最低賃金と生活保護、そして倒錯

かねがね「IQが高いってだけでやたらとエラそうな人間って、ホントにアタマいいのか?」と思っているのですが、これはそれとはちょっと違うお話のようです。

学生たちは愚鈍さを競い、労働者たちは他の労働者が自分より無能でかつ薄給であることを喜ぶという倒錯のうちに落ち込んでいる。

それは彼らが怠惰であったり、不注意であったりしているからではなく、「有利な取引をするものが賢い」という市場原理のルールをあまりに深く内面化したことの帰結なのである。

http://blog.tatsuru.com/2012/03/22_1721.php

逆転現象、9都道府県に拡大 最低賃金生活保護下回る

 厚生労働省は13日、最低賃金で働いた場合の収入が、生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」が宮城県や埼玉県など9都道府県で起きているとの調査結果を明らかにした。2010年の最低賃金改定時と比べ、4府県増えた。

 同省は調査結果を、同日の中央最低賃金審議会の小委員会に提出。政府は最低賃金の底上げによる早期の逆転解消を目指しており、11年の地域別最低賃金の審議にも影響を与えそうだ。

 都道府県ごとに決まる地域別最低賃金が新たに生活保護水準を下回ったのは、埼玉県と京都府大阪府兵庫県。10年に逆転していたのは北海道、宮城、東京、神奈川、広島の5都道県だった。

2011/07/13 21:33 【共同通信

http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011071301001060.html

こうした場合に、「生活保護の切り下げを主張するという倒錯」が「倒錯」として認識されないとしても、今や驚きではないような気がします。

同様に、「他の労働者が自分より過酷な条件でいつかは倒れそうな働き方をすることを望むという倒錯」を、「倒錯」として認識できない人も、またいらっしゃるようです。

悲しく、切ないことです。