【釜山の風景】中央公園に見る、李明博政権の5年の明と暗
済州4.3の話を書きながら思い出したのが、今年の1月に釜山の中央公園で見た光景でした。
市内を見渡せる丘の上にある中央公園の中でも、さらに高台にそびえ立ってひときわ目立つ忠魂塔。見慣れたランドマークですが、何だか見慣れないものが見えます。
近づいてみるとそれは、斜行型のエレベーターです。
1983年にできて以来つい最近まで、スロープ兼用の大階段を上り下りするほかなかった忠魂塔へのアクセスに起きた革命的変化ですね。30年の間にそれなりに落ち着いた様子を見せるようになった忠魂塔周辺の景観からの浮きっぷりはなかなかのものです。
さて、さして利用者がいるわけでもない*1この豪華設備を見た後、公園の反対側に目を向けてみます。忠魂塔から見下ろした先に見えるエリアが、民主公園です。
以前訪れたときには、寂れっぷりとしては忠魂塔と大差なかった民主公園ですが、李明博政権下での5年は、この施設にとっては「失われた5年」以外の何ものでもなかったようです。
「4.19広場」を左手に見て進むとすぐに、こんな横断幕が見えました。
「非常識的な民主公園予算53%削減、即刻原状回復せよ!」
階段を上がって、記念館に入ってみると、こんな掲示もありました。
「52%予算削減 民主公園 門を閉じろということか?!」
エレベーターの設置にかかった費用と、削減されたという民主公園の予算とがそれぞれどれくらいなのか、また予算の出所がどこなのか、詳しいことはわかりませんが、この5年間で進行したことをうかがわせるには十分な対比です。
グローバル化した世界において、「進歩か保守か」といった韓国的な二分法は、経済や外交の分野ではあまり意味を持たなくなってきていると言えるかも知れません。しかし、こうした場から眺めてみると、その二分法もまだそれなりに意味を持っていることが垣間見えてきます。
少なくとも、民主公園関係者が文在寅の落選にどれほど落胆したことか、察するに余りあります。済州4.3よりもはるかに直接的に「朴正熙」の敏感なところに触れる釜山の民主運動ですから、おそらくはあと5年、こうした「冬の時代」を耐え忍ばなくてはならないでしょう。
追記:エレベーター設置に関する2011年6月の記事を、「国際新聞」に見つけました。建設予定を伝える記事なので、写真は現状とは異なる予想図のようです。
16億5000万ウォンもあれば…という話は、やめておきましょう。ちなみに、この記事の末尾にはさりげなく、釜山警察庁前の「釜山警察追慕空間」が国家報勲処から報勲施設に指定されたというニュースが付け加えられています。
【釜山の風景】釜山地方警察庁前、冬栢広場の「釜山警察追慕空間」
중앙공원 충혼탑에 엘리베이터 설치
경사형·16억5000만원 투입, '부산경찰 추모공간' 현충시설로
국제신문 오상준 권혁범 기자
2011-06-07 21:49:45 / 본지 9면
부산 중구 중앙공원 충혼탑에 경사형 엘리베이터(사진)가 설치된다. 나이가 많아 계단을 오르내리기 힘든 보훈단체 참배객의 접근성을 높이기 위해서다.부산시설공단은 16억5000만 원을 들여 충혼탑 진입계단 왼쪽 경사로에 탑승인원 20명, 주행거리 88.3m, 분당 60m 속도, 승강장 2개소의 경사형 엘리베이터를 내년 4월까지 설치하기로 했다고 7일 밝혔다. 실외에 설치된 경사형 엘리베이터로는 서울 남산공원에 이어 두 번째다.
한편 국가보훈처는 부산경찰청 동백광장 내 '부산경찰 추모공간'을 현충시설로 지정한다고 이날 밝혔다. 이곳에는 부산지역 순국 경찰관 256위의 위패가 안치돼 있다.
http://www.kookje.co.kr/news2011/asp/newsbody.asp?code=0300&key=20110608.22009214901
*1:実際、私が訪れたときには、しばらく見ている間には誰も利用者がおらず、私自身が恐る恐る乗ってみた後、「ああ、乗ってもええんやあれ」といった感じで何人かが続けて使っていました。設置はされたものの、まだ市民の間でもよく知られていないみたいです。