「국뽕/クッポン」という言葉をめぐって
今回、最初に見たのは、黒田さんのコラムでした。
ソウルからヨボセヨ 「イルポン」はいかが?
2013.8.31 03:22 [外信コラム]英語の「オリジナル(独創的)」と「われわれ」にあたる韓国語の「ウリ」をくっつけた日本製の造語に「ウリジナル」がある。生け花、茶道、剣道、相撲…日本文化のルーツ(起源)は「われわれだ」と自慢したがる韓国人を皮肉る言葉だが、韓国では最近、「クッポン」という造語が若者の間にある。
「国(クッ)」と覚醒剤の「ヒロポン」の「ポン」を合わせたもので「わが国最高」といって何でも韓国を自慢し、それを外国人にまで押し付けたがる自己陶酔ぶりを皮肉る言葉だ。たとえばキムチやビビンバを「今や世界的食品!外国人も絶賛!」といったり「韓流文化が欧米を席巻!」などと大げさに自慢するのがそうだ。
“ウリジナル”が中国にまで広がり「孔子は韓国人だった」とか「漢字は実は韓字だ」といったりするのも「クッポン」に属するが、この造語は愛国的自己陶酔に対する自己批判である。韓国人にもそうした自己を振り返る余裕はあるのだ。
そこでついでに「イルポン」という造語はどうだろう。日本の「日(イル)」とヒロポンの合成語として思いついたのだが、極端な安倍政権非難キャンペーンをはじめ、何から何まで日本を批判してやまない韓国の“反日自己陶酔”への自省として。(黒田勝弘)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130831/kor13083103240001-n1.htm
この言葉を発音する際にはぜひ、チャスンウォン演じるドッコジンの「극복」のこの表情で、お願いします。
で、そのあと見たのが、朝鮮日報の下記の記事。まあ、「江南スタイル」を極め付けとして、K-Popなどの動向を韓国の報道から多少なりともフォローしている人には、ある意味見慣れてしまった光景で、「何を今さら感」がある話でしょう。当人たちが「はしゃいでるなあ」というのはよくわかりますが、品はあまりありません。傍目で見ていると、失笑を買うというか、笑いのネタですね。
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[컬처 줌 인]외국인만 보면 '두 유 노 싸이(Do you know PSY)'… 낯간지럽다 - 1등 인터넷뉴스 조선닷컴
記事入力 : 2013/09/01 08:34
韓国のネット社会に噴出する愛国過剰とその反作用
韓国を過度に賛美する「クッポン」の実態
「国家」と「覚せい剤」からの合成語が急速に広まる「Do you know Gangnam Style?(あなたは『江南スタイル』を知っていますか)」。8月14日、映画のPRを兼ねて来韓した米国の俳優マット・デイモン氏と、7月25日に来韓した同国のミュージシャン、クインシー・ジョーンズ氏は共に、韓国でこのような質問を受けた。海外の有名人が韓国に入国するときや、記者会見の際、韓国の歌手PSY(サイ)の「乗馬ダンス」を披露するのは今や「通過儀礼」となった。米国の俳優ロバート・ダウニー・ジュニア氏やウィル・スミス氏もまた、これを逃れることはできなかった。インターネットユーザーたちは「相手がする気もないことを無理強いしているようで、見ていて腹が立つ」と書き込んだ。「クッポン」という造語が広がり始めたのもこのころだ。「国家(韓国語でクッカ)」と「ヒロポン(覚せい剤)」を合成したこの造語は、過度に国家を自慢しようとする状況を皮肉ったものだ。外国人にキムチや独島(日本名:竹島)、PSYなどについての考えを尋ねる「『Do you know…』シリーズ」の流行に代表される、韓国を無条件で賛美する様子をあざ笑っているのだ。
■「クッポン」は韓国の民族性か
