ボリビアとモラレスとリチウム

ボリビア大統領選、現職モラレス氏再選へ

 【サンパウロ=檀上誠】南米ボリビアで6日実施された大統領選挙は、現地時間午後4時(日本時間7日午前5時)に投票が締め切られた。スペイン通信によると左派、社会主義運動(MAS)で現職のモラレス大統領(50)が出口調査で60%を超える得票を得ており、再選が確実な情勢。モラレス大統領は同日夜、ラパス市内で「ボリビア国民は投票で国を変えられることを改めて示した」と勝利宣言した。

 一方、右派のボリビア発展計画党、レイジェスビジャ・前コチャバンバ県知事(54)の得票率は23〜24%にとどまり、敗北を認めた。

 モラレス大統領の任期は2011年までだが、今年、連続再選を可能とする憲法改正が実施されたことを受け、与野党間の合意で大統領選挙が前倒しされた。新たな任期は15年1月まで。(16:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091207NT001000107122009.html

ひそかにボリビアの動向を追いかけている当ブログとしては当然ウォッチしていたことですが、大統領選挙はエボ=モラレスの再選ということで決着がついたようです。

これからの5年で、ボリビアはどう変わっていくのでしょうか。

http://monitobonito.blog15.fc2.com/blog-entry-242.html

このブログに書かれた心配は実際、杞憂とも思えないところがあるわけでして。

アンデスに眠る財宝リチウム、貧国ボリビアが世界の表舞台に立つ日

12月7日(ブルームバーグ):南米ボリビアアンデス山脈に広がる3900平方マイル(約1万100平方キロメートル)にわたる塩の大地に激しい風が吹きつけている。地平線上に見える火山まで延々と続くこのウユニ塩原を埋め尽くすように置かれているには、リチウムを豊富に含んだエメラルド色のかん水で満たされた幾つものプラスチック製のたらいだ。

池の周りに腰の高さまで積み上げられた岩塩が太陽の光を浴びてきらめいている。先住農民のリーダーで「カマラード・リチウム(リチウムと同居する男)」と呼ばれるフランシスコ・キスベルト氏(65)は、塩原の外れに立つ崩れそうな日干しれんが作りの建物の中に座り、南米2位の貧国ボリビアが電気自動車の電源に使用されるリチウムを今後いかに世界に供給していくかを熱く語った。「われわれはこれに夢を託している。リチウムはわれわれに繁栄をもたらしてくれるだろう」。

キスベルト氏の足元に眠る手付かずのリチウム資源は、世界最大規模を誇る。米地質調査所によると、電気自動車48億台強分のリチウム電池を生産できるほどの量だ。

プライスウォーターハウスクーパースの10月の調査によると、世界の自動車メーカーは2012年までにリチウム電池を搭載する電気自動車を新たに42車種発表する計画だ。ボリビアのモラレス大統領は、同国が世界最大級のリチウム供給国になり得ると述べており、人口約1000万人の同国が化石燃料の削減で世界の表舞台に立つと表明している。大量の埋蔵量があるとはいえ、ボリビアはこれまで一度もリチウム鉱山を建設したことがない。それでもモラレス大統領はこう宣言する。「リチウムはボリビアだけでなく地球上の全人類の希望だ」。

世界が熱い視線

モラレス大統領の思惑通り進めば、同国はリチウム市場を大きく揺るがすだろう。同市場は現在、ヘンリー・クラビス氏率いる米投資会社KKRが29%出資する米ロックウッド・ホールディングスと、チリのサンティアゴに本拠を置くSQMが支配している。両社はボリビアからみてアンデス山脈の裏側にあるチリの塩原で世界の低コスト・リチウムの約7割を生産している。

ボリビアのリチウム鉱山建設プロジェクトへの参画を狙う世界の投資家や企業が今、モラレス大統領に秋波を送っている。フランスの資産家バンサン・ボロレ氏や韓国のLG、日本の三菱商事住友商事がモラレス大統領の鉱山開発プロジェクトへの参加に名乗りを上げており、既に鉱山の設計でボリビア政府を無償支援している。

モラレス大統領はこれまでのところ、国外からの投資を拒絶しており、地元先住民に雇用機会を提供するためリチウムを政府の管理下に置く意向を表明している。ただ、ボリビアが鉱山と処理プラントの建設コスト(推定8億ドル)を調達できない場合は再考して投資を募る可能性もあるという。

南米のサウジアラビア

ボリビア鉱山公社で埋蔵リチウムを監督しているサウル・ビリェガス氏によると、ラマ飼いの息子として生まれ孤児として育ったキスベルト氏は14年までに世界最大のリチウム鉱山となるプロジェクトを開始するため、07年にモラレス大統領を説得して600万ドルの資金拠出の約束を取り付けた。

米地質調査所によると、ボリビアは世界のリチウム埋蔵量の35%を保有している。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスエコノミスト、ガブリエル・トレス氏は「ボリビアサウジアラビアのようになるかもしれない。世界のリチウム埋蔵量の大部分を保有している」と指摘する。

30年ぶりの業績不振に見舞われる自動車業界は、リチウム電池搭載の電気自動車が自動車産業再生に寄与すると期待している。米国のオバマ政権は輸入原油への依存度低減を図るため、自動車メーカーや電池メーカーに対して110億ドルの融資・助成金を提供している。

巨人復活の鍵

2009年に破産申請して経営再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)は、往年の巨人が技術面での優位性を取り戻すには、電気自動車が鍵を握ると受け止めている。

日産自動車カルロス・ゴーン会長も、20年までにはリチウム電池搭載の電気自動車のシェアが1割に達すると予想している。クレディ・スイス・グループのリポートによると、自動車用電池の売上高は今後20年で年間1030億ドルに上り、09年10月末時点の同1億ドルから急拡大する可能性がある。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=audM7DXoUaKE