「京都人とスポーツ」をめぐるスレテオタイプ
京都人に関して京都人自身の間で飛び交っている噂について、井上先生に聞いた話を京都新聞が載せる、という…。京都盆地スケールのそんな内輪話を、洛中洛外はおろか、京都府外のどこででも読めるようになってるというインターネットの恩恵を、井上先生自身はたぶん、感じたはらへんと思います。
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まあともあれ、これ、パペポTVやってた頃の上岡龍太郎と井上先生との対談を空想してしまうネタではあります。
井上章一さん「京都はプロスポーツが根付きにくい」。サッカーJ2京都サンガFCなどを取材していると、諦めにも似た声を聞く。京都人気質か、はたまた誇り高き文化の街だからなのか。「京都ぎらい」の著者で、阪神タイガースに関する著書もある井上章一・国際日本文化研究センター教授に、巷(ちまた)で飛び交うもろもろの噂をぶつけてみた。
【噂(1)】 京都の人は冷めているので、肩入れしない。
では野球の平安高校とかラグビーの伏見工業高校を支えたのは京都人ではないということですね。阪神が勝った日の晩に阪急電車で河原町に着くまではしゃいでいる人を見かけることがありますが、あれは京都人じゃないということですね。
【噂(2)】 京都の人は恥じらいがあるのか、個人主義なのかまとまって応援しない。
イギリスは個人主義の発達した国と言われますけど、(サッカーで)イングランド対ウェールズ、スコットランドの試合は熱狂的ファンがいっぱい。個人主義の発達とスタジアムの熱気はあまり関係ないのでは。県民性と羞恥(しゅうち)心の関わりを調べた統計研究はあまりないと思います。私のかすかな思い出は、KBSホールでのプロレスで(宇治市出身の)ブラザーヤッシーがリングに上がった時に(客席から)「宇治のくせに京都と言うな」という絶叫。その人に羞恥心があるのんか、と思いたくなります。
【噂(3)】 京都の人は一流のものに目が肥えている。
僕が通っていた(嵯峨の)小学校あたりは巨人のひいき筋の方が多かったんですよ。私は阪神ファンですが、どちらが一流かは明らかじゃないですか。京都人は熱狂しない、一流好みだというのは言い訳であると同時に、そういう説明をしている人同士がお互いにうっとりしあっているのかもしれないね。俺たちやっぱり“都”だからな、みたいに。
【噂(4)】 サンガは京セラのチームと見られている。いつまでも「よそさん」扱い。
プロ野球のソフトバンクは福岡で明らかに「よそさん」。観客動員を本当に増やしたいのなら相当みっともないことをせんなんと思いますよ。選挙の時に「どぶ板」というじゃないですか。中京生まれの(京都市長の)門川さんが山科へ行っても嵯峨へ行っても頭下げたはるんですよ。ひょっとしたら、(サンガの中に)上京、中京、下京へ行って頭を下げたくない思いがあるんかもしれんね。どうせ俺らのこと、よそもんや思ってんねやろ、と。そういうことにこだわっていると、観客動員につながらないですよ。
【噂(5)】 関西は野球文化。阪神の影響力が強すぎる。
プロ野球選手もインタビューを聞いていると4割ぐらいは関西人ちゃうかと思いますし、野球の世界では関西弁が公用語になっている気がしなくもない。でも、どうしてガンバ(大阪)やセレッソ(大阪)には客が集まるんだ、と。京都以上に大阪の方が野球文化に染まっていますからね。
【噂(6)】 京都の人は高尚なものが文化であり、スポーツを文化として見ていない。
京都三条会商店街が(雨の日にアーケードで練習していた)野口みずきさんにあやかって、「金メダルロード」とか言ってはるんでしょ。スポーツを敬っていない地域の商店街がやることではないと思います。京都はスポーツを敬わない、という言い方で自分たちを慰めているところはあるんじゃないでしょうか。
【噂(7)】 JR亀岡駅前に新スタジアムができる。山陰線に乗ってわざわざ行くのか。
JR沿線の人が来ればいいのであって亀岡なら舞鶴や園部からだって来られるよね。別に上京、中京、下京の人が行かなくてもいいでしょう。(サンガは)むしろ思い切って京都府のチームになってしまった方がいいのでは。京都市も新しいチームをつくったら「洛中洛外戦」ができる。まあ、こんなん言うても通らないでしょうが…。
【 2017年06月18日 15時10分 】
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20170618000049
ただねえ、これ、噂というかステレオタイプの話ですけど、「実際のところはどうなのか」という点と、「そもそもなんでそんなステレオタイプをみんな使いたがるのか」という点とを突き詰める必要があると思うのですよ。本来は。
つまりこれは、こういう話なのではないでしょうか。
人種とスポーツ - 黒人は本当に「速く」「強い」のか (中公新書)
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だとしたら、真面目に調べればこのレベルで一冊の本になるくらいのボリュームは十分にありそうです。
- 作者: 井上章一
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社会史・スポーツ史の分野(になるのかな?)で、金益見さんのような方が登場するのを期待したいところです。
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