九州で起きているという「教員不足」の話

まあ、九州だけで起きているという話ではないと思いますが。

サラッと読んだとき、なんか腑に落ちないというか、理屈に合ってない感じがしたのですが、もう一度読んでその原因がわかりました。

これ、「教員不足」ではなく、「正規教員とほとんど同じ仕事をしながら、給与が低く雇用も不安定で、なり手は限られる」という「臨時教員」のなり手がいない、という話でしょう。正規教員はちゃんと採用できている。でも現場の仕事を回すだけの正規教員はいない。なので穴埋めで非正規の教員を集めようとしても集まらない、と。

そらそぉやろ。

てか、そのへんのことを最後のほうでちょろっと書くだけにしてお茶を濁してないで、見出し段階からちゃんとそうわかるように書きなさいな。なんか圧力でもかかってるんですか?

まず、必要な人員は正規職としてちゃんと採用する。それでも状況に応じて必要となる非正規職についても同一労働同一賃金の原則にのっとって待遇を改善する。そこに触れない教育学の専門家のコメントなんて、無価値という以上に有害だと思います。とにかく教育関連予算を削減したい財務省の主張としてなら、まだそれもわかるんですけどね。

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元社会教諭に「数学教えて」 教員不足、九州の教委必死
渡辺純子 2017年8月21日11時25分

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保護者ほぼ全員に送られたメールの文面

 九州各地で教員不足が深刻になっている。年度当初の欠員が相次ぎ、福岡県では1学期半ばでも60人以上が不足していた。第2次ベビーブーム世代の就学時に採用された教員の大量退職が背景にある。切羽詰まって、「教員免許をもつ人を紹介して」と保護者に呼びかける教委もある。

■保護者に「紹介して」メール

 「お知り合いの方で、教員免許状をお持ちの方がいれば、是非紹介してくださるようお願いします」。今年1月、福岡県大野城市の小学校の保護者に届いたメールだ。県教委の福岡教育事務所が、管轄する市町の教委と小中学校を通じ、保護者ほぼ全員に呼びかけたという。この保護者は「そこまで先生が足りないのかと驚いた」と話す。

 福岡県内の元中学教員の男性(61)には昨年、地元教委を名乗る人から「中学の教員が足りない。講師として来てくれませんか」と電話がかかってきたという。男性は元社会教諭。「社会はいっぱいおるでしょう」と言うと「いや、実は数学なんです。臨時免許を出します」。男性は驚き、断った。「数学なんて教えたこともないし、免許もないのに」とあきれる。

 ある中学では今年度、技術の教員が6月半ばまで不在。やむなく技術の時間は家庭科や他の教科に充てた。生徒からは「なんで技術できんと?」と不満が漏れたという。別の中学では5月末まで美術の教員がおらず、授業ができなかった。体育教員が臨時免許で美術を教えているケースもある。

 「担当外では満足に教えられない。これで学力をあげろと言われても無理」とある中学教員。別の小学教員は「教員はだれでもできる仕事じゃない。こんな状況では子どもたちにも失礼だ」と話す。

■欠員のまま始業式

 公立小中学校の教員定数は児童生徒数に応じて法律で定められ、満たされている前提だ。

 だが、福岡県では今春、114人(小学99人、中学15人)が欠員のまま始業式を迎えた。うち県教委の管内が83人、北九州市教委が10人、福岡市教委が21人。2カ月後の6月1日時点でも62人の欠員が生じていた。このほか、名簿上はいるものの産休や病休の代替がいないケースが相当数ある。

 昨年度は9月になっても小中で30人が欠員。産休や育休の代替不在も加えると85人が不足していた。二の舞いにならぬよう、県教委は正規採用を約100人増やし、臨時教員の確保にも努めた。だが、今春は特別支援学級が100クラス以上増えた分の担任が必要になり、届かなかった。

 程度の差はあるが、他県も状況は同じだ。

 佐賀県でも今春初めて、5人の欠員が出た状態で新学期が始まった。ある中学では特別支援学級の担任が足りず、生徒はしばらく別の特別支援学級で過ごした。4月中に欠員は解消したが、産休や病休が出ると補充が難しい。県教委の担当者は「臨時教員希望者の名簿はあるが、全部『任用済み』。電話しても電話しても、できる人に当たらない」と嘆く。

 大分県も今春、3人が欠員だった。「年々厳しくなっている。退職者に、再任用にご協力いただけないかと声をかけている」。山口県の担当者は「年度当初はぎりぎり埋めたが、病休などですぐ穴があく。ずっと人を探している状態」と漏らす。

 九州・山口各県では近年、第2次ベビーブーム世代の就学時に採用された教員の大量退職期に入っている。その穴を埋めようと各教委は正規採用数を増やす一方で、少子化が進んだときに教員が余る事態を避けるため、臨時教員の雇用も増やしている。

 だが、その多くは常勤で、正規教員とほとんど同じ仕事をしながら、給与が低く雇用も不安定で、なり手は限られる。また、正規採用を増やした分、臨時教員をしながら再挑戦する人が減っており、人材確保が年々困難になっている。(渡辺純子

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 《松本和寿・筑紫女学園大教授(教育学)の話》 本来は定数を正規教員で満たすのが望ましいが、少子化を見越せば採用を抑制せざるを得ない。ただ、過渡期とはいえ、教員が足りない学校現場は非常に大変だ。一方でこの大変さを意識し、教員免許を持ちながら志願しない「潜在教員」も多い。講師対象の研修や校内の支援体制を充実させ、着任への不安を和らげれば、志願者が増えることが期待できるのではないか。

http://digital.asahi.com/articles/ASK656SBWK65TIPE02S.html