【センバツ高校野球】21世紀枠がもたらした彦根東の躍進
連日の熱戦が続くセンバツですが、この試合はまた力の入るいい試合でした。両左腕エースを中心に、レベルの高い互角の戦いを見ました。アルプスの両応援団もよく声が出てて素晴らしかったです。
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関東の名門・慶應義塾から得た春の初勝利は、彦根東の新たな歴史になりますね。
第90回選抜高校野球
彦根東4-3慶応 彦根東、エース1勝
毎日新聞2018年3月29日 東京朝刊<2018 第90回記念センバツ高校野球>
第6日(28日・阪神甲子園球場)
○…2回戦…○
▽午前9時3分開始(観衆3万2000人)
彦根東(滋賀)
000001030=4
000000210=3
慶応(神奈川)
【彦根東-慶応】彦根東先発の増居=阪神甲子園球場で2018年3月28日、森園道子撮影彦根東がシーソーゲームを制した。六回1死満塁から山岡の二ゴロで1点を先取。1点を追う八回は朝日の三塁打と山岡の四球などで2死一、三塁とし、高内の左越え3ランで逆転した。左腕・増居は要所で直球がさえて3失点完投。慶応は七回に善波の左中間2点適時打で一時リードしたが、左腕・生井が踏ん張れなかった。
■白球を追って
苦手左打者、ピシャリ
かつては苦手にしていた左打者にも、彦根東の左腕・増居は自信を持って投げ込んだ。
1点リードを許し、なおも七回1死一、三塁のピンチ。慶応の1番・宮尾に対して追い込んでからの4球目は、昨秋から使い始めた外角のスプリットだった。直球と同じ振りでわずかに落ちる変化球を、狙い通り引っかけさせて二ゴロ併殺に打ち取った。「(宮尾は)足は速いが、ゴロを打たせれば併殺にできると思った。出来すぎ」と、してやったりの表情を見せた。
課題を克服しようと、冬場は左打者の外角にきっちり投げ切る練習を繰り返してきた。この日は両校監督が試合前にキーマンに挙げていた慶応の宮尾と4番・下山の左打者2人を無安打に抑えた。また、坂道を走って下半身を鍛え、ストレッチで股関節の可動域を広げたことで球威が増し、自己最速を140キロに更新した。
昨夏の甲子園では2年生ながら開幕試合で完投し、チームを春夏を通じて5回目の出場で初勝利に導いた。村中監督は「強気の姿勢が仲間にも大きな影響を与えている」と信頼を寄せる。2009年に21世紀枠で56年ぶりの甲子園出場を果たして以来、9年ぶりにセンバツに戻ってきた彦根東。昨夏から大きく成長を遂げた背番号1が、待望の春の初白星をもたらした。【長田舞子】
【彦根東-慶応】八回表彦根東2死一、三塁、高内が左越え3点本塁打を放ち、村中監督に出迎えられる=阪神甲子園球場で2018年3月28日、幾島健太郎撮影読み通り逆転弾
○…彦根東の高内が値千金の一発を放った。八回に相手投手の生命線の内角直球をうまくさばくと、打球は左翼ポール際に飛び込む逆転3ランになった。「相手投手がサインに首を振ったので、自信のある球が来る」と捕手らしい読みだった。第2打席以降は振り遅れないように、4センチ短いバットに替えたことも奏功した。不調で打順を本来の4番から6番に下げられて3安打。「最高の気分です」と破顔した。
【彦根東-慶応】 八回表彦根東2死一、三塁、高内(奥)に左越え3点本塁打を許し、打球の行方を見る慶応の生井=阪神甲子園球場で2018年3月28日、猪飼健史撮影■春きらめく
関東No.1左腕、甲子園の壁 生井惇己(じゅんき)投手=慶応・3年
左翼スタンドに向かった打球を最後まで見つめた。逆転3ラン。思わず天を仰いだ。
1点のリードを奪った直後の八回2死一、三塁、打席に彦根東の6番・高内を迎えた。カウント2-2。捕手・善波のチェンジアップの要求に首を振った。冬場から磨いてきた、一番自信のある内角直球を選択した。少し浮いたところを捉えられた。「チェンジアップのコントロールに自信がなく、捕手を信じ切れなかった」
関東ナンバーワン左腕の呼び声が高く、昨秋の公式戦は54回余りを投げて61三振を奪った。だが、この日は一回からスライダーが決まらず、他の変化球も見極められた。終盤は下半身の踏ん張りが利かず、球威が落ちた。
茨城県出身だが、伝統の「エンジョイ・ベースボール」に憧れて慶応に入学した。「甲子園は簡単に勝たせてくれない」。チームを9年ぶりの大舞台に導いたエースも、全国のレベルの高さを実感した。【佐野優】
https://mainichi.jp/koshien/articles/20180329/ddm/035/050/094000c
しかしそれもこれも、思い起こせば2009年の21世紀枠選出から始まった彦根東の躍進の一コマなわけです。あの甲子園出場が「彦根東で甲子園を目指す」という具体的なイメージを生み、あとに続く後輩を導いたことが、決して野球環境に恵まれてはいない彦根東が滋賀県大会上位の常連になっていった原動力となっています。
やっぱり、こんな応援を背に受けて、甲子園で野球やってみたいですやん?
