プロスポーツ八百長事件の捜査

先日から続いていた韓国プロスポーツ界における八百長事件の捜査ですが、これで一つの区切りがついたということのようです。

記事入力 : 2012/03/15 08:28
八百長プロ野球・プロバレーボールで11人の身柄拘束
来月から違法賭博サイト対象のコールセンター設置

 プロ野球、プロバレーボールの八百長をめぐる捜査が一段落した。

 大邱地検は14日、プロ野球とプロバレーボールの現役選手、元選手、ブローカーなど総勢31人の容疑者のうち11人の身柄を拘束し、16人を在宅起訴したと発表した。尚武(韓国軍体育部隊)バレーボールチームに所属する4人は、軍検察に身柄を移された上で起訴された。

 検察によると、プロバレーボールでは男女の現役・元選手16人が18試合で、またプロ野球ではLGツインズの朴顕俊(パク・ヒョンジュン)、金聖賢(キム・ソンヒョン)両投手が5試合で八百長に関与し、1試合当たり150万ウォン(約11万1000円)から多いときは500万ウォン(約37万円)を受け取っていたという。ブローカーや金主たちは個別に選手に接近し、バレーボールの場合はレシーブやトス、野球では初回の四球などを意図的に行うよう要請していた。

 検察の捜査結果によると、金聖賢投手はネクセンに所属していた2011年4月24日のサムスン戦、5月14日と29日のLG戦、またLG所属の朴顕俊投手は11年5月24日の斗山戦、6月9日のハンファ戦などで、初回に意図的に四球を出していたという。

 検察は「野球では今回拘束された金聖賢投手の場合、ブローカーの要請を受けてほかの選手を引き入れようとした形跡も見受けられたが、詳しく調べた結果、明確な状況証拠などは発見できなかった」とコメントした。また朴顕俊投手は在宅起訴、金聖賢投手は身柄を拘束して起訴した理由について「ブローカーと選手の通話内容を確認したところ、金聖賢投手の場合口裏合わせをしていたことが分かり、証拠隠滅の恐れがあったため」と説明した。

 大邱地検のパク・ウンソク第2次長は「今はブローカーや金主に対する調べを進めているが、背後に暴力団などが介入していないか、重点的に確認したい」と述べた。

 文化体育観光部(省に相当)はこの日会見を行い、プロスポーツ改善のために政府が積極的な対策に乗り出すことを発表した。同部体育局のノ・テガン局長は「政府の六つの部処(省庁)が協力し、19項目からなる対策を準備している。うち12項目は今年上半期に、7項目は下半期までに取りまとめたい」と述べた。それによると、まず4月から国民体育振興公団にコールセンターを設置し、プロスポーツの各チームが運営する公正センターと協力して、違法賭博サイトに対する情報提供を受け付けることにした。また、退職した警察官による極秘の監察制度をまずはプロ野球に導入し、5月以降は全てのプロスポーツに対象を広げるという。政府は小中高校と大学の全ての運動部で運営の透明性を高めるため、5月をめどにコーチなど指導者への報酬を含む、全ての経費を学校会計に含めさせることにした。

 検察の捜査を緊張の面持ちで見守っていたプロ野球、プロバレーボールの関係者は、追加の容疑者が出なかったことにひとまず安堵(あんど)している。韓国野球委員会KBO)は朴顕俊と金聖賢両投手に対して活動停止の処分をすでに下しているが、最終的な処分は裁判所の判決を待ってから改めて下すことにしている。一方のバレーボール連盟は裁判所の判決を待たずに4人を永久除名、3人は資格の一時停止処分をすでに下している。バレーボール連盟は来週中に賞罰委員会を開催し、起訴された選手に対する懲戒を正式に決める予定だ。

姜鎬哲(カン・ホチョル)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/15/2012031500561.html

「これで八百長事件の全貌が明らかになったか」と問われれば、「たぶん違うんじゃないの?」と思います。私も。

でも、考えてみれば、ここに挙がっている選手やブローカーというのは八百長事件の中では末端に位置する人たちなわけで、最終的には違法賭博の胴元のところにメスを入れることが必要になってくるはずです。そこから明らかになってくることもあるでしょうし、そこが生き残ったままでは「構造的な問題」の根っこの部分が解決も改善もされないと思います。

記事入力 : 2012/03/15 08:29
【記者手帳】プロ野球、2人の選手を犠牲に免罪符

 「プロ野球八百長は本当にこれが全てですか」(記者)

 「確信はできません。ただし今回の捜査をきっかけに、若いスポーツ選手が金銭的な誘惑に負けて八百長に関与するような不祥事がなくなることを願っています」(検事)

 大邱地検は14日、プロスポーツ八百長疑惑に対する捜査結果を発表した。検察は2カ月半にわたる捜査でプロバレーボール選手16人とプロ野球選手2人、金主やブローカーなど計31人の容疑を確認し、うち15人の身柄を拘束し起訴した。検察は「プロスポーツ界での八百長など構造的な問題を解明し、再発を防止するのに大きく前進した」と自らの捜査結果を自画自賛したが、捜査そのものは事実上、決着がつけられる形となった。

 しかし今回の捜査結果の中で「プロ野球に関する部分は内容が不十分」との批判が相次いでいる。プロ野球八百長問題は、すでに昨年からうわさとして広まっており、投手はもちろん、打者に対しても「初球で意図的空振り」などの方法で八百長が行われているとの指摘があった。「どこのチームにも八百長加担者がいる」と言われるほど、腐敗の存在はすでに共通認識だった。ところが検察は今回、投手2人を起訴するだけで捜査を終わらせた。

 検察内部では「バレーボールに比べはるかに影響が大きいプロ野球への捜査には、慎重を期さなければならない」との声があり「このままでは韓国のプロスポーツは全滅するかもしれない」という懸念の声も出ていた。捜査開始直後、検察は「プロ野球に関しては捜査の計画はない」としていたが、後に「疑惑が表面化すれば、捜査に乗り出したい」と方針を変え、世論の批判が高まると「問題のある部分に限って解明したい」とコメントしていた。

 しかし、これは本当にプロ野球にとってプラスになるだろうか。八百長は底なし沼のようなもので、一度加担した選手は簡単に抜け出せない構造となっている。選手は金を通じてブローカーと強くつながっており、抜け出そうとすれば脅迫を受け、自分からやめることはできない。一度八百長に手を染めたプロスポーツは自浄機能を失うため、法を厳しく適用する以外に改善の方法はない。そのためファンの多くは、検察に対して厳しく捜査を行い、腐敗を完全になくすことを期待していた。

 しかし検察が今回のような形で捜査に決着をつけたことで、結果的にプロ野球に「免罪符」を与えてしまったとの意見が相次いでいる。つまり、今後は八百長の明確な証拠が出てこない限り、検察は逆に動きにくくなったというわけだ。これでは「プロ野球は捜査をした意味がないのではないか」という言葉が出るのも無理はない。

崔宰薫(チェ・ジェフン)社会部記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/15/2012031500565.html