うーん。私の周囲にも協力隊経験者の方は何人もいらっしゃいますけど、この記事のグラフを見ますと、彼らの時代から見ても、明らかな減少傾向にあるんですね。
「協力隊の経験が将来の就職につながるわけではない」というのは、その当時から言われていたわけです。ただ、そこから「それでも何とかなるさ」と思えたのは、個人というよりもやはり時代の違いであるような気がします。
それでも「明るい未来」をイメージできるかできないか。「今を楽しもう」と言えるほど、今が楽しいか。
「内向き」と言うよりは、「前向き」になれない、かといって刹那的にもなれない。そんな感じでしょうか。
なくすのはもったいない貴重な制度であることは間違いないのですけど、協力隊のシステムもある時代の産物であるとすれば、少なくとも今の時代にはマッチしなくなっている部分があるのだと思われます。
【社会】若者は内向き? 青年海外協力隊 減る応募
2013年2月27日 夕刊開発途上国にボランティアを派遣する国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊への応募者数が減少している。昨年秋の募集では一九六五年の創設以来、初めて応募者数が各国からの要請数を下回った。景気低迷や予算削減の影響が理由に挙がるが、若者の内向き志向の表れと指摘する声も。国際社会で高い評価を受けてきた日本の海外貢献の歴史に黄色信号が点滅している。 (吉岡逸夫)
青年海外協力隊は過去四十八年間で、八十八カ国に三万七千人を超える若者を派遣してきた。募集は春と秋の年二回で、十年前には各途上国からJICAへの要請数の四倍から五倍に当たる約五千人が応募。合格者数に対する倍率は十倍近くに上った。それが、最近の応募者数は千五百人前後と三分の一以下にまで減っている。
二〇一一年春募集では千三百五十一人に激減。これは東日本大震災の影響で、ボランティアが青年海外協力隊よりも東北へ向かったと推定される。しかし、昨年秋募集では、それよりもさらに少ない千百二十四人しか応募がなかった。
協力隊事務局募集課の殿川広康課長は「若者の内向き志向と、景気低迷の影響」と指摘する。協力隊員は派遣先の途上国で二年間を暮らすが、帰国後の就職に必ずしもプラスに働くという保証はない。
また、協力隊員の試験制度の変更も若者を躊躇(ちゅうちょ)させる遠因になっている。それまでは協力隊事務局で独自に語学試験を実施していたが、昨秋から事前に、英検やTOEFL、TOEICなどを受験し結果を応募時に提出することを義務づけた。事前に専門の語学試験を受けるため、数カ月の準備期間が必要になった。
さらに、殿川課長は「民主党政権時の事業仕分けの影響で、経費が縮小され、以前のような広報活動ができなくなった」と明かす。
新しい試験制度が浸透したとしても、応募の減少を止める抜本的な対策はなく、隊員の質の低下や事業の消滅も懸念される。
国際政治学者で参議院議員の猪口邦子さんは「協力隊は日本の宝で、良心を体現している。任国での評価も高い。国際化が進む中で、企業や日本にとっても貴重な人材。活動を絶やすべきではないし、もっと知らしめるべきです」と話す。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022702000233.html
ちなみにこれ、同じタイムスパンでシニア海外ボランティアの応募者数の推移を取ってみたら、どうなるんでしょうかね。下に少しだけ数字が出ていますが、2004年から2009年までですので、これだけではわかりかねるところもあります。
http://www.jica.go.jp/volunteer/outline/qa/#a03
上の数字を見る限り、青年海外協力隊への要請数は増加傾向、シニア海外ボランティアのそれは減少傾向という傾向があるので難しい面もありますけど、シニア海外ボランティアのほうが今後、相対的に応募者が増えていくのではないでしょうか。時代的なことや世代的なことを考えれば、そうなっても不思議ではありません。