海兵隊で相次いだ銃乱射事件や自殺を受けて

事件直後は報道の洪水でなかなか事態を把握するのが難しかったのですが、どうやら論点はこのあたりに絞られてきているようです。

記事入力 : 2011/07/06 10:33:57
韓国軍:海兵隊乱射事件の陰にある「悪習」
飲酒・銃器の管理面で軍紀の緩み

 韓国軍捜査当局による捜査の結果、同僚の海兵隊員を射殺したキム・ミンチャン上等兵は、軍隊に適応できない症状を示す「関心兵士」に分類され、後輩兵士たちから集団で仲間はずれにされる「期数列外」といういじめを受けていたことが分かった。国防部(省に相当)によると、キム上等兵はこの日、国軍大田病院で行われた取り調べで、事件の原因は個人の問題かという質問に対し「そうではない。殴打、仲間はずれ、期数列外がなくならなければならない」と語ったという。

 キム上等兵は酒に酔ったまま、状況室に詰めている兵士や下士官が部屋を空けている隙に、銃器と実弾を盗んだ。キム上等兵の個人的問題と、海兵隊の悪習である集団での仲間はずれや殴打、加えて不十分な銃器管理や部隊内での飲酒などといった軍紀の緩みが、今回の事件の原因だったわけだ。

ユ・ヨンウォン記者

http://www.chosunonline.com/news/20110706000037

記事入力 : 2011/07/06 10:40:43
韓国軍:注意を要する「関心兵士」約2万人
海兵隊銃器乱射事件、問題の兵士も該当

 今月4日に同僚の海兵隊員に銃を乱射し4人を死亡させたキム・ミンチャン上等兵(19)が、訓練所の検査で不安や性格障害、統合失調症などの症状を示し、部隊の小哨長(中尉)がキム上等兵を特別管理対象として管理してきたことが5日までに分かった。

 韓国軍は、キム上等兵のように性格上の問題がある兵士や軍隊生活に適応できない兵士たちを「関心兵士」に分類し、管理している。韓国軍当局は、関心兵士の具体的な人数を公表していないが、陸軍では約40万人のうち5%未満、空軍では約3万人のうち0.8%程度だと推定されている。海軍と海兵隊は、陸軍・空軍とはシステムが異なり、具体的な実態把握はなされていないという。

 韓国軍消息筋は「正式な実態把握はなされていないが、陸軍などの規模を考慮すると、軍全体で関心兵士は約2万人になると推定される」と語った。関心兵士は、自殺を試みたり事故を誘発した前歴がある兵士や、家庭に問題がある兵士、軍隊生活に適応できない兵士などで、入隊前後の検査や指揮官との面談などを経て決定される。ただし、その内容は極秘扱いだという。

 韓国軍では、関心兵士の等級により、小隊長から大隊長クラスの指揮官が定期的に面談を行い、状態が悪い兵士は実弾を扱う部隊には配置しないようにしているが、兵力不足などの問題のため、こうした兵士が最前線の哨所など銃器や実弾を取り扱う部隊に配置されるケースも少なくないといわれる。検査で問題が確認されたキム上等兵も、実弾を扱う江華島の海岸哨所に配置されていた。

ユ・ヨンウォン記者

http://www.chosunonline.com/news/20110706000038

自殺した海兵隊兵士、部隊で過酷行為があった疑惑提起
JULY 09, 2011 08:09

今月3日、自ら命を絶ったまま発見された海兵隊2師団所属のA二等兵(23)の家族が、部隊内での殴打と過酷行為の疑惑を提起して、波紋が広がっている。

二等兵の叔父・チョ某さん(57)は、「甥が外泊に出て、友だちに部隊生活の厳しさを吐露した」とし、「先任兵に殴打はもちろん、拷問に等しい過酷行為を食らい、甚だしくはお金まで取られたと言った」と主張した。

遺族によると、A二等兵は今年2月、某体育大学(テニス専攻)を卒業した後、4月初め、海兵隊に入隊した。そして5月中旬、京畿道金浦(キョンギド・キムポ)の2師団に配属され、部隊のテニス場の管理に当たった。

チョさんは、海兵隊出身のA二等兵の友だちの言葉を引用し、「甥が『楽な補職』という理由で、先任兵の2〜3人から持続的にいじめられた」と主張した。先任兵らは、A二等兵の服を脱がした後、性器を鈍器で突いたり、裸で冷たい水に入らせたり、暗い倉庫に閉じ込めたりしたと、遺族は主張した。

金品を奪い取った疑惑も提起された。遺族はA二等兵が古参に1日2万〜3万ウォンずつ上納していたと主張した。特に、A二等兵が所持していたチェックカードの使用明細を遺族が確認した結果、5月27日から6月17日まで15万ウォンぐらいの金額が決済されたが、入隊したばかりの二等兵が使った金額にしては多すぎるというのが遺族の主張だ。また、A二等兵が電話をかけ、「軍靴を忘れて、買い替えなければならない」と言って、家族に20万ウォンを送金してもらうなど、4〜5回にわたって50万ウォンぐらいを別途でもらっていたのも上納のためだっと強調した。チョさんは、「甥が『先任兵がタバコを買わせたり、チェックカードを奪って勝手に使った』と話した」と主張した。