昨年10月、米国務省の記者会見の際、韓国の通信社の記者が「PSYの『江南スタイル』を知っているか」と尋ねた動画が最近、インターネット上に流れたのをきっかけに、「クッポン」をめぐる論議が一気に広まった。先月20日、SBSテレビの番組に出演した米国の俳優ヒュー・ジャックマン氏に対し、韓国の女性グループSISTARのメンバー、ソユが素手でキムチをちぎって食べさせた場面も同様だ。この番組のサイトの掲示板には「キムチを食べさせ韓服(韓国の伝統衣装)を着せる極端な『クッポン』」と皮肉る書き込みが相次いだ。慶煕大学英米文化学部のイ・テックァン教授は「韓国人はキムチのようなブランドを通じ、優秀な社会的遺伝子を持っているという点を他者に認めてもらおうとする傾向がある。その対象は概ね、強大国やその国から来た人たちだ」と指摘した。
韓国のさまざまな分野のニュースについて、海外のネットユーザーの反応を翻訳し紹介する「ケソムン(犬のうわさ)ドットコム」や「カセンイ(端、縁)ドットコム」などのウェブサイトも、「クッポン」とされる強迫的な表現を用いている。これらのサイトは「(韓国映画の)『雪国列車』公開」「韓国海軍、1800トン級潜水艦『安重根(アン・ジュングン)』を公開」といったニュースに対する、海外のネットユーザーたちのコメントを翻訳し紹介している。高麗大学社会学科のイ・ミョンジン教授はこれについて「自慢ではなく不安感の表れだ」との見方を示した。その上で「経済・文化的な基盤に対し誇りに思うのなら、あえてそれを強調する必要はないはずだが、(『クッポン』とされる言動は)現在の韓国の位置付けがそれだけ不安定であいまいということの裏返しだ」と説明した。
■表象だけに熱狂
「クッポン」とされる表現は、歴史分野で初めて用いられるようになった。ネット掲示板「DCインサイド」の歴史カテゴリーでは「檀君(伝説上の古朝鮮の王)が登場する前の韓民族(朝鮮民族)が、世界四大文明の地の一つであるメソポタミア地域(現在のイラク)にシュメール王国を立てた」といった、「桓檀古記」などの検証されていない主張を信じたり、「明の初代皇帝・朱元璋ですら朝鮮の軍事力を恐れた」などとして韓国史を美化したりする人たちを「クッポン」として非難するようになった。高麗大学HK韓国文化研究団のパク・ホンホ教授は「韓半島(朝鮮半島)で金属活字が発明されたということを教えるだけでは『クッポン』にすぎず、当時の韓半島の人々がグーテンベルク(活版印刷技術を考案したドイツの金属加工職人)のように『本の大衆化』に貢献できなかったという限界についても論じることで客観性を保てる」と指摘した。成功した部分だけでなく、その影の部分についても省察してこそ、文化先進国だというわけだ。
一方、「クッポン」に反発する現象も登場している。インターネットのコミュニティーサイトで「韓国はソマリアよりもひどい失敗国家だ」といった、悪意に満ちた表現で韓国をけなすネットユーザーも現れた。これについてパク・ホンホ教授は「客観性を失ったという点で、『クッポン』と同じく、正常な状態とはいえない」と指摘した。
「クッポン」という蔑称が急速に広まる中、孫興民(ソン・フンミン)や柳賢振(リュ・ヒョンジン)のように海外で活躍するスポーツ選手を応援したり、「太極旗(韓国国旗)を大切に扱おう」という意見を述べたりすることにまで非難を浴びせる動きも出てきた。これについて、ソウル大心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「『クッポン』のような現象のため、純粋な意味での愛国心を表現できないようなムードが生まれれば、社会的な問題になりかねない」と指摘している。
チョン・サンヒョク記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/01/2013090100193.html
記事入力 : 2013/09/01 08:29
【萬物相】「クッポン」をめぐる論議
