えーと。書いてあるドイツの事情についてはよくわかったんですけど、全体として何を言っているのか、よくわからない。
「大卒よりも院卒、院卒でも修士課程卒より博士課程まで修了した人が上になるという、修了レベルでの差別化」が「学歴差別」、なのだとしたら、「中学校卒と高校卒と大学卒と大学院卒の間での差別化」も「学歴差別」になるんですかね…?
ドイツにも学歴差別 博士や修士号、昇進に影響 海老原嗣生
2018/5/8付日本経済新聞 夕刊前回のこのコラムではフランスの学歴事情について書いた。では欧州のもう一つの大国、ドイツでは採用と学歴の関係はどうなっているか。
ドイツは本当に多くの大学で入試選考がない。また、大学の序列などもほぼないという。
かすかに学歴的な話としていわれるのは、一般大学より専門大学の評価が芳しくないこと。そして、特定の専攻分野では、まれに大学や研究室で序列的なものがあること、くらいだ。
こんな上辺の話をもとに「彼(か)の国には学歴差別がない」と胸を張る研究者もいる。
ただ、現実はやはり異なる。ドイツには日本や英国、米国、そしてフランスとは異なる学歴差別があるのだ。
それは、大卒よりも院卒、院卒でも修士課程卒より博士課程まで修了した人が上になるという、修了レベルでの差別化だ。その差が採用や職務、昇進の大きなポイントとなる。
しかも、ドイツの大学は学年制カリキュラムをとらないため、必要単位を取得して卒論を書けば、年次に関係なく卒業できる。超特急で修了することも可能だ。
だから、よりエリートになるためには「速さ」も重視されるという。
こんな状況を、ドイツの労働研究を行っている山内麻理氏(同志社大学客員教授)は、うまい言葉で表している。
日・英米・フランスのような学校によるランク付けを「ヨコの学歴」、ドイツのような修了レベルと速さによるランク付けを「タテの学歴」と呼んでいるのだ。
ドイツの場合、ある程度の規模の企業で出世が見込まれた人は、周囲から修士号を取ることを勧められる。さらに昇進しようと思ったなら、博士号取得が必要になる。
だから仕方なく、余暇に商工会議所の継続学習に通ったり、大学院に入りなおしたりする。
「大学と企業が近くてうらやましい」などとドイツを評する例がみられるが、学歴がないと昇進できない厳しさがあると気づくべきだろう。
山内氏から、ドイツの超大手企業を対象にした「社長の最終学歴」の調査を見せてもらったことがある。
1996年と2013年の調査だが、いずれも大手企業の社長はその45%が博士号保有者だった。
念のため説明しておくが、博士課程を修了しても博士号をもらえず卒業する人は多い。博士号は博士論文を提出し、厳しい査読を受け、論文審査を通った人しかもらえない。
彼の国で大手企業の社長になるには、それくらい「タテの学歴」が必要なのだ。
(雇用ジャーナリスト)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30194830Y8A500C1EAC000/
うーん、もしかして、「修士号や博士号には意味も価値もない」というのが、この筆者の前提になってたりするんですかね…?
日本にも修士や博士の学位持ちはけっこういるんですが、いま研究の現場で深刻になっている「ポスドクの出口問題」について、この筆者の見解をうかがってみたいものです。
博士取得3年半後も任期付き 不安定な雇用の実態、科技政策研が調査
2018/2/28 17:02文部科学省の科学技術・学術政策研究所などは28日、博士号を取得した研究者の雇用状況を調べたところ、就職から3年半たっても52.2%が任期付きの採用だったと発表した。多くが3年程度の期限付きで雇われるため「最初の契約を終えても不安定な雇用形態から抜け出せていないようだ」と指摘している。
任期付き研究者は国の研究助成などの資金で雇われ、はじめから期限を設けて雇用契約を結ぶ。調査は2012年度に博士課程を修了した5千人あまりにアンケートした。1年半後の時点で任期付き雇用と答えたのは60.3%いた。3年半後のときに大学や企業に終身雇用された研究者は増えているが、調査の担当者は「依然として半数以上が不安定な雇用状態にある」と指摘している。
理学系の69.2%、保健科学で55.1%が任期付きで、全ての分野で40%を超えた。日本は学術論文数が減り、研究力低下がささやかれている。博士号を取得した若手研究者の不安定な雇用が一因との指摘がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27499370Y8A220C1000000/