日韓間でなお疼き続ける「靖国問題」
なかなか取り上げることができませんでしたが、こちらの記事はやはり外せません。
何十年の単位で、この問題の基本的論点や構図は変わっていません。靖国神社を取り巻く状況や雰囲気は、日本国内的にはいろいろ変化が見えているのですが。
少なくとも、現状、「靖国神社の論理」は韓国人遺族を説得できてはいません。そこに残り続ける〈疼き〉は、当事者としての遺族だけでなく、靖国神社にも残り続けます。どうすればその疼きが解消されるか、その処方箋はとっくに明らかにされている(このコラムの末尾にも明記されている)わけですし、融通無碍な神道においてそれが不可能だとも思えません。が、その選択肢を採用する気は、今のところ靖国神社にはないようです*1。
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記事入力 : 2011/08/04 11:31:07
【コラム】靖国よ、韓国人2万人の魂を解き放せ(上)【朴正薫(パク・チョンフン)記事企画エディター】 ソウル市冠岳区に住むキム・ヒジョンさん(86)が悪夢に再びさいなまれたのは5年前のことだった。同年代のほかの人々と同様、キムさんは日本軍に連行され(編集部注:原文ママ)太平洋の戦場で死に直面したが、1945年に日本が敗戦したことで解放された。
5年前、キムさんは靖国神社の戦死者名簿に自分の名前が入っていることを知った。自分も知らない間に数十年間、日本の神社に祭られていたと聞き、驚きのあまり言葉を失った。
「日本のために戦死した」という理由で靖国神社に祭られている韓国人は2万1000人に達する。キムさんのように書類の手違いで祭られている生存者も10人前後に上る。日本は朝鮮の若者たちを戦場に送り込みながら、1円も補償していない。それでも、英霊に対する優先権を主張していた。
キムさんがあぜんとしたのは、生きている人間を戦死者扱いしたからだけではなかった。キムさんは靖国神社がどのような所かをよく知っている。靖国神社は「戦争の神社」だ。日本帝国主義時代の記憶が息づく軍国主義の祭壇に、自分の位牌(いはい)が祭られている(編集部注:原文ママ)ことは容赦できなかった。
靖国神社に行ったことがない人には、キムさんの心情が実感できないかもしれない。敗戦後の日本は軍国主義と決別したが、靖国神社だけは例外だ。東京のど真ん中にある靖国神社は、帝国主義による侵略という郷愁に満ちた場所だ。天皇に忠誠を誓う軍人勅諭の碑や神風特攻隊員の像など、戦争を記念する物があちこちにある。
靖国神社では供え物からして違う。たばこ・缶ビール・食べ物といった兵士たちが好きな物が供えられ、軍歌が演奏される。また、展示館には戦艦「大和」の46センチ砲弾から沖縄で玉砕した砲兵隊の15センチ砲まで、旧日本軍の兵器が展示されている。
記事入力 : 2011/08/04 11:31:16
【コラム】靖国よ、韓国人2万人の魂を解き放せ(下)何よりもキムさんが我慢できないのは、戦犯と一緒に祭られているということだ。靖国神社には太平洋戦争の首謀者であるA級戦犯14人が合祀(ごうし)されている。加害者を被害者と同じ所に祭るという発想自体、キムさんには理解できない。合祀者名簿に上がっている韓国人徴兵・徴用者2万1000人の遺族も同じ気持ちだろう。
4年前、キムさんと、ほかの韓国人遺族10人が靖国神社の合祀者名簿から名前を削除してほしいと訴訟を起こした。だが、長い裁判の末、7月に出された判決は、さらにあきれるものだった。日本の裁判所は「不快だということで法的に救済すれば、宗教的行為を制約する」とし、請求を棄却した。宗教の自由の方が重要だから不満も我慢しろということだった。
日本は、朝鮮人94万人を戦場に引き連れていきながら、1円も賠償に応じていない。彼らが掲げるその理由は、強制連行者が「日本国民ではない」というものだ。その一方で、自分たちの神社で勝手によその国の被害者を祭っている。日本は、独島(日本名:竹島)にやたらに手を出そうとする一方で、連行された人々の魂にまで手を付けようとしている。
日本政府は、宗教施設の問題だから自分たちは関係ない、と言い逃れをしている。しかし、韓国人戦死者の名簿を靖国神社に提供したのは日本の厚生省(現:厚生労働省)だった。それなのにしらを切るのだから、なおのこと日本政府が憎くなる。
靖国神社は「英霊を慰め、祭ると言っているのに何が悪いのか」と「善意」を主張しているらしい。悪いが、連行の被害者にとって軍国主義の神社に合祀されること自体が耐えられない屈辱だ。軍国主義の宗教の祭祀(さいし)はあなたたち同士でやれば十分だから、どうか韓国人は外してほしい。