タバコの何が忌み嫌われる害毒なのか

正直言って、タバコを吸うのは個人の勝手だと思うんですよ。

だけど、煙を吐いてまき散らすのは、個人の勝手では済まないんですよ。

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「吸ってもええけど吐くなボケ!」もう少し柔らかく言えば、「吐くなら吸うな」ってことです。問題は「喫煙」ではありません。喫煙者の「排煙」なんですよ。

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 愛煙家が吸っているのは「主流煙」だが、受動喫煙で吸いこむのは、火のついた先から立ち上る「副流煙」だ。この副流煙には、主流煙に比べてニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も含まれており、がんや脳卒中心筋梗塞、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクを高め、妊婦や赤ちゃんにも悪影響を及ぼす。これはもう、大人なら、誰もが知っている常識のはずなのだが、愛煙家は、国会議員さえもが、「喫煙は個人の自由、個人の権利」「喫煙で健康を害するのは(喫煙者本人の)自己責任」と主張する。

 喫煙者本人が体を壊すのは確かに個人の自由で、自己責任かもしれない。(そこに国民健康保険から莫大な医療費が使われるのはともかくとして)だが、受動喫煙は違う。愛煙家にはどうぞ、宇宙飛行士のようなヘルメットでもかぶって喫煙し、たばこから出る全ての煙を、人間空気清浄器のように吸っていただきたい。周囲の人間に、自分のたばこの煙を吸わせないでほしい。

 奈々さんが、ここまで強く思うようになったのは、5年前、母親を肺がんで亡くしてからだ。まだ60代だった母は、たばこは一切吸わなかったが、父親はヘビースモーカーだった。幼い頃、父の友人や親戚が集まると、家中にたばこの煙が充満し、まるで霧の中にいるようだったことを奈々さんは覚えている。

 (母は、父が吸っていたたばこのせいで、肺がんになったんだ)

 悲しみの中で悶々としていた頃、母が治療を受けていたがん専門病院の主治医が、病理解剖の結果を教えてくれた。

「お母さんの肺がんは、受動喫煙の影響が大きいですね。肺の中がね、ヘビースモーカーのように汚れていましたよ」

 今宵も、奈々さんの家の窓は閉め切り。明憲さんが1人、ベランダに出て、おいしそうにたばこを吸っている。その後ろ姿に向けられた、冷ややかな視線に気づかずに。

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