教員免許更新制によって引き起こされた自爆:失効者に対する臨時免許の付与で「教員不足」に対応

…で?けっきょく、教員免許の更新制って意味あったんですか?

やったことの検証をしない文部科学省の、相も変わらぬ泥泥縄縄した方針ですこと。とりあえず、むやみやたらに失効者を生み出す免許更新制やめたら?

教員不足、臨時免許で対応…失効の退職者ら採用
2018年10月16日 19時02分

 小中学校などでの教員不足の深刻化を受け、文部科学省は、教員免許が失効した教員退職者や民間企業に勤務した免許保持者らに対し、一定の条件で「臨時免許」を与え、教員として採用することを認める方針を固めた。教員が足りず必要な授業が行えない学校もあり、教員免許制度の弾力的な運用が必要だと判断した。16日午後の中央教育審議会部会で方針を示す。

 教員免許を巡っては、2009年度に有効期限を10年間とする更新制が導入され、大学などで30時間以上の講習を受けなければ免許が失効して学校で教えることができなくなった。しかし、今後は、教員を採用する都道府県教育委員会の判断で3年間有効な「臨時免許」を与え、授業を行えるようにする。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20181016-OYT1T50085.html

追記:共同の記事も出てきましたね。部分公開で尻切れトンボの読売の記事より、こっちのほうが事態の全体がよくわかります。

教員不足に臨時免許対応も 文科省、各教委に通知へ
社会 2018/10/17 9:18

文部科学省は17日までに教員免許が失効した退職者や期限内に更新できなかった民間の免許保持者らに対し、一定の条件を満たせば柔軟に3年間の「臨時免許状」を出すことができると都道府県教育委員会に周知する方針を決めた。小中学校での教員不足に対応するためで、具体的な内容を詰め教委に通知する。

文科省によると、これまでも教委による臨時免許状の授与は可能だったが、抑制的に運用されていた。近年の団塊世代の大量退職で、若い教員が多く採用され、産休や育休を取る人が増加する一方、長時間労働などから教員人気自体は低下。急に欠員が生じた際にカバーできる人材減も顕著となっているという。

文科省は16日の中教審教員養成部会で、退職者や民間の免許保持者らに対する臨時免許状の授与条件について(1)他の手段で代替教員を確保できない(2)採用後、一定期間内に免許状の更新講習を受ける―などを盛り込む考えを示した。

ほかにも、教員不足を補うための人材活用策として、教員が複数の教科の免許状を取得することも促す方針で、専門以外の教科の免許取得に伴う要件緩和も検討する。

〔共同〕

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36578090X11C18A0CR0000/

これまでの臨時免許の運用事例としては、例えばこの記事などが参考になります。この状況を「改善」するどころか、むしろおおっぴらに推進しようとしてるわけですよ。

教員、講師足りない 県内小中、30人に臨時免許
2017/8/24

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特別支援学級の急増一因

 佐賀県内の公立小中学校で教員不足が深刻化している。約4400人の定数に対し、正規教員は4040人で欠員分を講師で補てんしている。特に小学校では講師も不足し、中学の教員免許所持者ら30人に臨時免許を交付して補充する異例の対応となった。少子化で普通学級は減っているものの、特別支援学級が急増し、結果的に必要な教員数が増えていることが一因。県全体で5人欠員のまま新年度を迎えていた。

 県教職員課によると、本年度(5月1日時点)の講師率は小学校が9・2%、中学校が6・0%。過去5年間をみると、中学校では講師率は減少しているものの、小学校では13年度の4・7%から約2倍に増えた。小学校の教員免許を持つ講師を確保できず、臨時免許を交付して補った。

 小中学校の採用数は、大量退職期と重なっているため過去5年間で増加傾向にある。13年度の138人に対し本年度は180人に増えた。来年度も195人(特別支援学校を含む)を予定している。

 一方、発達障害児らを対象とする特別支援学級は過去5年間で約200学級増えた。普通学級は少子化で120学級減っているものの、総学級数は2950で5年前より89多い。今後の少子化傾向を見据えた採用計画を進めているが、想定以上の特別支援学級の増加により、欠員を補う講師も足りなくなっている。

 佐賀市の場合、約1400人の定数に対し約100人を講師で補充した。市学校教育課によると、中学免許を持つ13人が臨時免許の交付を受けて小学校の教壇に立った。

 講師を確保できないまま新年度を迎えた学校は、教員2人が教えるチームティーチングを見送ったり、教頭や教務主任がカバーしたりして対応した。産休や病休による講師を確保するのも難しいといい、「講師探し」は市教委の日常業務になりつつあるという。

 市学校教育課は「学力向上や特別支援教育の充実など、課題解決に向けた教育環境を保障するため、任用権者の県が責任を持って定数不足を解消してほしい」と早急な対応を求めている。

 教員不足について県教職員課は「九州の他県でも問題になっている。基礎定数を埋めるため講師で調整すること自体は問題と捉えていないが、臨時免許で対応している状況は改善する必要がある。教員の質も確保しなければならず、教員を育成する大学と情報共有して課題解決を探りたい」としている。

■教員の臨時免許 普通免許の所有者を採用することができない場合に、都道府県教委が人物、学力、実務などを見て授与する。有効期間は3年。小学校の場合、中学の普通免許所持者に臨時免許を交付して欠員を埋めるケースもある。

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/79479