個人的には出演作をちゃんと観たことがないヒョンビンですが、韓国屈指の人気俳優であることは間違いありません。そのヒョンビンが海兵隊へ志願したことが、社会現象とも言えるような波紋を呼んでいるようです。
記事入力 : 2011/01/12 14:17:22
徴兵:ヒョンビン、海兵隊に入隊志願書を提出3月に入隊予定のヒョンビン(29)が海兵隊へ入隊を希望していたことが分かった。
ヒョンビンは3月に海兵隊に入隊するため、志願書を提出し、昨年末に面接を受けた。所属事務所関係者は「ヒョンビンが海兵隊入隊のため志願書を提出した。最近面接を受けた。近く合格発表が出ると思う」とコメントした。同氏は「ヒョンビンは親友が海兵隊で兵役に就いたことに影響を受けたようだ」と入隊希望について説明した。
ヒョンビンは「2010SBS演技大賞」授賞式で、「歳をとって軍隊に行くのに賞を頂くことになりありがとうございます。(軍隊が)もう1度自分を見つめ直す時間になると思います。軍隊で今より成熟した人間、そして俳優になった姿をお見せできるようがんばります」と、入隊について言及していた。
キム・ジヨン記者
このあたりの新聞社説やコラムも、予想に違わず、期待通りのはしゃぎっぷりです。
記事入力 : 2011/01/14 11:00:47
【社説】海兵隊に志願したヒョンビン、これぞ真のスター俳優ヒョンビンは現在人気絶頂のスターだ。ヒョンビンは今、SBSの週末ドラマ『シークレット・ガーデン』で視聴者を笑わせ、泣かせ、ため息をつかせる見事な演技で注目を集めている。そんなヒョンビンが海兵隊への入隊を志願し、昨年末に面接と体力試験を受けていたことが分かった。
芸能界のスターが入隊する際、普通は広報部隊に配属され、慰問公演を行ったり、軍の広報映画を撮影する職務に就く。しかしヒョンビンは広報部隊勤務の道を選ばず、過酷な訓練と軍紀が厳しいことで名高い海兵隊に、自ら戦闘兵として志願した。ヒョンビンは、面接官が「芸能人は軍楽兵になれるのに、なぜ戦闘兵に志願したのか」と尋ねると、「ほかの(一般の)人のように軍隊生活を送りたかった」と答えたという。ヒョンビンは普段から、周りの人々に「堂々と軍隊に行きたい」と語っていた。
北朝鮮による延坪島砲撃事件で、海兵隊の兵士2人が戦死し、16人が負傷した。この事件により、海兵隊での勤務は危険で過酷だということが改めて分かった。しかし、北朝鮮に攻撃され、民家に炎が上がる中、K9自走砲に乗り込み敵に向かって撃ち返す海兵隊員の後ろ姿は、韓国国民の心に誇りとして残った。この事件以降、海兵隊に志願する若者が集まり、入隊競争率は4倍にまで跳ね上がった。通常に比べ2倍近く増えたことになる。そしてヒョンビンも、そんな胸の内を熱くした若者の隊列に加わったのだ。
芸能人やスポーツ選手、指導層出身者らが肩を脱臼させたり、歯を抜いたりして兵役を逃れようとあれこれ知恵を絞る姿を、韓国人はさんざん目にしてきた。政治指導者や高級官僚には兵役を済ませた人がまれだという事実に、むしろ韓国国民の方が赤面することもある。だが、ヒョンビンは俳優として見事な演技を見せたのに続き、韓国国民としても立派な姿を見せてくれた。
世界的スターのエルビス・プレスリーは1957年に入隊した際、広報部隊に配属されることを拒否した。一般の兵隊と同じ訓練を受け、旧西ドイツの米軍基地で勤務した。当時の米国陸軍の文書は、「プレスリーにあこがれる多くの青少年が、プレスリーを手本にするだろう」と記録している。ヒョンビンこそ真のスターだ。ヒョンビンを愛し、ヒョンビンのようになりたいと思う若者たちが列を作る様子を想像するだけでも、気分爽快になる。
[オピニオン]海兵隊に志願したヒョン・ビン