しが☆スポ
センバツ出場 3校へ、夢つながる姿を 09年に奮闘、彦根東OB5人がエール /滋賀
毎日新聞2018年2月22日 地方版
2009年のセンバツに出場した彦根東OBたち。左から甲津賢人さん、野坂悠太さん、河野亮平さん、笠井健太郎さん、新山智也さん=神戸市で、小西雄介撮影彦根東は2009年、21世紀枠で56年ぶり3回目のセンバツ出場を果たした。1回戦で習志野(千葉)にサヨナラ負けを喫したものの、同校として甲子園での初得点を挙げた。その後、13年には夏の甲子園に初出場。そして17年夏には春夏通じて5回目となる甲子園で初勝利を挙げるなど着実に力をつけている。09年春に出場したチームのOB5人が当時の思い出を振り返るとともに、今春のセンバツに出場する彦根東、近江、膳所の3校にエールを送った。【小西雄介】
◆09年は56年ぶりの甲子園出場だった。
河野さん 前年秋の県大会で準優勝したが、近畿大会は1回戦で東洋大姫路(兵庫)に4-6で負けた。ただ、21世紀枠の近畿地区候補になって「もしかしたら選ばれるかも」と希望は持っていた。
笠井さん 09年の出場を彦根東の関係者は「一生に一度」と思っていたので、今回の2季連続出場には驚いた。
◆甲子園の開会式でグラウンドに立ち、何を感じた?
新山さん 入場行進で球場に入った時の光景が忘れられない。スタンドが本当に近く感じ、大歓声を受けた。
◆初戦で習志野(千葉)と対戦した。
河野さん 初回に、後にプロ球団に入団する捕手の送球を見てレベルの違いを感じたが、金子周作(投手)が相手打線を抑えるのを見て「いける」と思った。
◆チームは四回に先制。彦根東としては春3回目の出場で初得点となった。
甲津さん あの時は2死から僕と前川大地(中堅手)の連続二塁打で先制した。ホームを踏んだ時、バックネット裏から大歓声が聞こえて本当にうれしかった。
新山さん アルプスにいた選手や生徒たちも、彦根東にとっての初得点と知っていたから、全員が抱き合い、ハイタッチをして喜んだ。
◆五回まで習志野を1安打に抑えていた金子投手が全身のけいれんに襲われ2失点して逆転を許し、そのままマウンドを降りた。
河野さん 僕たちは彼の好投にずっと頼ってきたチーム。「勝って金子をもう一度マウンドに上げる」という一心で打線が奮起した。
◆その言葉通り七回に追いつき、八回に野坂さんの適時打で一時勝ち越した。
野坂さん あの時は自分とみんなの思いが一つになって、勝てると思ったが……。
◆試合は惜しくも九回にサヨナラ負けを喫した。
甲津さん 緊張しながらも試合を楽しんでいた。サヨナラヒットを打たれた時も、試合が終わったのが分からなかった。
野坂さん 27年間生きてきて、甲子園での経験を超える出来事はない。そのくらい夢のような時間だった。
◆甲子園とは?
野坂さん 今でも、みんなをつなげる場になっている。全国にいる卒業生がアルプスで再会できるのは本当に素晴らしく、うれしいこと。後輩の活躍に僕らも励まされる。
2009年のセンバツ初戦で習志野に4-5で惜敗し、ベンチ前に整列する彦根東ナイン=阪神甲子園球場で、野田武撮影◆09年春の甲子園出場に憧れて入学した後輩たちが13年夏に初出場。さらに、その選手たちに憧れた後輩たちが17年夏に甲子園初勝利を挙げ、18年春に初の2季連続出場を果たす。皆さんの出場が今の彦根東の原点になっている。
河野さん 自分たちは甲子園に出れるだけでありがたかったが、今のチームは甲子園で勝てるチーム。勝ちにこだわってほしいし、歴史をさらに塗り替えてほしい。
野坂さん 頭脳プレーのような、彦根東らしいプレーを全国の舞台で見せてほしい。
◆今春は21世紀枠の膳所と、昨秋の県大会で優勝し近畿4強の近江も出場する。
全員 滋賀から3校もの甲子園出場は本当にすごいことだと思うし、全校を応援したい。自分たちは今の膳所のような状況に近かった。今回の膳所の出場も、彦根東のように数年後につながることを期待している。近江には県大会優勝・近畿大会4強の強豪として甲子園でも勝ち進んでほしい。
大阪府摂津市の税理士、野坂悠太さん(26)=7番・左翼手
兵庫県尼崎市の会社員、甲津賢人さん(26)=4番・遊撃手
近江八幡市の会社員、新山智也さん(26)=アルプスで応援
兵庫県宝塚市の大学職員、河野亮平さん(26)=9番・二塁手
神戸市の会社員、笠井健太郎さん(26)=アルプスで応援
*ポジションの前は打順▽2009年センバツ1回戦
彦根東
000100120=4
000002111=5
習志野https://mainichi.jp/koshien/articles/20180222/ddl/k25/050/549000c