ソウル五輪(1988年)の際、女子ハンドボールのハンガリー代表チームを取材したときのことを思い出すと、今でも心苦しく思う。日曜日、選手たちが漢江に遊びに行くのに同行した。遊覧船から見渡す漢江は美しかった。川べりには高層マンションが林立していた。ところが、選手たちは何も言わなかった。「ソウルの印象はどうか」と数回尋ねたところ、ようやく仕方なさそうに「ワンダフル!」「ビューティフル!」と口にした。数年後、ハンガリーの首都ブダペストを訪れたとき、ドナウ川を眺めた。漢江の景色も美しいが、古風な趣とマッチしたドナウ川も引けを取らないほど美しかった。
韓国人たちが「葉銭は駄目だ」と口にしながら暮らしていた時代があった。暮らし向きがよくなく、民主主義もない時代のことだ。「葉銭」とは、朝鮮王朝末期の1905年に行われた貨幣改革で、価値を失ったそれまでの貨幣を指す。この葉銭は全く役に立たなくなった。韓半島のものは全てがみすぼらしく、劣っているように見えた。そのことから、韓民族〈朝鮮民族〉を自虐的に表現した言葉として「葉銭」が使われるようになった。このような自国を低く見る意識や劣等感を捨て、自信を持つようになったのが、まさにソウル五輪のころだった。
今はむしろ、過剰な自己陶酔が問題になっている。最近、来韓した海外の歌手や俳優が、記者会見の際などに、韓国の歌手PSY(サイ)の「乗馬ダンス」を披露するのが「通過儀礼」となった。そうしてこそ韓国人たちが喜ぶだろうということは、彼らも知っているのだろう。新聞やテレビでは「韓国の○○にすっかりハマった外国人」というニュースが飛び交っている。「韓屋(韓国伝統の家屋)にすっかりハマった」「韓国の自然(オルレ=済州道のトレッキングコース)にすっかりハマった」「茶山(朝鮮王朝時代の実学者チョン・ヤギョン)や退渓(朝鮮王朝時代の儒学者・李滉〈イ・ファン〉)にすっかりハマった」…。中にはチャンアチ(韓国の漬物)にハマったという外国人もいる。
バービー人形(米国の着せ替え人形)に似た外見から「リアル・バービー人形」といわれる米国の少女ダコタ・ローズさんが、昨年韓国を訪れた。韓国の化粧品メーカーの販促活動のためだった。あるファンがローズさんのツイッター(簡易投稿サイト)に「キムチは好きか」というメッセージを書き込んだところ、ローズさんは「嫌い」と答えた。これを見たインターネットユーザーたちは「生意気だ」という反応を示した。あるネットメディアは「外見はかわいいが、人間性はどうだか」という記事を掲載した。
インターネットで「クッポン」をめぐる論議が広まっている。クッポンとは「国家(韓国語でクッカ)」と「ヒロポン(覚せい剤)」を合成した造語で、国家や民族について過度に自慢する人たちをあざ笑うことを指す。一方、これに反発し、悪意に満ちた表現で韓国をけなすことを指す造語も登場している。本当に自信のある人は、自分自身や自国の事物に対し「最高」「最大」「最初」などとは言わない。自らを客観的に見ることを知らない人は反省もできない。自国の事物を「よいもの」と認識するのなら、他者の事物の美しさや、それに込められた知恵についても知ろうとするバランス感覚も必要だ。そうしてこそ、他者の事物からも学ぶこともできる。
金泰翼(キム・テイク)論説委員
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/01/2013090100192.html
ただ、ここまで来てもまだいまひとつ釈然としないのは、黒田さんの言う「일뽕/イルポン」という造語が、誰が使うためのものなのか、ということです。
いえ、普通に考えれば韓国人に向けての追い討ちの言葉なんだと思いますけど、韓国人のこうした品のない振る舞いを他山の石として、「同じ自己陶酔を、日本人も日本についてやってないか」という「自省」を迫っている、と読めなくもありません。
その時には「일뽕/イルポン」よりも「닛뽕/ニッポン」のほうが、陶酔感が表現できていいかもしれません。