二等兵は2日、初めての外泊に出て、友達とお酒を飲みながらこのような話をし、翌日昼の12時40分頃、京畿道安城市竹山面(アンソンシ・ジュクサンミョン)のある雑居ビルの階段で、首をつったまま発見された。当時着ていた服から発見されたメモの遺書には、「頑張りたかったのに…。両親に申し訳ない。馬鹿息子を許してくれ」という内容が書かれていた。剖検は4日午前、城南市盆唐区栗洞(ソンナムシ・ブンダング・ユルドン)の国軍首都病院で行われ、5日葬式があった。

剖検に立ち入ったチョさんは、「鎖骨部位に3センチほどのアザがあった。剖検医が『5〜7日前にできたもの』と説明した」と言った。チョさんは、「軍が甥の自殺原因を家庭問題など個人的な理由に持ち込もうとしているようで悔しい。徹底した調査で甥の悔しい死の原因を必ず突き止めてほしい」と話した。これに対し、国防部は「遺書に過酷行為などへの言及がないため、自ら命を絶った理由について引き続き調べている」とだけコメントした。

http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=040000&biid=2011070995988

こういう話を受けて、「では何を議論し、何を心配するか」というのを考えてみれば、それが立場によって微妙に食い違い、ズレていっていることに気づかされます。

そういう立場から来る見解の相違を属人的に非難しても得られるものはあまりないでしょう。でもって、そんな風に考えてみると、自分の立ち居地についても否応なしに考えていくことになります。

李大統領、海兵隊乱射事件に失言?…批判世論が起き釈明
2011年07月13日08時38分

李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日、海兵隊での銃器乱射事件と関連し、「兵営環境を画期的に変えなければならない。国防改革とともに兵営生活の文化を変えるのに集中的な研究をしなければならない」と話した。「適当にすませれば繰り返されることになるだけに、必ず変化がくるようにするのが良いだろう」という話もした。李大統領は閣議を主宰しながらこのように言及し、「原因調査をして責任を確実に問う必要がある」と強調したと青瓦台(チョンワデ、大統領府)のパク・ジョンハ報道官が伝えた。

李大統領はまた、「(軍隊での)体罰自体よりも、自由に育った子どもらが軍に入り変わった環境に適応する過程で精神的に受け入れることができないことにより大きな原因があるようだ」とした。今回の事件が“自由に育った子どもらの不適応”のために起きたのではないかという意味であることからインターネットなどで議論が起きた。ツイッターには「不適応ならば殴ってもかまわないという話か」「軍が時代も流れに乗れないのが問題だろう。子どもたちが問題なのか」などのツイートが続々と上がってきた。苛酷な行為と暴力を「体罰」と表現したのも適切ではなかったという指摘も出た。

李大統領の発言に対して批判の世論が起きるとパク報道官は記者らに「急いでブリーフィングをしたため語順がおかしくなった。精神的不適応、乖離という意味ではなく、肉体的苦痛は耐えられるだろうがそれによる精神的な傷や侮辱感、当惑感に耐えられない場合があるので、苛酷な行為だけでなく精神的なものまでも(考慮して対策として)検討しなければならないという意味」と釈明した。

http://japanese.joins.com/article/737/141737.html?servcode=200§code=200

記事入力 : 2011/07/11 12:36:12
韓国軍:海兵隊の志願倍率、銃乱射事件でも下がらず
10日間で2460人志願、競争率2.6倍

 今月4日、江華島海兵隊第2師団でいじめを受けた上等兵による銃乱射事件が発生したにもかかわらず、海兵隊への入隊を希望する志願者の競争率は昨年の同時期よりむしろ上昇したことが分かった。

 兵務庁が10日に発表したところによると、9月に入隊する海兵1149期と1150期を948人募集したところ、同日午後までに2460人が志願した。競争率は10日の時点で約2.6倍で、昨年7月の2.04倍を上回っている。海兵1149期と1150期の募集は今月1日に始まり、11日に締め切られる。

 ただし兵務庁は、日別統計を集計していないとの理由で、4日の事件発生前後の志願状況については公表していない。同庁関係者は「海兵隊への応募は兵務庁のホームページで受け付けているが、累計志願者数しか分からない。志願者は通常、募集開始時に少なく後半に増えるため、銃乱射事件の発生後も志願者は増え続けたと思われる」と話している。

 海兵隊の年平均競争率は2008年の2.3倍から、09年には2.1倍に低下したが、昨年は2.4倍と再び上昇。今年1月には4.5倍と、08年に兵務庁が海兵隊の募集業務を開始して以来、最も高い競争率となった。銃乱射事件で明るみになった海兵隊の悪習に対する批判が強まっているにもかかわらず、志願者が減っていないことに対し、軍当局と兵務庁は、一部の若者が海兵隊のチャレンジ精神や強い印象に憧れを抱いていることや、人気俳優のヒョンビン海兵隊生活を送っていることなどが影響しているとみている。しかしその一方で、今回の事件の弊害が1−2カ月後に本格的に表れ始めるとの見方も出ている。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

http://www.chosunonline.com/news/20110711000039