのかもしれませんけど…。