韓国の「教科書問題」

いまちょうどホットなこの話題に関連する記事をクリップしておく。
具体的な内容については下記のリンクを参照のこと。


教科書:修正対象、具体的な内容とは(上)
教科書:修正対象、具体的な内容とは(中)
教科書:修正対象、具体的な内容とは(下)


何がどう問題とされ、アツく語られているかという点については、日本と共通する部分も、まったく異なる部分もある。考えるのであれば、そのあたりを腑分けしつつ考えたいところである。

記事入力 : 2008/10/17 17:06:33
教科書:大韓民国の「正統性」を明記へ
国史編さん委員会、49項目の「教科書記述ガイドライン」を提出
 


 新たに修正される高校の近・現代史の教科書では、大韓民国の政府が、大韓帝国(朝鮮王朝末期)や大韓民国臨時政府(日本統治時代に中国で設立)を継承した正統性のある国家であるということを明記しなければならない。また、北朝鮮主体思想首領独裁体制の問題点、経済政策の失敗や国際的な孤立などによる北朝鮮の住民の人権抑圧、食糧不足などについても記述が求められる。国史編さん委員会は16日、こうした内容の「教科書記述ガイドライン」を教育科学技術部に提出した。国史編さん委員会が教科書の修正に関し、教育科学技術部にガイドラインを提出するのは今回が初めてだ。教育科学技術部はガイドラインの内容を基本とし、今月末までに「教科書修正案」を確定、近・現代史の教科書を発行している出版社6社に勧告する予定だ。修正された教科書は来年3月から高校2、3年生が使用することになる。

 国史編さん委員会はガイドラインで、「教科書の執筆では、歴史の解釈における偏向をなくし、妥当性や公正性を高めるよう努めなければならない」として、49項目の記述の方向性について示した。これによると、李承晩(イ・スンマン)政権について記述する際には、大韓民国政府の樹立に貢献したという肯定的な面と、独裁化に関する否定的な面を客観的に記述することとしている。また、韓国が実現した民主主義と経済発展の間には、深い相関関係があることについても記述するよう強調した。

 国史編さん委員会のこうしたガイドラインは、従来の近・現代史の教科書で、大韓民国政府の正統性や北朝鮮の政権に関する記述に問題があったことを認めたものであり、今後6種類の近・現代史の教科書が大幅に修正されることが予想される。

 教育科学技術部は、国史編さん委員会が提出したガイドラインと、中学・高校の教諭や大学教授らをメンバーとする「歴史教育専門家協議会」の意見を参考とし、今月中に教科書の修正案を確定し発表する方針だ。


http://www.chosunonline.com/article/20081017000065

記事入力 : 2008/10/17 17:08:44
教科書:残された課題とは
執筆者の説得も必要


 国史編さん委員会が提出した「歴史教科書記述ガイドライン」は、教育科学技術部の要請を受けて作成されたものだ。左寄りの教科書の修正が必要だという世論が沸騰しているのを受け、教育科学技術部が専門家たちの意見を反映させるため、今年初めて実行した。

 国史編さん委員会は1946年に創設された国家機関で、韓国の歴史史料を収集・編さんするとともに、小・中・高校の教師たちに対し、韓国史に関する研修プログラムを実施している。今回の近・現代史の教科書記述ガイドラインの作成には、国史編さん委員会の鄭玉子(チョン・オクチャ)委員長のほか、10人の学者が加わった。10人の専攻分野はそれぞれ韓国史通史、韓国前近代史、韓国近代史、韓国現代史、東洋史、西洋史、歴史教育、経済史などとなっている。

 教育科学技術部はこのガイドラインを土台とし、今月末までに教科書の修正案を作成する方針だ。これに向け、近・現代史を専門とする中学・高校の教諭や大学教授など約15人からなる「歴史教育専門家協議会」を構成し、すでに教科書の修正に向けた作業に着手している。

 教育科学技術部が修正について論議の対象とするのは、6種類の教科書の253項目だ。このうち、100項目ほどが実質的な検討の対象となる「左に偏向した記述」で、そのほかの項目は単なるミスの修正だ、と同部は説明している。

 教育科学技術部は、約100項目の内容をどう修正するかについて、国史編さん委員会のガイドラインと「歴史教育専門家協議会」からの意見聴取を基に、今月末までに決めることにしている。

 だが、教育科学技術部の修正案が確定しても、実際に教科書を修正するためには、越えなければならない山がほかにもある。検定教科書の内容を修正する権限は執筆者にあるため、教育科学技術部は修正案を執筆者らに配布し、修正するよう説得しなければならない。

 教育科学技術部のシム・ウンソク学校政策局長は「大韓民国の正統性について正しく記述し、生徒たちに憲法の精神や正しい歴史を教えようという趣旨であるため、説得は上手くいくだろう」と説明している。

 だが、大幅な修正を進める教育科学技術部と執筆者らの間で、意見の食い違いによって激しく対立する可能性もある。実際、一部の近・現代史教科書の執筆者や歴史学者たちは、修正案について「認めることはできない」と反発している。

 なお執筆者らが教科書の修正に同意しない場合は、教育科学技術部長官の名で修正を命令することもできる、と同部は話している。

 来月までに執筆者らと話し合い、修正案が確定すれば、修正された教科書は12月から印刷作業に入り、高校生は来年3月から新しい教科書で歴史を学ぶことになる。


http://www.chosunonline.com/article/20081017000066