韓国軍の「多文化」化

一言で言えば、「必然的な成り行き」だと思うのですが、この手の変革を進歩だろうが保守だろうが当たり前に実行に移せる、というのが、近頃の韓国政治の流れになっているような気がします。

記事入力 : 2012/06/13 12:40
韓国軍:入隊者不足、「多文化軍隊」に

2029年までに最大3万人不足…国際結婚家庭出身者なしでは国防に支障

 韓国社会が本格的な多文化時代に突入している中、韓国軍も多文化家庭(国際結婚家庭)出身者を積極的に活用しなければならない、と専門家たちは話している。「多文化軍時代」は避けられないというわけだ。

 昨年1月に行われた行政安全部(省に相当)の調査によると、今年の徴兵検査対象者のうち、国際結婚家庭出身の満19歳男性は1165人。今後もこのような傾向が続けば、国際結婚家庭出身の徴兵検査対象者は、2019年に3045人、28年には8000人を上回り、現役兵の数(陸軍基準、21カ月間勤務)は1万2000人を超える、と韓国軍当局では予想している。

 その一方、国防部(省に相当)では「韓国軍の兵役資源は、少子化の影響で21年から29年にかけて毎年1000−3万7000人不足する」とみている。長期的には兵役資源が減っていく状況にある中、国際結婚家庭出身者を兵役義務から除外してしまうと、韓国軍の兵力運用そのものに支障を及ぼすのが実情だ。

 社会統合という観点からも「多文化兵営」時代は避けられないという指摘がなされている。昨年1月基準で、韓国で暮らす結婚移住者は21万1458人。また、移住者の子どもは15万1154人に上る。特に外国人との結婚は、03年の2万4776件から10年には3万4235件となり、年々増加傾向にある。洪斗承(ホン・ドゥスン)ソウル大学教授(社会学)は「兵役は市民に付与される中心的な義務にして権利。国際結婚家庭は韓国社会の一部分を占めているだけに、兵役義務を履行するのは、社会統合の観点からも自然なこと」と語った。

 こうした実情を考慮し、韓国軍は兵役法のいわゆる「人種・皮膚の色」による兵役免除条項を削除し、昨年から国際結婚家庭出身者を本格的に受け入れ始めた。昨年4月には、入営宣誓文の「国家と民族のために」という部分を一部変更し「民族」を「国民」に改めた。韓国軍の関係者は「“単一民族”意識が強い韓国で、“民族”という用語を“国民”に変えたのは、軍でも多文化時代が避けられないということを認識したからだ。グローバル軍隊を志向する姿勢で、兵営内の多文化を受け入れるべき」と語った。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/13/2012061301386.html

記事入力 : 2012/06/13 12:39
【社説】国際結婚家庭出身者の軍服務に配慮を

 今年10月、韓国軍で初めて多文化家庭(国際結婚家庭)出身の副士官2人が輩出される。論山訓練所で訓練中のペ・ジュンヒョン、ハン・ギヨプ両副士官候補生は、母親がそれぞれベトナム人、日本人だ。2人は副士官学校で12週間にわたる教育を終えた後、陸軍下士(伍長に相当)に任命される。

 韓国軍は多文化家庭出身者に対し「人種、肌の色などにより、兵役随行に深刻な影響を受ける場合、軍服務を免除する」という兵役法の条項を適用し、ほとんど受け入れていなかった。だが、この条項は2009年末、兵役法改定の際に削除され、昨年から多文化家庭出身者にも兵役の門戸が開かれた。現在、多文化家庭出身の兵士は、陸軍に179人、空軍に9人、海兵隊に5人が服務中だ。多文化家庭出身の徴兵検査対象者も今年は1156人に増加し、28年には現役兵が1万2000人に達する見込みだ。いまや職業軍人である副士官も輩出されるようになったのだから、将校が輩出される日も遠くないだろう。

 しかし、現在服務中の多文化家庭出身の兵士たちを見ていると、人種差別やいじめを恐れ、できるだけ出自を隠そうとするケースが多いという。多文化家庭の子どもたちは、外見が目立つ上に韓国語がつたないせいで、学校でもいじめられるという経験をしている。多文化家庭出身者が、学校よりもさらに規律の厳しい兵営で再びいじめに遭うようになれば、より大きなストレスに苦しむことになり、最悪の場合、軍隊内でのトラブルにつながる危険性もある。

 米国の陸軍は、兵営内の人種差別問題を解消するため、1970年代の初めに「人種、肌の色などに関係なく平等な機会と公平な待遇を提供し、違法な差別や攻撃行為のない環境を作る」という規定を制定した。「機会均等」担当の特別参謀を設置し、軍事教育にも機会均等プログラムを導入した。人種間の衝突が起きた場合、指揮官の責任が厳しく追及される。

 韓国軍も軍での人種差別を禁じる新たな服務指針を制定し、一般の将兵が多文化家庭出身者の文化や習慣を尊重するよう教育すべきだ。海外出身の兵士のように他の兵士よりも一定期間、先に訓練所に入所させ、別途適応教育を行うなどの案を検討するのもよい。多文化家庭出身将兵たちの語学を特技として生かせば、彼らにプライドを持たせることができるだけでなく、軍にとってもプラスになるはずだ。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/13/2012061301385.html