JANUARY 14, 2011 08:27「金持ちは我々とは違う」。1920年代、米国の黄金時代を描いたフランシス・スコット・フィッツジェラルドの長編小説「グレート・ギャツビー」(1925)に出る言葉だ。当時の上流層は、受け継いだ財産で政界や財界、社交界で大手を振った。それなら21世紀のスーパーリッチ(super rich)はどうだろう。卓越した能力をテクノロジーや世界化によって最大化し、膨大な年収を受け取っている「労働富裕層」だ。活発な慈善活動により、ノブレス・オブリージュ(高貴な身分に伴う社会的義務)を実践するものの、一般人とはかけ離れて暮らす。
◆SBSのドラマ「シクレットガーデン」で、ヒョン・ビンが演じる最高経営者(CEO)、金ジュウォンも、一般的なドラマの財閥2世とは異なる。「産神のランダム(random=無作為の)配置のおかげで」金持ちに生まれたが、「あなたが思っているより、一際能力のある」スーパーリッチだ。デパートを引き継ぎ、最上流層への戦略マーケティングで、業界トップになった。米名門大学を卒業した彼に、スタントウーマンのキル・ライムのように、「貧しく、疎外された隣人」と出くわす機会があるはずがない。
◆「不思議でどぎまぎしていた」あの女が、「一緒にいれば、全てのことに同化する」段階までは、シンデレラのドラマのようだった。しかし、結婚も、「一世一代の買収合併だ」と信じきっているスーパーリッチの金ジュウォンは、その女に対し、「適当な時期に、人魚姫のように消えてほしい」と要求する。彼が、その女性の環境まで受け入れるようになったのは、2人の体が入れ替わり、試練を共有してからだ。消防士の父親が殉職した後、「国からの支援金」で生きてきたと、その女が話すと、男は、「(税金を)さらに収めればよかったのに」と低い声で答える。
◆このカドナム(にべもなく堂々とした男の)役割を、ヒョン・ビンではなく、他の男が演じても、「ジュウォンぞっこん」のファンが溢れただろうか。投げかける台詞で生意気な態度をとっても、すぐ胸をわくわくさせる目線を演じる役者はまれである。ドラマでとりわけ指導層の道徳的義務を強調した金ジュウォン役のヒョン・ビンが、海兵隊に志願したことが明らかとなり、話題を呼んでいる。与党ハンナラ党の田麗玉(チョン・ヨオク)議員は、「最近の『ノブレス(高貴な身分)』は、芸能人と言っても過言ではないが、ヒョン・ビンがノブレス・オブリージュを実践した」と歓迎した。男性の一部からは、軍隊がなぜ道徳的義務なのか、まともな訓練すら受けるはずがないという反応を見せている。しかし、権力者の子供からは、そのような事例もあまりなく、口にできる言葉があるはずがない。
金順紱(キム・スンドク)論説委員
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=100000&biid=2011011430388
ヒョンビンの個人的な選択についてあれこれ言う気はまったくありません。ただ、こうやっておエラい大人の皆さまがはしゃいでおられるこの社会現象は、韓国に限らず、これまで各国でしばしば見られたことでもあります。例えば、2001年の「9.11」直後にもアメリカ合衆国で同じようなことがありました。
下の記事にもあるように、今回の韓国のケースでは、天安艦沈没事件と延坪島砲撃事件とが直接のきっかけであることは論を俟ちません。おエラ方がいくら旗を振って煽ってみても、それなしにはこういう「愛国的行動」は喚起できなかったという事実を、もう少し頭を冷やして見直してみたほうがいいのではないかと思います。
韓国国内の「愛国的雰囲気」の醸成の成否は、実は北朝鮮の行動如何にかかっている。とすれば、この社会現象を喜ぶ人たちは、理屈としては北朝鮮の軍事行動を期待し、意地悪く言えば「支持する」ようにならざるを得ないでしょう。現実問題として、李明博政権が対北朝鮮で強硬姿勢を取り、挑発的な態度を見せることに同調することにもなるでしょう。そしてそれが「第二の延坪島事件」を引き起こしたとすれば、彼らは(表向きはともかく)拍手喝采するでしょう。
「そういう流れに乗っていいんですか?」ってことです。
記事入力 : 2011/01/17 11:05:39
徴兵:俳優ヒョンビンほか海兵隊志願者4553人イギリス留学経験者も
競争率、最高の4.5倍「怒れる若者たち」が海兵隊に殺到している。兵務庁が16日に国会国防委員会所属の宋永仙(ソン・ヨンソン)議員=未来希望連帯=に提出した資料によると、10日に締め切られた定員1011人の1月分海兵隊員募集に4553人が志願し、競争率が4.5倍に達した。これは、海兵隊が募集業務を兵務庁に委任した2008年7月以降、月別競争率としては最も高い数値となる。それまでの最高は昨年1月に記録された4倍だった。
20歳のある男性は、典型的な「ソウル・江南の留学組」だ。高所得者が多いソウル・江南の裕福な家庭に育ち、小学校の時にイギリスへ留学、高校までイギリスで過ごし、卒業した。「イギリスにとどまるべき」という声も多く、一緒に早期留学した友達の間では、「軍隊に行かないのが当たり前」というムードもあった。
しかし、韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件、そして延坪島砲撃事件は、この若者の考え方を根底から覆した。この男性は「韓国を攻撃した北朝鮮の行為に、僕のような平凡な人間も到底、じっとしていられなくなった」と語った。
昨年12月に海兵隊に志願したことが明らかになり、話題となった人気俳優ヒョンビン(1982年9月25日生まれ)は海兵隊の志願年齢上限である満28歳になる直前で、現在最高齢の志願者だ。兵務庁の関係者は「ヒョンビンさんは現行の規定上、年をまたいで1月に志願していたら、年齢制限で志願資格がなかっただろう。ヒョンビンさんはこうしたことまで考慮していたと見られる」と語った。
厳しい競争を突破し入隊した海兵隊が「最精鋭軍団」であることは、延坪島砲撃事件後に行われた国防部の調査で証明されている。国防部がこのほど、宋議員に提出した「延坪島砲撃事件の被害患者現況」という資料によると、延坪島に駐屯している海兵隊員約1000人のうち、砲撃事件後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した隊員は1人もいないという。PTSDとは、災害や戦争などで精神的に大きな衝撃を受けた後に現れる障害のことだ。
海軍は精神健康診療チームを構成し、延坪島砲撃事件直後の昨年11月25日から12月1日まで延坪部隊に入り、兵士約1000人を対象にPTSD検査を行った。その結果、兵士の一部が疲労感や音に敏感な反応を示したものの、任務遂行には支障がないと診断された。
2009年に米国のランド研究所が、アフガニスタンとイラクに派兵された米軍兵士約160万人を対象に行った調査では、約30万人がPTSDと診断された。軍専門家はこれについて、「『戦争の当為性』が見いだせなければ、兵士たちは心理的混乱からPTSDに陥る確率が高い。今回の延坪部隊の兵士たちは、『北朝鮮の挑発を食い止めなければ』という当為性に加え、最精鋭という自負心を持っていたため、このような結果が出たと思われる」と説明した。
宋議員は「若者たちは延坪島砲撃事件が起こった後も海兵隊に志願しており、後遺症にも打ち勝っている。年配の世代が考えているほど、韓国の若者たちは決して軟弱ではない」と話している。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者
もっとも、北朝鮮はそういう韓国の国内事情とは無関係に行動しているように見えますから、韓国サイドが思ったように動いてくれるということは、あまり考えられないような気もします。調子に乗って肩透かしを食らわされても知りませんよ。